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世田谷区にある芦花公園ってどんな公園なの?


芦花公園と聞いて何が思い浮かべることがありますか?
東京の西側に生活圏をおいている人は聞いたことがあると言う人も多いでしょう。
京王線の駅の名前になっています。

では、この地名、駅名の由来をご存知でしょうか。

地名の由来

京王線の「芦花公園駅」から閑静な住宅街を超えて南に約1km、都立公園である「蘆花恒春園(ろかこうしゅんえん)」があります。
これが地名の由来となっております。
文豪、徳冨蘆花の旧宅や蘆花自身が植えた竹林などがあり、その周辺一帯が都立公園となっているのですよ。

ちなみに写真は文学館の入り口近くですが、立派な塀で囲まれた建物は ベネッセの施設住宅だそうです。
世帯数の多いマンションが目立ちますが、どこも木々が生い茂っている印象です。
ただ、通りに木陰はないので、夏場歩くときは帽子か日傘があった方がいいかも知れません。

徳冨蘆花とは

明治期から大正にかけて活躍した文豪(小説家)です。
國民新聞に掲載した小説『不如帰』は明治のベストセラーとなりましたら。
その後『自然と人生』や『思い出の記』などを掲載し、小説家としての地位を確立しました。
明治40年、現在の東京都世田谷区に移転し、半農生活を始めます。
その時に暮らしていたのがこの蘆花恒春園なのです。

冨岡蘆花

公園の成り立ち


1927年に徳冨蘆花が亡くなり、10年後の1937年に遺族より当時の東京市(現東京都)に寄付されました。
1938年に公園として開園したのち、周辺の土地も公園として整備されています。

そのため一般的には、周りにある広場なども含めて「芦花公園」と呼ばれているのです。
この公園は2008年に、「地域で創る花いっぱい、トンボの飛び交う憩いの公園」の手づくり郷土賞を受賞しました。


敷地はかなり広く、ドッグランもあります。
散歩する方や、近くの保育園の子どもも訪れています。

蘆花恒春園

徳冨蘆花の旧宅の部分が恒春園であり、1907年にここに引っ越しと時に命名したものです。

蘆花記念館

正面のゲートから入り事務室を通り過ぎると、最初に現れるのがこの資料館。
こぢんまりした資料館ですが、手に取れる書物もあり、また、蘆花自身が描いた水彩画やスケッチも多く展示されています。

母屋

資料館を抜けると母家の裏手に出ますが、表に回ると立派な門が。
ここからが敷地だったようです。
この母家の裏には、愛子夫人の別宅もありました。
こちらは有料の集会室として貸し出しているようで、内覧はできません。

別宅と母家の間にあったこちらは井戸でしょうか?



母家は無料で見学ができます。

中に入ると狭いながらも土間があり釜戸が置かれていました。
6畳が二間、お風呂は五右衛門風呂でした。

秋水書院


書斎と寝室があったのがこの秋水書院。
実際に使用していた机やベッドが展示されています。

部屋の広さはおそらく母家と同じ、6畳間が二間ですが、部屋の2/3をしめるほどの大きなテーブルがありました。
この机で執筆していたようです。

この秋水書院は大逆罪で死刑となった幸徳秋水にちなんで命名されています。
秋水の死刑が決まった後、蘆花は実兄ある徳富蘇峰を通じて桂太郎首相へ嘆願したが、願いは叶わなかった。
この事件が忘れられないように付けた名前なのだそうです。

梅花書屋

現在は母家と廊下でつながっており、中から見に行くことができます。
廊下には愛子夫人が弾いていたオルガン、使用していた火鉢や洗濯板なども展示されています。
展示というより廊下に並んでいました。
書屋も母家と同じくらいの間取りで、数点展示されているだけでしたが、狭い廊下に本棚がありました。
所狭しと本が積まれていたのでしょうか。

手植えの竹林

蘆花自らが植えたと言われている竹林。
写真は母家を裏手から写したもの。竹が植えられているのが分かります。
正門を入ったあたりから、竹林が続いていているんです。

徳冨蘆花夫妻の墓


銘は実兄である徳富蘇峰の手によってそれぞれ書かれていました。

有名作家としてではなく、一個人としての生い立ちが書かれています。実兄だからこそでしょうか。
50年もの間絶縁していたようで、和解した直後の死でした。思うところが多々あるのが分かります。

愛子夫人の銘も徳富蘇峰によって書かれています。愛子夫人を見染めたのが兄の徳富蘇峰であり、蘇峰が2人を引き合わせたことがわかります。

児童公園

子供が遊べる遊具もあり、広い原っぱ、奥には花いっぱいの花壇があります。

ここを抜けると環八通りとなりますが、そんな車が行き交う音も耳を澄ませないと聞こえないくらい、静かな空間でした。

世田谷文学館

芦花公園と芦花公園駅の間にある文学館。
特別展は有料ですが、カフェどんぐりや休憩室スペースがあります。

駅から公園の往復、公園内を歩くとそれなりに距離も有るので、一休みにもちょうど良いですよ。

世田谷文学館
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山1-10-10

京王線「芦花公園」駅南口から徒歩5分
小田急線「千歳船橋」駅から京王バス(千歳烏山駅行)利用、「芦花恒春園」下車徒歩5分

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