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Vol.5 国内アパレルでも広がるBOPISの利用:ワークマンのBOPIS事例

先週に引き続き、今回も国内アパレルでも広がるBOPISの利用について主にワークマンの事例を紹介します。

BOPISはBuy-online-pickup-in-storeの略で、要はオンラインで注文して店舗で受け取るサービスを指します。小売業に従事されている方は、古くはclick-and-correctでも同じような構想があったのを覚えてらっしゃるかと思います。ユーザーの利用するデバイスがPCからスマートフォンに移行したことで、このトレンドは一層強くなりました。(詳しくはこちら

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※2021年3月期について(画像はワークマンのIR資料からキャプチャ)引用

近年アパレル商品にも力を入れているワークマンでも、BOPISは活用されています。同社は主にプロ向けのワークマン632店、プロ+カジュアル層向けのワークマンプラス272店を展開しており、国内店舗数では国内ユニクロ事業よりも多くなっています。その9割以上がフランチャイズ店舗なのが特徴になっています。ECでの販売だと、当然売上は本部に集計されます。仮にフランチャイズ店舗での販促活動の結果、消費者がECで商品を購入した場合も、何らかの記録がないと追跡することは難しく、フランチャイズとの間で問題を引き起こします。そこで、ECで購入した後に、フランチャイズも含めた店頭で受け取れるBOPISに舵を切ることになります。

ワークマンは結果的にBOPISというチャネル戦略を取りましたが、これが当社にとって重要な顧客接点の改革に繋がりました。既に2021年3月期時点で、EC売上高の7割以上が店舗での受け取りによって作られています。以前のnote記事でも触れたとおり、国内の市場調査では、体感的に商品の質やサイズなどを確かめることが重要な衣料品のBOPIS需要は、食品や雑貨などの他のカテゴリーと比べて約2倍ほどになります。当初はフランチャイズへの気配りから、結果として選択したBOPIS戦略ですが、今ではプロユースで来店する消費者以外も、ワークマンのファンを育んでおり、衣料品目的で来店した消費者の約6割がリピーターになっています。もちろん、その後も売上は伸び続け、2021年9月度の取り置きの依頼件数は、前年同月比で140倍となっており、売り上げは同290倍になったとしています。

ワークマンの事例は、店舗をフルフィルメント/コミュニケーションセンターとして位置づけ、消費者との「新しい関係」を構築している事例になります。

次号は海外でのBOPISの活用事例としてWalmartを取り上げます。

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