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AI時代の泳ぎ方⑦ 思考メモで自分のスキルを見極める

【前回のおさらい】

前回は、人の脳の働きと記憶の特性から思考メモの役割を整理してみました。
その要点は
・人間の記憶には、長期記憶とワーキングメモリーがある。長期記憶は脳の奥底に貯蔵されており、ワーキングメモリーは今直面する課題に対し、そこから必要な情報、知識を引っ張り出して思考し意志決定する
考えるという行為は記憶の質に直結している。引っ張り出される記憶がいいもの、旬なものであるほど、よりいい考えや意思決定に結びつく
・そこで「思考メモ」をお勧めする。思考メモとは、自分の仕事や普段の生活での気づきや意見、「こうしたらいいのに」という妄想を書き込んだもの
・何故なら、思考メモは長期記憶のベースとなり、ワーキングメモリーの原資になるからである
ということでした。

しかし、よくよく考えれば、この考え方はAI時代じゃなくても通用するものですね。

なので、今回は思考メモが、なぜAI時代に威力を発揮するのか、考えてみたいと思います。

その1:汎用知と自分知を合体させることで、よりパワフルな知が生まれる

「ChatGPT時代の企画能力の磨き方」(2023年6月21日ブログ)でも書きましたが、生成AIがもたらしてくれるのは、言ってみれば、世界の汎用知です。
これはこれで素晴らしい情報であり、自分の思考の血肉として取り入れることができます。
一方、システム2を働かせる方法として、「Why?と問う」、「因果を類推する」、「妄想せよ」と私は推奨しましたが、これらは自分の頭で考えろということです。言ってみれば、自分知とも言えるでしょう。

例えば、私はマーケッターなので企画書を作る時のことを考えてみましょう。
企画書では最初に「市場分析」を行うわけですが、この時ChatGPTの力を借りれば、わりと漏れなく整理された市場分析で考えるべき情報が出てくるわけです。
でも自分たち(会社や業界も含め)は、それとはちょっと別の視点での常識やインサイト、ファインディンングを持っていますよね。それらはChatGPTでは決して出てこない知です。
それらをメモとして溜めてある、あるいは明示知化していれば、この市場分析をする時に非常に有効です。
企画書的には、これらを合体させて整理していくことで、他にはない価値ある市場分析になっていくわけです。

つまり、汎用知と自分知を合体させることで、よりパワフルな知が生まれるということです。


その2:自分が見えてくる

また、もう少し長期的な視点で考えてみましょう。
それは思考メモによる自分知の蓄積で今までに見えなかったものが見えてくるということです。

では具体的に何が見えてくるのか?

抽象的に言えば、自分が見えてくるのです。
自分はどういう思考のクセがあるのか、何に興味が集中しているのか
もう少しポジティブに言えば、人の中で、自分はどのようにユニークかということです。
なぜなら、この図のように客観化できるからですね。

なので、このことをベースにして、自分の価値をどう発揮できるかという方向性も見えてくるはずです。
言うまでもなく、自分の価値をどう発揮するか、どう成長するかはビジネスに携わる人共通の課題です。
その時、自分の個性や強みをはっきりと自覚し、それをどう伸ばすかという人生戦略をつくることができるのです。

以上、多少大げさになってしまいましたが、思考メモによって、自分を知ったり、価値の高め方を知ったりすることができるということです。

なぜスマホメモか

最後になりますが、この思考メモは紙よりも電子デバイスに溜めておいた方がベターです。

前回、思考メモは見返すことで長期記憶として定着し、より良質な思考につなげることができると述べましたが、それは紙のメモだろうと一緒です。

ただ、AI時代になって、決定的に違うのは、思考メモを電子のビッグデータとして蓄積することで、それをAIに分析させ、自分と一緒になって、自分の個性や価値を見出してくれることが可能になってくるということです。
このことは、ブログでも、社内講師でも、交渉でも、面接でも、何らか自らの見識を発信をするような場面で、非常に役立ちます
AIは、単なるアシスタントやコンシェルジュだけではなく、自分の価値づくりの相棒になってくれるのです。

余談ですが、前回申し上げたように、私の思考メモ数は1万2千に達しようとしていますが、今年の課題としては、それをAIに入れ込み、自分知として整理してみようと思っています。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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