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探索的テストでは品質保証ができない

最近、アジャイル開発手法などで流行の「探索的テスト」

私は、QA(Quality Assurance:品質保証)と言う立場に立った時、このテスト手法が品質を保証するに至らない、と断言することができます(まぁ、無理やり何とかしているところもあるかも知れませんが…いやでも無理だろぉ…)。

テストを実施する前にはテスト設計とテストケース作成といった準備が必要ですが、開発期間がタイトになると十分な時間を取れないこともあります。
このような場合に有効な方法が「探索的テスト」です。

記事の中でも、冒頭にこう書かれていますが、ここで書かれている説明通り『目的』は十分な時間が取れない時に、効率的に品質を向上するための手法でしかありません。

ここで注意したいのは「品質向上」と「品質保証」は根本的にまったく別物であるという点です。

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「品質向上」とは、今よりももっと良くしようと言う more better な取組み活動です。もちろん妥協はしないので、想定しうる範囲で完璧であろうとするでしょう。ですが、この観点の場合は、どんなに苦労しても、どんなに努力しても、最後の最後に「で、それで品質としてはもう完璧であると証明できるの?」と言われた時に答えが返せません。

「でも、以前よりはずいぶんよくなっています」とは答えられます。

これが品質向上です。

「品質保証」とは、ある条件下において求められている品質が完璧であると証明するものです。つまり、more better ではなく、best を目指すものです。だから『保証』と言います。

もちろん、ここで言う"完璧"とは本当の意味での完璧…100%のことではなく、あくまで論理的な割合のことを言います。テストで品質を絶対的な100%にすることは不可能です。これは JSTQB の指し示す「ソフトウェア品質の7原則」でも謳われていることは、以前お話した通りです。

ですから、「ある条件下において」と説明するのです。

この条件とは、

 あらかじめ、どうなっていることが正しいのか、
 答えが用意されている場合

です。この答えと突き合わせて『答え合わせ』ができる場合に限り、その『答え合わせ』ができる範囲内において品質が証明され、保証することが可能になるのです。


では、翻って 探索的テスト はどうでしょうか。

探索的テストとは、テスト実行者がテスト内容の作成とテストの実行を同時に並行して行うテスト手法です。あらかじめテストケースを作成するのではなく、ソフトウェアの振る舞いやテスト結果を見ながらテストを実行します。

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