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「剣の詩」 - 華麗な銃撃で駆け抜けるアベンジャーズ時代劇

★★★★★

キム・ナムギルとユ・ジェミョンという非常にそそられる組み合わせで展開する歴史アクションアドベンチャー。制作費ドカンのNetflix韓国ドラマはクオリティで裏切らない部分がありますが、壮大な舞台に間違いのないキャストで豪快なエンタテインメントに仕上がっていると思います。個人的に、ストレートにかっこいいキム・ナムギルを観てみたかったので(「アイランド」は途中で脱落してしまい…)期待大で視聴開始。リアルで重い時代劇というよりとにかくアクションに全力を注いだ華やかな大作で一気観でした。なお公開されたのは恐らくシーズン1なので、バリバリこの先に続くであろうところで終わります。

舞台は1920年代、植民地時代の朝鮮。無法の地となっている間島には様々な背景を抱えた人々が流れ着き日々争いを繰り広げていました。

日本軍、抗う独立軍、盗賊、殺し屋、移民たち。祖国のために闘うもの、家族のために闘うもの、金のために闘うもの、ただ平穏な暮らしを望むもの…それぞれの思惑が複雑に交わりあい、時に共闘し時に銃口を向けあうことになります。

もともととある家の奴婢だったイ・ユン(キム・ナムギル)は、そこの坊ちゃまであるイ・グァンイル(イ・ヒョヌク)のはからいで奴婢の身分から解放され、グァンイルとともに日本軍側で軍人となり類稀な戦闘能力を発揮していましたが、自分のせいで同胞たちが虐殺され幼い子供すら守れなかったことで酒浸りの日々を送っていました。そんな中、その殺されてしまった人々の家族だった男、チェ・チュンス(ユ・ジェミョン)の行方を知り、彼の手にかかって死ぬためにユンは間島へ赴くのです。

一方で、自分のもとを抜け出していってしまったユンが許せないグァンイルによって放たれた刺客のオンニョニ(イ・ホジョン)も間島へ。間島は馬賊と独立軍、日本軍、現地警察が入り乱れ血で血を洗う日々。そしてユンのやってきたチュンスの村が馬賊に襲われ…。

自暴自棄になっていた男がかつての自分を取り戻し、そこに個性と才能を持った仲間たちが集まって家族を守るため敵に立ち向かって無双していく。大筋は非常にシンプルで分かりやすいストーリーです。なので戦闘シーンの見事さが際立つ(尺も長い)。西部劇のような銃捌きと東洋らしいチャンバラ、チュンスは弓の名手なので弓矢も飛び交い縦横無尽でとにかくアクションが華麗です。長めの裾をなびかせて銃を次々に持ち替えてひとりでも相手をバタバタ倒していくキム・ナムギルはそれだけでも作品のようでした。

チュンスが飛び上がりながら弓で闘うシーン、仲間のサングン(キム・ドユン)がマントをはためかせて猟銃を構えるシーン、いちいちかっこいいです。大胆不敵な女アサシンのオンニョニも見どころ。演じるモデル出身のイ・ホジョンの立ち姿の美しさが両手で銃を操る戦闘スタイルにぴったりハマっていました。

グァンイルは残念系を一手に引き受ける立ち位置ではあるのですが、しかしイケメンなのです。キム・ナムギルとは真逆の美しさで軍服の似合うこと似合うこと。そして日本軍の中でなんとか自分の存在を確立せんと必死にもがく姿は歯痒くもどこか憎み切れず。この先いつかユンと共闘してくれることを願うばかりです。

ちなみにこの時期の時代劇である以上、日本軍は必ず出てくるのでちょい難アリ日本語を話す日本人の登場は覚悟していましたが、意外と大丈夫でした(直近で「九尾狐伝1938」に慣れていたせいもあるか)。なんなら途中から「この人は実際に日本人なのかな?」と思っていた大岡警視さんはエンドロール見たら韓国の方のようでちょっとびっくり。グァンイルの日本語を朝鮮なまりだと馬鹿にするシーンがあるのですが、それにも説得力があるレベル。「この野郎」の巻き舌がとてもよくて少なくともセリフだけ練習したのではない感じがしました(笑)。

壮大な作品という意味では最近日本のドラマで「VIVANT」も面白く観ましたが、舞台や表現のでかさ、芸術性においてはやはりこういったNetflix韓国ドラマ(しかもスタジオドラゴン)は抜群でしょう。ユンのもとに様々な能力者が集ってバケモノ級に強いチームを作り上げていく様子はアベンジャーズを観ているようでもあり。物語に関しては続きが公開されてみないとなんとも言えないですが、撒かれた種、伏線たちはゾクゾクする繋がりを見せていると思います。世界観にどっぷりハマりたい方には心からオススメの一本です。



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喜怒哀楽ドラマ沼暮らし


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