見出し画像

戦没者遺骨のDNA鑑定

 厚生労働省が行っている戦没者遺族等に対する援護施策です。
戦没者の遺族である私は、この度鑑定の申請をしました。


(1) 厚生労働省の施策

 DNA鑑定により戦没者遺骨の身元を特定し、遺族のもとへ遺骨を返還する
事業を行っています。
 令和3年10月から、DNA鑑定にかかる対象地域を拡大しました。

(2) 戸籍謄本

 DNA鑑定の申請書には戦没者の本籍地と戦死した場所を記入しなければ
なりません。これらは戸籍謄本に記載されています。

 本籍地がわかると応集した連隊がわかり、出征先がわかります。
戸籍謄本には戦死した場所も書いてあります。
フィリピンのルソン島ヌエバビスカヤ州です。
辺境の山岳地帯で大変な激戦地です。

(3) DNA検体

 鑑定のためにDNA検体を提出しなければなりません。
戦没者の兄弟姉妹は既に全員なくなっていますが、甥・姪は健在
ですので検体提供は可能です。

 男性である戦没者の兄弟の男子(甥)の検体から、Y染色体が
共通するかどうかの判定ができます。
 さらに戦没者の姉妹の子(甥又は姪)から、ミトコンドリア染色体
が共通するかどうかの判定ができます。
 今回申請では、甥である私と姪である従妹の検体を厚生労働省へ
提出しました。(検体は口の頬内側の粘膜を綿棒で採取します。)

(4) 遺骨の身元特定はできるか

 私の叔父は学徒動員で出征し、昭和20年にフィリピンで戦死しました。
戦時中にフィリピンで戦病死した日本人は50万人以上ですが、厚生労働省
が保管しているフィリピンでの戦没者遺骨の検体数は47です。
 身元特定できる確率は1万分の1以下です。
申請をしても見込みはほとんどありません。

 DNA鑑定申請をして身元特定できる確率は宝くじ並みですが、身元特定
できるほうが、宝くじ当選よりも価値があると私は思うのです。


 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?