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筆記テストと実務の乖離

社会人になっても筆記テストモノってまだあちこちに存在しています。原則として、これはWEBテストでも本質的な部分が一致している以上、同じことが言えます。

資格試験などがその最たる例ですけど、私もその「すべてが間違っている」とは言いません。特に知識量を問われるような資格なら、それもいいでしょう。

ですが、『他に方法がないから』という理由だけで、なんとなく筆記テストにしている系のものはどうしても好きになれません。なぜなら

 実務のレベルに直結しないから

です。資格がなければ実務に就けない「弁護士」などの士業はまだいいでしょう。でも、たとえばソフトウェアエンジニアの場合、資格を取ったから、テストでいい点を取ったから、イコール『実務で優れている』かというとそこはあまり直結するものではありません。

経験が無いと…と言うのもありますが、それ以上に筆記テストの内容が

 ①どうしても記憶を試す問題が多すぎる
 ②「問題を解く」ための時間制限が、実務レベルと乖離している

という問題が解決されていないのです。
改善すらされた気配を感じません。

中には

 「これ、実務だったらExcelでマトリクス使えば一発だろ!?」

って問題も多々あります。なのに、わざわざ試験用紙の空いた箇所を使って書いていく…なんてあまりにも実務と乖離していて、そんなスキルを持っていたとしても、あるいは持っていなかったとしても本質的な『課題解決力』や『問題解決力』を測ることができません。

実務で重要なのは「できること」「質が高いこと」「スケジュールを守ること」「予算内で完了すること」です。それらの目的さえ果たせれば、原則として手段を問いません。限られた環境下で行われるテストとは、根本的にスタートラインが異なります。

実務は、有識者に聞くことも、カンニングすることも自由です。むしろ、早期解決できるのであれば、推奨すらされることです。そう言った総合的な能力も含めて実務レベルは問われます。

根本的に筆記テストの考え方とは合致しません。


受験者にとってはたしかに皆一律で平等かもしれません。

用意された条件が同じであればあるほど、スタートラインもハードルも同じですから。もしも筆記テストの目的が「ランキングや優劣を決めるため」のモノというのであれば、今のままでもいいと思います。

ですが、目的が

 「解決力が一定の水準を満たしているかどうか」

を測定するためのものだというのであれば、スタートラインを平等にすること自体、意味がまったくありません。人それぞれの実務に則した、最も解きやすい環境で挑ませるべきです。

でなければ、実務レベルで測定することは不可能です。

そしてその不可能を改善できないテストなら、やるだけ無駄です。やっても実務レベルの測定ができないからです。


自分一人でその答えに辿り着いたのは三十路になった頃でした。

20代の頃は会社からの強制ということもあって情報処理試験を受けてました(徹夜のトラブル対策後に直行したり)。もちろん、午後まで気力が保たずに一度も合格したことはありません。30代以降は試験すら受けないようになりました。

ですが、トラブルがひとたび起きれば、世の中的にはどうかわかりませんが、自分が所属する会社、あるいはその会社と取引をする大手SIerなどの中では1番、あるいは1番に近いところで活躍していました。

名前が表に出るような舞台にはいませんでしたが、それなりに社会インフラを根っこから支えるような大きな功績にも貢献してきました。

おそらくテストを受ければ、大した点数は取れないでしょう。

記憶力に頼らなくても、必要なことは文書化していますし、仕組み化や手順化、マニュアル化などを常に行うことで、必要に応じて読み返せばいいようにしているから、実務では困りません。

「メモ」を取る人によくありがちなのは

「メモを取るだけ取ったら満足して、見直さなくなってしまう」
「なんでもメモを取るけど、どこに何を書いているか把握できていない」

というケースですが、私はそれをしません。

 ・文書化、記録化する情報は『意味がある内容』に限る
 ・記憶の大半は、文書化・記録化した内容の目次に費やす
 ・その記憶すら過信しないよう、文書や記録自体を整理して保管する

と言ったことを決して怠らないからです。
実務では、それで事足りるのです。

だから、テストでは「多種多様に存在する実力のごく一部しか測れない」と断言することができます。

もちろん、記憶力だけに頼って解決力を発揮する人もいるでしょうから、そう言った実力を測るにはうってつけだとは思います。ですが、それは世の中で実務を行っているスペシャリストの何割を測定可能なんでしょうね…。

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