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先輩「それは一般的には付き合ってる、と言います。」

タイトルの一言を先輩に言われた。ほぼ毎日ゲームしながら数時間電話して、遠距離とはいえそこそこの頻度で会っている。「それはもう付き合ってると同じ!」と先輩はさらっと言うけど、付き合ってないんだよなあ、私たち。この時点で、最初の事故から2年半経っていた。「これはいけるんじゃないか……?」と私が3〜4回目、10…何年かぶりに振られてから2年半。あっという間だったけれども。

2020年7月、世の中が感染症でざわつき始めてしばらく経った頃。「不要不急の、県外への移動は延期してください」のアナウンスを尻目に、私はモナリザに会いに行っていた。ごめんなさい。外出はしないから、買い物行く時も本当に気をつけるから、私の要で急な用事を済まさせてください……。

彼と合流できる時間より、少し早く到着する新幹線に乗り、私は数年前にそっちへ引っ越した親友(中学の時の話とは別の子…アリスとしておく)とこっそり会った。マスクも外せないしそこそこ距離を取りながら、だったので、アリスの可愛い顔をちゃんと見られなかったのは残念だったけど。(本当にかわいい顔をしてるんだ。)私はアリスにも、モナリザの話はほぼほぼ全て話していて、この時も勿論近況を伝えた。

「……それって『交際』の名がついたからと言って、何が変わるの?」

と彼女は言った。それは「名前がついたからと言って、特に変わることがないのなら、付き合ったって同じなのだから、付き合ってもいいじゃんね」という意味で。なるほど、同じなら敢えて現状から、違う名前の関係性を求める必要はない、という頭で私はいたんだけど、アリスは「同じなんだから名前をつけたっていい」と言った。……そう。なるほどね。「じゃあそうやって言ってみようかな……」という気持ちになったところで、モナリザから「ついた」と3文字だけの連絡がきた。いつもそう、送られてくるのは大抵数文字だけ。電話で話していても直接話していても、もとより寡黙な人ではあるけど、流石に数文字よりは発声するのでそれもあって電話をしたがってしまうんだよなあどうしても。データ量、多ければ多いほど嬉しいよ。私、対あなた専用で光回線引いてるのに、この人はダイヤルアップ接続並みのデータ量しか送ってこないんだものね。

私がモナリザと会う前後、激しく情緒を乱すことを知っているアリスは「ちゃんと彼に身柄を預けるまで一緒にいる」と言ってくれた。彼女と駅ビルの無印をうろついていたところ、モナリザが店に入ってくるのが遠くに見え「い、いる!いるよ!!」とワナワナしていたのに、モナリザは私に気づかず隣をすり抜けて行きそうだったので「モナリザ!」とつかまえて、そして「この子がアリスです」と親友を紹介した。私はこれまでの人生で、自分のパートナーと友人を会わせる(紹介する)という機会がほぼなかったこともあり、なんだかとても変な感覚だった。私がいなかったらおそらく出会うことがなかったであろう人たち同士が……挨拶してる……。

モナリザは「どうも、〇〇(苗字)です。お世話になってます」とアリスに言っていた。そう。私はとってもアリスにお世話になってる。それは合ってる。でもそれ、あなたが言う!?身元預かり人でもないでしょうに!預かってくれないじゃないか!!……と、私は無印の店内の真ん中で心中穏やかではいられなかった。あんなリラックス特化型フォークミュージックが流れている中で。

二言三言言葉を交わして、私の身柄は(一見は)無事にアリスからモナリザへ渡された。「じゃあ、またね」とアリスに言うと、アリスはモナリザの方を見てにっこり「この子をどうぞよろしく」と言い、帰っていった。

イケメンかよ……。

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