絶妙な似せ方がクセになる 中国そっくり文具の世界
油性マーカー、太いと細い、定番。これらのキーワードで思い浮かぶ文具といえば、ゼブラのマッキーではないだろうか。太さが異なる両頭の芯、1本で太線・細線の両方の筆記が可能なのが特徴。1976年の発売当初より製品のデザインにほとんど変化が無いこともあり、世代を問わずパッと思い浮かぶのがこのマッキーなのだ。
マッキー製品情報
https://www.zebra.co.jp/
製品名を中心に、ふたつのペン芯の存在を1秒で把握させる安定感のあるデザイン、真っ直ぐな筆記線をイメージした「マッキー」のフォントもまさにイケメン、油性マーカー界の石田純一といっても過言ではない。
そのイケメンっぷりはこちら中国でも大人気である。
海を越えても相変わらずのイケメンだ。でも何かが違う。実にそっくりだが細部が違う、でも似ている。油性マーカー界のモノマネ芸人 小石田純一だ。今回はこのそっくりマッキーを調べてみた。というか買ってみた。
IEZRAのブキー
それではさっそく製品を見ていただこう。まずそっくりマッキーの正面がこちら。
ブキーである。マッキーとブキー。どうやら「マッ」から線を2本省いて「ブ」としたようで、その後に「キー」が繋がり「ブキー」となっている。その他の表記はマッキーとさほど変わりがない。
ブランド名は「IEZRA」である。「ZEBRA」をベースに文字や並びを組み替えたと思われる。日本語読みはおそらく「いえずら」、どことなく甲州弁を感じさせる。社長はアットホームな山梨県民なのかもしれない。
太タイプは英語でMarkerと書かれているが
メーカーは同じくIEZRAなので
裏返せばやっぱりブキー。
裏面の注意書きもマッキーを忠実に再現しているが数カ所おかしい。
ペソだ。メキシコ通貨を握りしめて激しく踊るシーンを思い浮かべてしまう、さすがマラカスの国。山梨県だったりメキシコだったり実に忙しい。
外国人にとって「ソとン」「シとツ」はただのひっかけ問題である。「ソリューションビジネス」は「ンリューツョンビヅネス」となり、「ソンソン」は「ンンンン」となる。
ブキーだけじゃない
そっくりマッキーは数多く存在している。
製品名は「マーカー」といたって普通だが、ブランド名は「ZEBRA」の「R」を分離させた「ZEBIFA」となっている。
ファイソ、なんだかよく分からないが強そうな名前だ。
それぞれの品質はどうかといえば、激しく振らなくてもインク漏れが発生する確率が高く、そのためあっという間にインク切れをおこし、筆記線がカスカスになってしまう。だが安い、1本あたり日本円で30〜50円程度なので、10本買えば当たりの通常品質品が入っているのではないだろうか。100円程度の製品になれば品質がしっかりしており、ペソを激しく振ってもイソクは漏れにくい。
他メーカー品もどんどんリスペクト
ZEBRAのマッキーは定評が災いしたせいか、先述の商品意外にもたくさんのそっくりさんが存在する。では他メーカー製品はどうなのだろう。
こちらの油性マーカーは
パイロット油性マーカー製品情報
https://www.pilot.co.jp/
PILOTの油性マーカーをベースとしている。波の入った縞模様と、正円に描かれた太さがデザインの特徴である。
こちらの油性マーカーは
Artline製品情報
https://www.artlineworld.com/
ShachihataのArtlineをベースとしている。シルバーのペン軸に、近しいフォントで青文字のブランド名と赤文字の型番、下部の緑赤青ラインはかろうじて破線という形式をとっている。日本国内ではスタンプの印象が強いシヤチハタだが、海外ではShachihata Artlineというブランド展開を行い、製造現場や個人向け筆記具として高い評価を得ている。
文具市場に行ってみよう
これらのトリッキーな商品を探すのはかなりの手間になるのではないだろうか、と思いきやネット販売で山ほどヒットする。
中国在住者ならあっさりと購入可能。でも、やっぱり実際にお店で商品を手に取り、ビビビッ(死語)てきたらスマホでピッ、のんびりお買い物を楽しむのがチョベリグ(死語)ではないだろうか。
行ってみた
上海の福州路と蘇州河沿いには文具市場が存在している。比較的規模の大きい蘇州河エリアの市場は再開発により整備され、今では「西藏路文化礼品市場」が分かりやすい存在である。
門をくぐると大きく3つのエリアに分かれており、文具、ノベルティ、雑貨、その他など、ジャンルごとでお店がまとまって配置されている。
卸売りがメインだが小売りも行っているお店が多い。安いのでついつい箱買いしてしまう。
スポーツ用品や雑貨店も多く、いまいち用途の分からない物や商品か廃棄物かすら見分けのつかない物など、想像以上に取り扱い品が幅広い。
中でもブキーは人気商品なのであっさりと見つけることができる。もちろんそっくり商品以外にも、ZEBRAやuni、ぺんてるなど、本物の日本ブランド品や、著名な中国の文具メーカーもたくさん取り扱っている。ただし、市場なので土日や夕方以降は休業しているお店が多く、行くなら平日昼間がオススメだ。
中国のそっくり文具はいかがだっただろうか。どこか可愛らしいおかしな日本語や、ネタかと思いきや本気で製造している数々の文具たち。ペソを激しく振りたくなったら、是非とも上海へ飛んできていただきたい。
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