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蘭。ランララ、らんらん蘭。 花の名は。Vol.2

冬。ランの季節です。洋ラン展の開催が多くなるからです。洋ランとは。主に中南米とアジアの熱帯地方(例外あり)が原産で、主に欧米で改良され、日本には幕末期以降に渡来した園芸種のことです。

江戸時代までの日本では、日本や中国原産のラン科植物が栽培されていたので、そちらは区別するために東洋蘭とされました。洋ランという表現は日本独自だそうです。

ラン科植物は植物のなかでもっとも進化しているとされ、数多くの野生種があります。18世紀以降、洋の東西で園芸植物として改良が進み、膨大な品種が生まれています。ゴージャスでかつ、バラエティ豊かな花の象徴ともいえる蘭、ラン。そこにあやかったのか、和名で○○ランと呼ばれていながら、ラン科ではない植物があります。

一番多いのはキジカクシ科。聞きなれない科名ですが旧分類ではユリ科やリュウゼツラン科でした。知名度が高いスズランを筆頭に、オリヅルラン、リュウゼツラン、ヤブラン、ハラン、トックリラン、ニューサイラン、キミガヨラン、アツバキミガヨラン、イトラン、キキョウラン、ノシラン。ノシランと1文字違いのシランはラン科なので要注意です。

元ユリ科仲間のキンコウカ科では、ノギラン、ネバリノギラン、ソクシンラン。最新の分類でもユリ科に残ったのはタケシマラン、オオバタケシマラン。分類体系ごとに科名が変遷しているススキノキ科のツルボラン。ユリ科から分家した後も出入りが激しいヒガンバナ科にはクンシラン、ムラサキクンシラン(アガパンサスの別名)、ショウキラン(和名ショウキズイセンの別名)。標準和名ショウキランはラン科の腐生植物なので要注意。

キョウチクトウ科(前はガガイモ科でした)に、サクララン、キジョラン。ゴマノハグサ科に、ウンラン、マツバウンラン、ツタバウンラン、アフリカウンラン(ネメシア)。カヤツリグサ科のタヌキラン。ショウガ科のクマタケラン。イワタバコ科のシシンラン。ツツジ科のガンコウラン。キク科のスイラン。アカバナ科のヤナギラン。スベリヒユ科のハゼラン。アヤメ科のコウセツラン(香雪蘭)とは、あまり聞きませんが、フリージアの別名です。

シダ植物にも名にランと付く種があります。マツバラン科のマツバラン、イヌナンカクラン。ウラボシ科のクリハラン、サジラン、コウモリラン(ビカクシダの別名)。ハナヤスリ科のコブラン。シシラン科のシシラン。ヒカゲノカズラ科のスギラン、ナンカクラン。

全部でいくつなのか・・。すべての植物、姿が思い浮かぶ方はとても少ないでしょう。私にも無理です。俯瞰してみると花の美しさや香りでランに擬えた名は一部で、シンビジュームや同属のシュンランのような、スラっとした葉の形をしている植物が多数です。

それと、分類学の進展によって科名が移り変わっていることに改めて驚かされます。ラン科は全体としては変わりませんが(属レベルは変更多数)、いずれはユリ科のように大分割がなされるのかも。

カトレア

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