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コロナ禍でできること②

「すーこさん、年末はありがとう!」

そう言ったのは、地域でも有名な仕出し屋の女将。

今日、私の職場にお顔を出されて、ご挨拶していかれた。


”年末”というのは、昨年末の、

おせち

のことである。


私の家では、数年前から、そこのおせちを頼んでいる。

知り合いがそこでおせちを買っている、というのを聞き、

我が家もその店のおせちを買うようになった。

オードブルのようなカジュアルなものから、

きちっと重箱にはいったお節まで、値段別で用意されている。

毎年11月頃になると、女将が

「今年もおせち作るよ!」と、お話ついでに営業をかけに来て下さる。


毎年”そこのおせち”と決めている我が家は、昨年も何の迷いもなかった。

予約係は、私。

女将が営業をかけに来て下さるのを待っていた。


けれども、女将は12月初旬になっても現れなかった。

巷では、おせちの予約会も落ち着いてきている。

予約係の私は、さすがに焦った。


仕出し屋が構える弁当屋の店舗がある。

焦った私は、そこに駆け込んだ。「まだおせちは頼めますか?」と。


すると、どうやら店頭でのおせちの予約はすでに終了していたらしく

事務所に直接電話することをお勧めされた。


その日は既に事務所の電話受付が終わっている時間だったので、

次の日、朝一番に電話をかけた。

「まだおせちは頼めますか?

 いつも女将さんにお会いしてお願いしていたのですが、

 今年は会えていなくって・・・。」と。

結果・・・

いつものおせちより、一つ価格の安いものではあるが

用意できる、とのことであった。

そして、対応してくれた方も、丁寧に

「女将に伝えておきますね」と言って下さった。



結果、我が家は無事、

年末に”いつもの味のおせち”を

囲み、団らんの時を過ごすことができた。


そして今日・・・

「すーこさん、年末はありがとう!」と、

お礼を言いに、女将さんは来てくださった。

「気持ちが伝わって、嬉しかったよ・・・。」と。

聞けば、

昨年は、コロナの影響で様々な催事や会食がなくなり、

仕出し屋としては大打撃だったそうな。

また、4月~5月の緊急事態宣言下で

人通りも少なく、本当ならば臨時休業にしたいような実店舗も、

周辺の店との兼ね合いで、店を開けねばならず、

人件費だけが沢山かかり、赤字だったそうな。

人員調整もあり、しまいには、

女将さん自身、事務所ではなく店に出ずっぱりだった、と。

それで、挨拶兼おせちの営業周りもできないまま、の年末だったらしい。


確かに、女将さんは、

見た目でもわかるほど、少し痩せていた。

本人も、「忙しさで痩せた」と話していた。

「コロナになってから、本当に、きついよ・・・」と

こぼしていた。



地元の人なら、きっと一度は口にしたことがあるであろう、

先代から続く、地域に根付いた仕出し屋さん。


”自粛”している側だと、気付かなかったけれど、

自粛中も、

会社を、

社員を、

また、企業としての責務や

お客さんへの変わらないサービスを

守らなければいけない立場の人達は、

かつて経験した事のない苦労を強いられているのだなと

感じた。


究極的には、私はその立場になりえることはなく、

その苦労を語るに値しない訳だけれど

経営者たちは、

会社の運営や自分を含めた社員たちの生活を守る事に、

本当に頭を悩ませているのだと、痛いくらい伝わってきた。


”自粛と保障はセット”でしょ、

と心から思う。

どうか、私たちの日常に根付いた

地域を代表する企業やお店が

コロナに負けず、これからも続いていきますように。


私は私で、

お弁当、買うからね。



という訳で、

本日も最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

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