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「キング・ザ・ランド」 - 屈指の演技ドルカップルが満を持して王道に君臨するとき

★★★★★

2PMジュノと少女時代ユナという、アイドルとして時代を築きながら役者としてもトップを行く演技ドル代表のようなふたりが主役カップルを演じる本作。並外れて華やかで堂々とした、エンタメという観点でも最強なキャスティングです。そんなふたりが直球ど真ん中なラブコメに挑むと言われたら、とにもかくにも観ないわけにはゆかずでした。あらすじだけ見るといわゆるクリシェと思いがちですが、ジュノが会見で語ったとおり「知ってる味が真に深みのある味」と言える一本でしょう。質が高ければ王道というのは飽きないものなのです。そしてラブコメの大定番を演じる上で、アイドルの一流を走ってきたこのふたりほど出来上がりを約束してくれる役者はいないかもしれません。

チョン・サラン(イム・ユナ)は、ホテリエになることを夢見て語学からソムリエの資格までホテルで働くために必要な素養を片っ端から身につけてきた才能あふれる女性です。とはいえ家庭の事情もあり立派な学歴がない彼女にとって憧れの「キングホテル」への就職は叶わぬ夢のように思われました。ですが面接でサランの笑顔を気に入った常務のク・ファラン(キム・ソンヨン)が彼女を採用することに。

一方のク・ウォン(イ・ジュノ)はキングホテルを所有するキンググループの御曹司。会長である父の命でインターンとしてホテルで働くことになった彼ですが、出勤初日からヘリコプターでやってくるお坊ちゃんぷり。一旦は御曹司であることを隠して働き始めますが、同じインターンのノ・サンシク(アン・セハ)に対する上司の理不尽な態度に物申してあっという間に正体がバレてしまいます。巻き込んでしまったサンシクを連れてその場をあとにするウォン。

ウォンの姉である常務のファランは会長の後継者は自分であるとの自負が強くウォンを疎ましく思う気持ちを隠しません。とっとと外国へ行って好きに暮らせという姉に、ウォンも自分が姉から何かを奪うことはないと言いますが…。

そんな中、ホテルのジムに配属されたサランと汗を流しに来たウォンに運命の出会いが訪れます。よりにもよってウォンを自分に気持ちの悪いラブレターをよこした変態だと勘違いしたサランはウォンに怒りを爆発させてしまい、ウォンは何のことやらといった状態。ですが勘違いを残したまま、ウォンはイギリスへ渡ってしまいます。

そして数年の時が流れ…。最優秀社員として表彰されるまでになったサランでしたが、友人との飲み会ばかり優先する彼氏に悩んでいました。ウォンはイギリスの大学を卒業しましたが、ある日差出人不明の郵便が彼のもとに届きます。それを見るなり緊急帰国を決めるウォン。韓国へ戻ってくるなり、「ホテルで働きたい」と言い出すのです。当然快く思わないファラン。

それぞれの時間を過ごしてきたふたりですが、ついにキングホテルで再会を果たすことになります。初めはかつての最悪な出会いの余波でぶつかることになりますが、他人の作り笑いを何より嫌うウォンはお客様のために最高の笑顔を見せるサランに次第に気を許していくことに。そしていよいよ本格的なロマンスが始まるのです。

序盤のサランのホテルでの成功がとんとん拍子すぎたり、ジュノの冗談みたいな御曹司っぷりはある意味ツッコミどころなのですが、こういうドラマはそんな「絶対ありえない!」が持ち味かもしれません。何より、サランの人物像を一発で決めるユナの笑顔の強さ。天下の少女時代のセンターです。もうこの笑顔だけですべてを持っていくところがあります。対するジュノは天然の御曹司なのではと思えるほど気品と知性に溢れ、無邪気だけど心根の優しいウォンそのもの。「赤い袖先」の皇帝役にも繋がる素養を感じますが、「ただ愛する仲」で見せた姿とはまったく違うので、やはり彼の役者としての力量に感心せざるをえません。

ユナとジュノと言われると、もともと同時代を支えてきたトップアイドル同士で戦友みたいな間柄というイメージを持ってしまっていたので、初めは正直なんとなくロマンティックに見えないところもありました。ただそれがやがて、互いをよく知り信頼しあう伴侶の趣になっていき、長く連れ添った成熟したカップルとしてしっくりくるように。本当に唯一無二のカップリングだなと思います。

職場でのパワハラや身分違いの恋みたいな展開もあるにはありますがそこまで強烈ではなく、あくまでサランとウォンという魅力的なふたりが愛を育ながら困難を乗り越え、理想のホテリエ、理想のホテルオーナーとして道を模索していく爽やかな物語だと思います。なので気が重くなるような裏切り展開はまったくないですし、仕事や恋に少し疲れてしまったときに観るとふっと肩の力が抜けて気が和らぐ。そんなドラマでした。

主演のふたりにとって代表作となるかまでは正直わからないですが、このふたりでなければ成立しない作品だと感じました。そこに正面から挑んだような感じが私はとても好きです。

▼話題になったジュノとユナの歌番組での共演


▼その他、ドラマの観賞録まとめはこちら。

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