写真嫌いがコスプレのカメコに挑戦した話(前編)

こんにちは、サブロクです。先日、コスプレの撮影会にカメラマンとして参加してきました。タイトル通り、「大嫌いだった撮影という行為が、コスプレ撮影を通して楽しいと思えるものになった」というごく個人的で小さな革命について、忘れないように記しておこうと思います。

その撮影でアンジョーのコスプレをしていたつきみさんがレポートをあげていたのを見て、「そういえば書いてないな。」と思ったので机に向かっています。

非常に長くなりましたので、当日までの流れと準備についてを前編、当日の撮影についてを後編としてお送りします。

私はカメラのことが大嫌いだった。

まずは私がカメラ・写真とどう付き合ってきたかを少し話させてください。

今まで生きてきた中で、私は写真を撮ったり撮られたりというのが好きではありませんでした。好きではないというか、嫌いです。嫌いを通り越して親の仇のように憎悪していました。親が写真の味方で、私の仇だった、というほうが正しいかもしれません。

カメラが趣味の父親に関わっていい思いをしたことは今まで一度もありません。撮らないでほしいと意思表示をしても盗撮のような形で写真を撮られたり、写真に笑顔でうつらないと責められたりしました。写真のことはどんどん嫌いになっていきました。私の中で写真とは暴力と同義になってしまったからです。

大学に上がり、自分でグラフィックデザインの勉強をするようになります。グラフィックの構成要素である写真を少しくらいは勉強してみようと考えて、大嫌いな父親から一眼レフを一台譲ってもらいました。カメラの知識がある先輩に教わりながら、何度か外へ出かけていって風景や人物を撮る練習をしました。
そのとき、建物や草木は撮れても人間にレンズを向けることに激しく抵抗を覚えている自分に気がつきます。なぜ被写体の彼らはカメラを向けられてあんなに無邪気に笑っていられるのか? 自分の「撮りたい」という暴力的な欲のためにカメラを使っていいのか? この戸惑いはその後ずっと私について回り、「カメラは使えなくもないけど進んで持ち出すものではない」という結論に落ち着き、苦手意識が払拭できないまま生きてきました。

等価交換の法則ーお前もいっしょにやるんだよ!!

さて、そんな写真嫌いの私がなぜカメラマンをやることになったかというと、すこし話が長くなります。

3月末、今回の撮影会で唯一の経験者であるはんぺんさんにオフでお会いした時「MZM合わせをしたいけどアンジョーのコスプレイヤーさんとスケジュールが合わない」というお話を聞いたんですね。MZMというのは、私が今一番推している音楽系Vtuberの男性2人組ユニット・MonsterZ MATEのことです。はんぺんさんの悩みに対して私は「つきみさんを初めてのコスプレに誘ってみたらどうか?」と提案して、本当にその日のうちにSkypeで誘いました。(しかも結構汚い手を使いました。その節はすみません。)

勧誘の結果は最初に載せた記事の通りなのですが、私はその通話で「一眼レフを持っているから、カメラマンさんが見つからなかったら呼んでね。」と言ったんです。思わず言っちゃったんですね、私は。今振り返れば言ってよかったなと思うのですが、その時は「あちゃー、しまったー」と思いました。写真のことをこんなにも嫌っているのに! お願いだから私にお鉢が回ってきませんように、と祈るばかりでした。

4月20日ごろ、はんぺんさんから「撮影会にカメラマンで参加してくれませんか?」という旨のDMが来ました。

ウォぁあーーーーーーーーーーっっっ!!!!!?????

繰り返しになりますが、振り返って本当に行ってよかったなと思うんです。でもこの時の心中はかなり複雑でした。まず「写真がこんなにも下手なのに、私にできるかな」「写真のことがこんなにも嫌いなのに、モチベーションの高いお二人に混ざって大丈夫だろうか」という不安がよぎりましたが、気づいたら「行きます」と返事をしていました。「コスプレをした2人を間近で見たい」という完全に邪な気持ちからです。本当にごめんなさい。

ただ、つきみさんの背中を押しておきながら、押した側の(しかも主犯の)自分が何もしないのはフェアではないように感じて後ろめたかったので、ありがたいお誘いだなあと思ったのも事実です。

準備は乗り気

お返事したばかりの時は不安でいっぱいでしたが、そうも言っていられません。だってこんな写真のド素人に撮影任せて、いい写真が一枚も撮れませんでした、ではお話にならないからです。そもそも私は「やるからには何事もオーバーキルで」をモットーに生きているので、準備と勉強は万全にして臨もうと考えました。

まずはネットでコスプレ撮影初心者向けの記事を探していくつか読み、必要になりそうな機材の情報を集めました。スタジオ撮影で必要になりそうだったレフ板は2000円しなかったのでAmazonで即購入しました。

迷ったのはレンズです。おさがりの一眼レフにはキットレンズがついていましたが、ポートレートに特化しているわけではありません。「ポートレートには単焦点レンズがいいよ」という大学の同期の言葉が蘇ります。半日ネットで初心者でも扱いやすいという単焦点レンズの中古品を探し続け、また半日かけて状態と値段を天秤にかけながらレンズを購入しました。およそ1万5000円しましたが、大変良い買い物でした。(訳あって撮影会では使いませんでしたが、試し撮りで十分楽しみました。)

またカメラの知識についても、あやふやなところがないように勉強しました。特にNikonの公式HPにはカメラの構造の基礎から撮り方、さらにコスプレ撮影に特化した記事まで揃っており、大変お世話になりました。

一眼レフの設定も少し弄ってみたり、撮影当日にすぐ参照できるようマニュアルのPDFをダウンロードしておきました。

父に会って

実はこの撮影会の前日、用事があって父親に会いに行っていました。そう、あの憎き父親です。突然父が「そういえばあのカメラ使ってる?」と尋ねてきました。もうギクッとして「ぼちぼち」と返すのが私の精一杯です。オタク趣味に理解があるわけでもなし、まずはコスプレとは何かから説明しなければいけないのが目に見えていました。

何を言われるんだろうと戦々恐々としながら聴いた言葉は「あれもう10年前の機種だよ」「それ用の望遠レンズあるから今度実家帰ってきたときにでも持って行きなさい」「なんなら2014年のモデルも使わないからあげる」でした。

そういうことはもっとはよ言えや!!!!!!!!!!!!!!

とは言いつつも、前の私だったら心の底から「いらない」と即答していたと思います。振り返って、もうこのころには写真に対する意識が変わっていたのかもしれません。

後編へ続く

さて、これで当日までの話は以上となります。内容がまあまあ暗いので驚いた方もいらっしゃるでしょう。ここまで読んでくださってありがとうございます。

この心境が撮影を通してどのように変わっていったのか、後編でお話しできればと思います。



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