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人生のシナリオ

その子は、一見したら普通の女の子。
細い肩はなだらかに落ち、太くも大きくもないその線にこんなエネルギーが詰まっているなんて。
のちに、世界中で、事業を通してを"凡人たち"を"天才"に開眼させていく人物。彼女の名前はリナ。これは、人生ひとときも無駄なことなんてない、そう感じさせてくれる彼女の物語。


神奈川県中探したって2.3人しかいないような、そんなあまりにもぼーっとした子だった。
幼稚園に行くよ、と言われるまでずっとカーテンの揺らぎを見ているだけ。
それが彼女の決めてもいない日課。

彼女には、"自分じるし"があった。
それはおでこの傷。ハリーポッターのように綺麗な形ではない、いびつでボコボコとした傷。これは、教室でクルクル踊っていたらお遊戯会の出し物にたまたま当たって血が吹き出して、何針か縫ってこさえた傷だ。大人になっても何年経ってもずっと彼女の身体にこの傷は居座った。

そんな彼女は、実は、生まれた時から、柔らかな愛が心から溢れていた。
お遊戯会で、お姫様役になれたときもそう。お姫様がやりたくて泣いた子がいた時に、自分だってなりたくてしょうがないお姫様をあっさりと譲ったのだ。
母は困惑して聞いたものだ。
「なんで譲ったの?」と。
彼女は迷わずに答えた。
「だって泣いていたから。私はあの子の笑顔が見たいの。」
母はあの時のことをよく振り返り、「天使がいると思った。」とあとあと彼女によく言った。

小学校に上がったとき、好きな教科は図工と社会と給食。特に図工くらいワクワクするものはなかった。自ら溢れ出る感情をひたすらにものに投影する。上手い下手、という概念などそこに存在する余地はない。
大好きな遊びは、家に帰ってからひたすら100枚くらい女の子の絵を描くこと。全て違った服を着ていてトータルコーディネートもばっちり。あとは自分で架空の学校の30名ほどのクラスを4〜5つ作り上げてその相関図を書くこと。両親はどんな人で名前の由来はなんだとかそんな細かい設定まで作り込む。あの時の情熱は、ずっとついえないんだ。

小学生に入って初めて、いじめを経験した。
いじめる方だ。"大人"の考え方を中途半端に身につけて、自分自身を信じられなくなっていた。でも何年か経って、ものすごく後悔した。いじめた子に、中学校に入った時に手紙を何通も書いて送った。ただただ自分の想いをのせた。
そうしたら、その子は返してくれたんだ。
許すと書いてある手紙を見て、1人部屋にこもってグシャグシャに泣いた。神さまみたいな子だと、思った。
人は間違っても、やり直すことができるんだと知り、そして彼女はもう一生絶対いじめないし、加担もしないし、いじめられている子に寄り添うと心に決めた。
一言もそうは書かなかったが、送った手紙は許して欲しいと言っているようなものだった。
いじめられていた彼女の本当の心の内は、彼女にしか一生わからない。
けれど、いじめられてた子の人生も、いじめっ子の人生も続いていく。


中学に上がって、今度はいじめられた。
髪を切られたり、全校生徒の前で罵声を浴びせられた。
自分の意思を貫いたからだ。
と共に、絶対にめげることはなかった。
「私は、私の人生は、誰にも犯されることはない。」
そのことを彼女は知っていたから。

その芯の強さは、彼女のその後の人生で幾度となく現れる荒波を越えさせた。どんな荒波の中にいようとも、その荒波でさえ味わい楽しみ尽くす。のちに、それが彼女の生き方となった。


社会人になって、彼女も"大人"になった。社会人たるもの、会社員として、不動産屋として、新人として、そんなことを自分の皮膚の下まで浸透させた。
そうしたら、ぼーっとした私、ゆっくりな私、計算ができない私、事務作業が理解できない私、営業ができない私、いろんな自分を責め始めた。
知らぬ間に、少しずつ、でも確実に、社会は彼女を「どこかの誰か」に作り上げた。
その、「どこかの誰か」さんの日常は、朝食が全く喉を通らない。毎日お腹を下す。酒なんて飲んだらすぐトイレに篭る。なんでもないウイルスに侵されて寝込むーーーーー。


パワハラもない、いじめもない会社だった。
でも圧倒的に足りないものがあった。幼稚園の時に作ったみたいな、無邪気にやってつくった傷がなかった。ワクワクして生きている時にできる傷が。


大人になったら、治りにくいからと言って傷つかないように沢山予防線をはる。全力で生きると傷だらけになるって知ってしまったから。
だけど、幼稚園のときはあんなに身近だったクルクル踊る時の感動を味わうことは、"大人"になってしまったら叶わない。

ある日のこと、会社一のエリート営業だったOJTの先輩がこう言った。
「たまにさ、電車が来る時線路に吸い込まれそうになる。」と。彼女はずっと黙っていた。
ただ、その先輩の気持ちに溶け入るように焦点も合わず遠くを見つめていた。

一筋の光とは、暗闇が深いほどにはっきりと見えるものだ。
当時彼女は転職していて、ファッションスタイリストをしていた。お金はなく、月収がなんとか5万円なんてのもザラだった。
運命だと思って付き合った彼氏と同棲したら、お互いの心に刃を向けるようになって、2ヶ月で破局した。彼は彼女の心に刃を向ける度に自分がもっと傷ついていることに気づかないで、放置していた。応戦した彼女も、応戦すればするほどに傷ついた。
お互い限界になるほどに傷ついた朝。彼の家から彼女は突然消えた。憎しみと、同量の愛情を携えて。

彼から離れた彼女は、未だ癒えぬボロ雑巾のような心を持ちながら、外ではいつも笑顔を作っていた。
そんな時に出会った人が紹介してくれたのが、のちのビジネスパートナーであり、もう1人の父親と仰ぐ人。
何度、その人の前で泣いただろう。その涙は固く重い鎧を溶かし、柔らかな新芽を産んだ。
あまりにも多くの人や事柄に傷つけられてきた、というそれまでの事実は、実は自分で自分を傷つけてきていたのだということを知った。今までの自分、そして触れてきたものや人への想い方が180度転換し、ひとつひとつ感謝で溢れていった。
生まれ変わったというよりも、本来の自分を取り戻したのだ。

そんな彼女には夢が芽生えた。
夢と言っても、叶ったらいいな、というものではない。既に叶っていることを知ったのだ。

今の自分が体現しているこのことこそ、自分が叶えたかった夢であることを知ったのだ。

そうして、当たり前に叶っていく未来を描いた。
皆が自分の人生こそ最高だと思える世界。酸いも甘いも美味しいのだと知り、自分の人生を味わい尽くす世界。
どんなに打ちひしがれる日があっても、それこそが味わい深いのだということを。
何もない日に色をつけるのは自分自身の感性だということを。
愛とは、心を注ぎ続けることだということを。
感謝とは、すなわち幸せだということを。
愛情と感謝を持つと、過去が新しく煌めき始め、未来を味わい深く懐かしめるということを。
こんな想いで生き抜くことが
"凡人"に実は天才であったことを気が付かせるのだということを。

大人が幸せでない世界が創る未来は、
味がしない。香りに感動がない。
聞こえる音にはどうしても雑音が入る。
触るものに嫌悪が混じる。
色が、見えない。

大人が自分の想いで生きる世界は、全ての子どもを天才にする。

そんな心の躍動が止まらない世界を創り上げる。こんな味わい深い人生あろうかと、彼女は未来の自分に向かってピースマークを送り続ける。 

40歳。彼女は世界を股にかけて仕事をしていた。
オンラインやメタバースなんて当たり前でしかないこの世界で、仮想空間を使ったセッションもしてみたが、やっぱりリアルなのだと世界を飛び回る彼女の目は、シナリオライターだった小学生の頃の目と変わらない。
まず、私が動くの。私が生き証人になるのよ。
100億なんて軽く飛び越えた世界線で、彼女は、人生を味わい尽くしていた。
子供もたくさん連れて海外へ。突飛な景色ばかり見せた。「もう6歳にもなればうちでは成人です。」彼女は語る。
愛情を注ぎ続けながら、対等な人間として扱う。
そうして子供達もさらに逞しく、それぞれらしく生きた。
彼女の会社は、今では創業106年を迎える。次の100年なんて当然の如くしなやかに拡大をしていく。変化万歳、芯だけは変わらない。まさに彼女が息づいている。


リナ: 25歳で起こした株式会社栞-scenario-での「心の解放塾」事業を26歳で全国主要都市に展開。27歳にて海外3都市にまで広げる。32歳で自社が日本の20代が働きがいのある会社ランキング1位となる。早々に社長職を退任したことが功を奏し、会長となっていた40歳で栞-scenario-が1000億企業となる。死ぬまで栞-scenario-に関わりながら、絵本制作や著作、講演会などをこなす。

・人生テーマ:
「ゆるふわストイック」
「PURE POISON (純粋なる毒)」であることを当たり前として生きる。

・著作多数。代表作↓

⚫︎『ゆるふわ起業』
「もう、リナちゃんはしょうがないなぁ〜。」
と言われながらも日本働きがいのある会社ランキング1位の会社を興したお話。

⚫︎『お花畑起業』
脳みその皺という皺にお花が咲いてるような人間が1000億企業をつくったお話。

⚫︎『ゆるふわストイックな生き方』
大成功しかしない私のひみつ。

⚫︎『社会不適合者の勝算』
欠点こそ、たからもの。もっとダメな私を見つけていこう!!

毎日寝坊、毎日遅刻、LINEを1週間返さない、電話は出れません、3ヶ月に一回音信不通の旅に出る、嫌なことは頑なにしない、パスポート落とす、、、。
それがあるから、愛される。彼女の極意!

⚫︎『人類モテ!!!』
赤ちゃんからジイバアまで。
友達ゼロから、人類に愛されまくる私になるまで。

⚫︎『万物モテ!!!』
人類モテにとどまらず、イヌネコから蚊、食べ物や椅子にいたるまで。
お金も、食べ物も、なんでも引き寄せる万有引力な私の頭の中。

⚫︎『皿洗いを最上級の娯楽にするには。』
固定概念とろけるドリルの総集編。


【作者編集後記】
この物語は、まだ生まれていない出来事が混ざっています。けれど、生み出すのが当然だと、思っているのです。それを当然のこととして私が日々、今この時を最大限に生きていければ。

人生は人が生み出せる最大のアート作品だ。
上手いか下手かなんて他者が評価できるようなものではない。

自分自身の魂を震わせられるか、ただそれだけ。

大人になって、魂が震えるような経験ができているだろうか。
無我夢中で夜も眠れぬくらい心が躍動するようなことを経験しただろうか。
大人が、ワクワクしていない世界が子供の笑顔を守れるのだろうか。

常に自問自答するんだ。自分自身を生きることに、何よりストイックであれ。

道は拓ける。

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