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『パグマガ』より。 その3

関西で10年前に配布されていたフリーマガジン『パグマガ』に連載していた自分の奇文を編集長の温かい許可のもと、再掲するこの企画。

始まりはこちら。

その1はこちら。

その2はこちら。

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フリーマガジン『パグマガ』連載コラム

『俺はお前の噛ませ犬じゃい!』

皆様、とっくに明けましておめでとうございます。今年もよろしきぽねがいします。さーて、そんな毎年恒例の新年挨拶が終わったところで、さっそく去年のことについて書かせてもらう。

新年なのに去年の話を? まさか、こいつ…神様? と、思った読者の方も多いであろう。とんでもねえ! あたしゃ神様だよ! 

前置きはこの辺で。始めさせてもらう。

「ガチンコヌルヌル対決」

聞いただけで心躍る対決である。私は、そんな対決名を聞いただけでいろんなことを夢想する。そう、長髪で丸眼鏡がトレンドマークのあの人(則巻アラレ)が歌ったように……。

ビニールプール一杯に溜められたローションの海へ頭から勢い良く突っ込んでいく上島竜平。猛烈な抗議を起こそうと立ち上がるがローションに滑って再び頭から突っ込んでいく上島竜平。共演者がゲラゲラ笑っていることに腹を立て、そのタレントもローションの海に叩き込んでやろうと意気込むも、逆に返り討ちにあい、三度頭から突っ込んでいく上島竜平。そんな上島の芸術的としか表現できない連係プレーを目の前で見せ付けられ、若手特有の「あれくらい、俺にだって出来る!」という自信過剰により生み出された嫉妬心を胸に、ローションの海から上島を助けようとして滑り、思い思いの面白いポーズで一気に頭から突っ込んでいく森三中。「みんなやるじゃねえか!しかし、人と同じ事やっていてもお株が知れるぜ。今俺のするべき仕事はこれだあっ!」と、シュールな原因で頭から突っ込み、オンエアされないふかわりょう……。

彼らの姿は見るものを実に感動させる。

ローションは、人を感動させるために生み出された、至極の液体(エロい意味でも)。世界の偉人、ケンドーコバヤシ曰く、まさに「神の涎」なのである。

なんだったらローションのことだけで今回のコラムを終了させてやることだって出来る! しかし、そんなことをするとこのコラム全体のテーマである「プロレス」がなんだか良くわからなくなってしまうだろ! そんなこともわかりゃないのきゃ? この…パー! アーウ!

つまり、「ガチンコヌルヌル対決」とは、芸人さんのためにあるものであって、格闘家のためにあるものではないのだ。

去年の大晦日、『K1ダイナマイト!』の最終ラウンド、秋山対桜庭戦はなんとも歯切れの悪い結末を迎えた。

秋山の、勝ちに行こうとする姿勢は素晴らしいと思う。

しかし、それならば、より慎重に、よりフェアに、桜庭選手と同じコンディションで真っ向から闘りあうべきだった。

しかし一番問題なのは、パウンドを浴びせられてる状態で、桜庭が全く反撃しようとせず、必死でレフェリーに「体が滑る」ことを訴えていた事実を、もっとレフェリーや審判員たちはもっと敏感に察するべきだった。

明らかにあの瞬間、リング上は異常な光景だった。

桜庭が秋山ではなく、レフェリーを見続けているのである。

レフェリーの鈍感さに呆れる。

いわゆる「場の空気」が全く読めていない。上島竜平に一から教えてもらってほしい。

あのレフェリーが芸人なら、きっとオンエアではカットされている。

2007年 1月

#雑記 #パグマガ

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