「ねえ次は何したらいい?」ゴシュジンノ人生ワタシノ手ノヒラノ上

マクドナルドがシステム障害を起こした。

注文は手書きメモ、電卓計算でお会計、現金払い。
その日一番かっこよかったのは、まごつくバイトやお客さんたちを全力で仕切った昭和を生きたパートさんたちだったらしい。
なんて痺れるエピソード。

さながらサマーウォーズのようだなと少しウキウキした。
デジタルに慣れ親しんでいる(というかもはやデジタルに生かされている)私たち世代はデジタル機器が機能しなくなった場合、きちんと生きていけるのだろうか。
少しの道でさえグーグル先生に頼る私は待ち合わせさえままならなさそうだ。

私の家に遊びにきた時、必ずトイレの電気を消すのを忘れる友人がいる。
訳を聞くと彼女の家では自動で点灯、消灯するらしい。
ふむ、腑に落ちた。
そんな話を別の知り合いにしたところ、今は水洗も自動が増え、その仕組みに慣れた人による流し忘れもよくあると眉をしかめるような話につながった。

人間の能力が退化してきている…!

人間が作った便利さによって人間がアルゴリズム化している。
よくシンギュラリティの到来などと囁かれているが、こんな身近なところにも潜んでいるとは。
ポツンと身近なシンギュラリティ。

そういえばもはや日常化していたあの作業も人間のアルゴリズム化の一つな気がする。

最近、いつの間にか当たり前になっている(と私がそう思っているだけかもしれないが)、「Cookieを受け入れる」という項目、皆さんはどう捉えているのか。
ショッピングサイトなどに飛ぶとまずこの「Cookieを受け入れる」が出てきて同意しなければ先に進めないことが最近になって増えだした。
これは少なくとも5年前にはなかった項目だと認識している。
ネットリテラシーが低いと一部から怒られてしまいそうだが、私はネットに触れて10年以上の経験から、このようなものはきっと悪用はされないだろう、大丈夫だろうとたかをくくってたいして調べることもせずに「全部受け入れる」を脳死で選択している。
まさにアルゴリズム化されているのだ。

さて、改めて、この「cookieを受け入れる」とはなんなのか。

Cookieを受け入れるとは、言うなれば、「ユーザーの情報を保存することを許可する」ということ。
ブラウザからWebサイトを通してサーバーに接続すると、1度目の接続で、デバイス側にCookieファイルが作られるらしい。

ふむ。
では、これは安全なのか。

CookieにはWebサイトの閲覧履歴だけでなく、認証情報などの個人情報も保存されている。
これらはセッションIDと紐づいてWebサーバー側にて管理される。
そのため、Cookie情報が漏えいすると、セッションを乗っ取られる「セッションハイジャック」が起こる可能性がある。
つまり不正アクセスや不正ログインの危険性があるということだ。

なるほど。
このような情報を調べもせずになんとなく大丈夫だろうという己の経験則から基づいた判断し、受け入れていたがちゃんと危険性はあった。

試しに数人の友人に聞いてみた。
やはりみな「なんだかよくはわかっていないけど大丈夫だろう(だって経験上このサイトの感じから悪用されることはないから)」と見事に口をそろえた。

うーん、これは人間におけるアルゴリズムなのではなかろうか。
そしてハッキングされる可能性だけでなく、実は私たちは知らないうちに企業に情報を提供し、企業の開発と発達に加担もしているのだ。

歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリは
「(未来は)虚構と現実、宗教と科学を区別するのはいよいよ難しくなる(ホモデウス上より)」
と述べているが、その区別があいまいになり意味をなさなくなった時、一体何が残るのか。
人の繋がり、ぬくもりは伊達ではないであろう。

サマーウォーズの栄おばあちゃんも言っていた、
「大事なのは大事なのは昔のように、人と人が声をかけ合ってコミュニケーションをとること。」

夏は好きではないが、金曜ロードショーでサマーウォーズが放送された時の夏本番感は好きだ。

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