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価格戦略を知る者が「利益」を制す #2|新贅沢財

『価格戦略を知る者が「利益」を制す』
DIAMOND ハーバード・ビジネスレビュー編集部 【編・訳】
第2章 新贅沢財のポテンシャル

ダイヤモンド社(2005/03発売)

「第2章 新贅沢財のポテンシャル」を、主観的にまとめています。価格戦略上、重要なポイントをさくっと理解したい人におすすめです。

第2章 新贅沢財のポテンシャル

要約| 人口、文化の変化により、特に中流市場の高学歴化、嗜好の洗練、感情への忠実さが高まり、需要の高級化が促された。供給側も、ありきたりの大量販売では満足できない起業家の台頭をはじめ、少量を低コストで機動力を持って製造できるグローバルサプライチェーン、全国の中流市場に新贅沢財の流通を容易にするショッピングモール化などでも進化している。需要と供給の進化が組み合わさり、中流市場の製品は消費財、耐久財を問わず、カテゴリーの再構築、市場リーダーの交代、成熟産業の覚醒と再生などの必然的な変化が起きた。ここで台頭したのが従来の贅沢財とは異なる、新贅沢財である。新贅沢財は機能性、技術性、感情への訴求の各面で既存中級商品と差別化を図り、特に高価で陳腐化したカテゴリー、安くて差別化されていないカテゴリーの市場を牽引した。価格面では廉価品より3割、場合によっては10倍高価といった比較的高単価でありながら、大量販売をなし得る、新贅沢財の特徴を実例とともに分析する。

『価格戦略を知る者が「利益」を制す』ダイヤモンド社(2005/03発売)


ポイント
・消費者の購買慣習は必ずしも所得水準によらず、自分にとって大切なカテゴリでは贅沢財を買い、さほど重視していないものは安いブランド、PB、あるいは買わずに済ませる。→コストコxベンツx PB商品x高級ビール
・ 安売り店の台頭により生活必需品を安く買える選択肢が増えたからこそ、消費者は新贅沢財を購入できるゆとりを持てている
・ 女性の役割と家族構成の変化、離婚率の上昇も市場育成に寄与している

新贅沢財とは

  • 質と嗜好の高級化した中流市場の消費者の心を、機能性・技術性・感情への訴求で捉え、比較的高価でも大量に売れる必需品。主に3タイプある。

    • 手の届くスーパープレミアム スタバのコーヒー

    • 旧高級ブランドの拡張 従来のラインに手頃な価格のラインを追加

    • マス・プレステージ 「マスティージ」既存商品より割高、贅沢財より割安な商品

成功した新贅沢財の特長

  • 製品は機能性、技術性、感情への訴求の各面で差別化を図る必要がある。

    • 機能性

    • 技術性

    • 感情への訴求

      • 新消費者| 自分が誰であり、どうありたいのかを示し、日々のストレスを解消してくれる商品を求めている。新贅沢財の購入に最大の影響を与える4つのエモーショナルプール 自分を大切にする 探求する つなぐ(パートナー、友人、家族) 独特のスタイル 

  • 高価で陳腐化したカテゴリー、安くて差別化されていないカテゴリーに多い消費を促す x 利用を促す

新贅沢財リーダーの特徴

  • 決して顧客を見くびらない
    顧客は知識があり、品質や技術革新、本物のもつ雰囲気を理解し、ブランド品の伝統を大切にし、商品カテゴリ全体に遅れを取らない

  • 需要曲線を打ち砕く
    高価格であっても大量販売により大きな利益を生む市場セグメントを作れる可能性を信じている消費者の利益になるものが適切に組み合わされた商品ならば、ほとんどのカテゴリで需要を作り出せる、需要の弾力性を信じている。

  • 利益のはしごをつくる

  • イノベーションを進め、品質を向上させる

  • ブランドの価格帯とポジションニングを広げる

  • バリューチェーンをカスタマイズする

  • ブランドの伝導者を活用する

  • 素人のつもりでカテゴリーを攻める

考察メモ
覚えてもらうべきは技術・機能だったのか!?
私は買い物が好きだ。とはいえ、全くこだわりなく購入するものもたくさんある。こだわって買うときにも、機能を求めるもの、技術面を重視するもの、情動に突き動かされるように買うものがあると、本章を読んで改めて認識した。マーケターとして商品を売るときに、機能、技術、感情の訴求をどんなバランスにすべきかは、同じ贅沢財でも異なるであろう。感情への訴求はデザインや音声など言葉にならない表現かもしれないし、機能や技術をくどくど説明することが顧客にアピールするとも思えない。ここまで考えてみると、私の手元に、詳しくは知らないけど、他より機能や技術が優れているらしいものがたくさんあることに気づいた。ヒートテック、M1チップ、GPSセンサー、ビオ、オーガニック、カーボンファイバー… 象徴的な機能・技術に絞って、名称をつけ訴求するのは常套手段だったわけか。とすると、ここでもマーケティングの1番手の法則は効きそうだ。コアな技術・機能に、簡明な名前をつけて訴求し、ファンを取り込んでいく。コモディティ化された商品群から抜け出す1手になるか、実験にとりかかろう。

注|本章を読んだ個人の主観による考察です


ISBN-10 ‏ : ‎ 4478502528
価格戦略を心理学で分析する。適正価格を科学的に導く。過当競争から抜け出す。「プライシング」は利益戦略である。
第1章 プライシングと消費者心理
第2章 新贅沢財のポテンシャル
第3章 価格シグナル戦略
第4章 価格戦争の正しい闘い方
第5章 eプライシング:「コストの透明性」に打ち勝つ
第6章 スマート・プライシングの技術
第7章 ポケット・プライス:真実の取引価格
第8章 プライシングの創造知

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784478502525


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