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ザ・ライダー(2017) ネタバレあり

基本情報

大怪我を負ったカウボーイが新たなアイデンティティや生きる意味を見いだすまでの物語を、モデルとなった人物が主演を務め映画化したヒューマンドラマ。アメリカ中西部のサウスダコタ州。カウボーイの青年ブレイディは、事故で頭部に大怪我を負ってしまう。ロデオ復帰への捨てきれない思いと後遺症との間で葛藤しながら、自分の生きる意味を探し求めるブレイディだったが……。主人公のみならず、彼を取り巻く登場人物にも本人たちを起用。中国出身の新鋭クロエ・ジャオが監督・脚本を手がけ、第53回全米映画批評家協会賞と第28回ゴッサム・インディペンデント映画賞でいずれも作品賞を受賞した。-映画.com

ログライン

ロデオで大怪我を負ったカウボーイが再度ロデオへの復帰を目指すが、後遺症に悩まされる。

ストーリー

・シンプル。情報量が少ないことを圧倒的な描写で丁寧に書いている。アポロのケガと自分のキャリアの対比や父との確執なども織り込まれている。
・父親に「俺は負け犬じゃない」と最後にいうところでブレイディが父親に対して抱いていた不満がわかる。

演技・演出

・手が固まってしまい開かない、という描写を表す際、握りしめているのは馬の人形、スカーフ。事故による後遺症という外面と、なお捨てられないロデオへの執着という内面を同時に描写するとても考えられた演出。
・大事なところはセリフがなく、じっと見つめる登場人物の顔やリアクションで説明される。ブレイディに「夢をあきらめるな」とハンドサインで伝えるレインは、じっと、本当にじっとブレイディを見つめる。それだけで通じる。また、父親に「ロデオをやるなら勝手に死ね」と言われた後、遠くで見ている父親に気づく。父親はかすかにうなづく。ブレイディはちょっと迷ったあと、うなづき返す。
・お前を守ってやると妹にいうブレイディに、妹が「私も守ってあげる」というのがなぜかぐっと来た。「ありがとう」でなく、お互いに守ってあげる。妹には経済力も腕力もないけれど、ブレイディの心を守ることはできるのだ。
・馬の演技もすごい。
・アポロを呼んでいた口笛が、アポロを殺すための合図にもなる。躊躇って、躊躇って、最後に口笛を吹く姿にグッとくる。

撮影

・ドキュメンタリーのように登場人物に寄ってその些細な表情を見逃さない一報で、大自然の雄大さの中で人間の小ささを映しだす。
・マジックアワー、スカイライトを多用した映像は本当に美しい。テレンスマリックの影響を感じる。

好きだったところ

・演出でほとんど書いてしまったが、あとは妹がシールを貼ってブレイディを★まみれにしてしまうところ。
・フライパンで焼くパティがおいしそうなところ。

自分だったらどう撮るか/盗めるポイント

・大事なところはセリフを削る。観客の理解力と俳優の演技力を信じること。
・演出に感情を求めすぎない。

画像引用元:http://www.shortcuts.site/piece/4273

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