【須田亜香里さんの軌跡】◆M17 最後の試練を超えて


 
 須田さんは、選抜総選挙18位・選抜落ちに沈んだ2015年6月以降、「人間須田亜香里宣言」を初めとして、新たな試みも始めながら、苦難の1年を戦ってきました。
 
 そのような苦闘の中で挑んだ2016年の選抜総選挙、須田さんは、「神7入り」という目標を掲げます。
 しかし、AKBグループのファンの多くは、「立候補を辞退した選抜メンバーもいるから、選抜には復帰するだろう。しかし、神7はさすがに無理。」、という見方をしていました。

 ところが、須田さんは、速報では5位・2万2536票を得てファンを驚かせます。

 そして迎えた新潟での開票イベントで、須田さんは、6万9159票を得て、第7位となります。8位のメンバーとはわずか1033票差。松村香織さんをはじめとするSKE48の不出馬・卒業メンバーのファンの方々のご支援(心から感謝申し上げます)と、1票でも多く票を積み増そうとした須田ファンの執念が実り、須田さんはとうとう「神7」の一員に名を連ねました。

 徳光アナウンサーに名を呼ばれた後、須田さんは、立ち上がって深々と一礼し、階段を降りて松井珠理奈さんと抱き合います。【1】

 一方、開票イベント中継番組(フジテレビ)では、司会の宮根アナウンサーが「みなみちゃん、18位に落ちてから7位なんてちょっとあり得ないですよ、これ。」といい、これに答えて、高橋みなみさんは「(選抜から)一度落ちてしまうとなかなか上がってこれないんです。」、「(18位から神7は)普通は無理です。」とコメントしました。

 そして、須田さんは、ステージ中央に立ち、スピーチを始めました。

 「SKE48、チームEリーダー・須田亜香里と申します。
 今日までに投票してくださって、私がこのステージにまた立つことを許してくださった全ての方へ、本当に心から感謝しています。ありがとうございます。
 去年の選抜総選挙では、一昨年いただいた10位からランクダウンして18位になって号泣して、お見苦しい姿をお見せして本当にすみませんでした。そして、今日、泣かずにいられているのは決して結果が良かったからではありません。この1年で本当に大切なものに気付かせていただけたからだな、と思っています。

 今まで、私は、ずっと結果が全てだ、って思って生きてきました。選抜総選挙でランクアップするごとに自分の居場所がSKEの中にできて、ファンの方が喜んでくれるのを見ていたから、結果で得たものは結果ですべて失う、って思ってました。だから、恥ずかしながら、去年は、全てが終わった、って思っちゃいました。
 でも本当は、大事なのは表面上の結果じゃなくて、その中にどれだけの方の気持ちが入っているかなんだなって、それまでにどれだけ自分が一人一人の方と気持ちを通わせることができたかっていうことが一番大事なんだな、って気付きました。本当に感謝しています。ありがとうございます。」

 高橋みなみさんは、この部分で、涙をぬぐいながら何度もうなずきます。

 「だから、この7位という順位は、票数も込めて倍のうれしさがあります。
 そして、私がこの順位で呼ばれているのを見て、「何でなんだろう」って思ってる方もいると思います。速報で、現に、5位をいただいたときに、自分の名前で検索をしてみました。そしたら、“なぜ人気”と出てきました。」

 ここで、会場は笑いに包まれます。

 「確かに、私よりかわいい子もたくさんいるし、キラキラしている人はいっぱいいます。だから、私もどうしてここまで来れたのか自分でも分からなかったけど、それはきっと、私が人気だとか、そういうのじゃないんだなって思います。ここまで、私のことを内側まで見てくれた方が(私と)出会ってくれたりとか、(私を)見つけてくれたりしたからなんだなって思います。

 だから、次のシングルは(7位の)このポジションで歌わせていただくことになると思うんですけど、どうか「何でこの子が前なんだろう?」って言わないでください」。

 中継番組の出演者たちは大爆笑。

 私(筆者)は、総選挙スピーチの中の2箇所で,狙って笑いをとれるスピーチをできるようになった、須田さんの成長ぶり・大舞台での落ち着き振りに驚きました。

 「もちろん言っていただいて構いませんし、「何で」って思われた分だけ、私は見た目以上に中身を皆さんに信頼していただいてるんだなってことに自信を持てると思うので、どう言っていただいても構いませんが、順位に食われることなく、しっかりと、ここに立っている幸せをかみしめたいと思います。ありがとうございました。」

 高橋みなみさんはこの一言の直後,「良いスピーチ!」とコメントしてくれました。

 ここで中継番組はCMに入りましたが、徳光アナウンサーの問いに答えて、須田さんのコメントはまだ続きます。

 まずは徳光アナウンサーに対して。
 「昨年はハンカチ出していただいたりとか、票数これだけ入れてくれた人がいるんだから自信持ってって言ってくれたのに、無視してごめんなさい。」

 次にチームEの後輩に向けて。
 「つらいことと嬉しいことって、きっと交互に来るってみんな信じて頑張ると思うけど、たぶんそれは、比率が同じじゃないこともあるけど、絶対に見てくれる人がいるから。だから多少無理してでも、でも幸せでいたら絶対にいいことあるから、一緒に頑張ろう。よろしくお願いします。」

 須田さんの「神7入り」は、須田さんのファンだけではなく、多くの人々に祝福されました。例えば、かつてSKEの楽曲の振付を担当した先生は、開票イベントの翌日、

 「須田亜香里の素晴らしさは振り付けした俺にはとても分かる! 誰よりも気の使える素晴らしいアイドル!」

 とツィートしてくれました。【2】

 神7入りした今、2015年の総選挙以降の1年間を振り返ってみれば、この1年間の須田さんの苦難は、須田さんが「神々の領域」にたどり着くための最後の試練だったのかも知れません。そして、須田さんは、その試練を、ときには傷つき、ときには倒されて這いつくばりながらも、自らを成長させ、とうとう乗り越えたのです。

「M18 神7の光と影」に続く。

<ソースノート>
【1】選抜総選挙の開票イベント中継番組(フジテレビ)
SKE48公式サイト
(http://spn.ske48.co.jp/report/report.php?id=cmsiiihg5q5a5ej5)
【2】
https://twitter.com/sskingmaster/status/744142998611492864
 なお、須田さんと松村さんのユニットが歌う「ここで一発」の振付けを担当された別の先生も、須田さんに投票した投票サイトの画像付きで、「AKB選抜総選挙! 須田亜香里さん、7位おめでとうございます。小さな力ですが投票させていただきました。「ここで一発」の振り入れの時に、一緒にお仕事させていただき、二人(注、須田さんと松村さん)のアイドル性と人柄が素敵すぎて・・・。ずっとずっと、大好きです。」と祝福のツィートをして下さいました。
https://twitter.com/Chu_Z_pyon/status/744141280700051456

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