ある冬の日

FANBOXに投稿した小話です。字数に比べて割高ですが読みたい方向け。
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 金髪で高身長の、体格のよい男性に出会うと、ついつい目で追ってしまう。友人にはなんて趣味が俗っぽいのかと呆れられ、また自分自身そのように恥じ入る節もあったのだが、ふと、これは単なる自分の好みではなく、幼い頃の思い出に影響された結果であることを発見し、少々ほっとした。誰しも人格形成以前に受けた衝撃からは逃れ難く、前述の友人だって幼い頃に禁じられていたコーラに異様に執着する成人になってしまったのだから、この分かり易すぎる趣味は別に私一人の責任ではない。初めて心惹かれた人物が、たまたまそうした特徴を備えていただけのことなのだ。
 彼は私の叔父であった。だが叔父と父とは疎遠だったようで、その一回きりしか彼と交際した記憶はない。以降は顔を見ることはあっても、遠巻きに列席を確認する程度で、会話する機会はなかった。私はまだ五歳で、弟の誕生会の席か何かだったように思う。叔父は父に限らず親類の誰とも没交渉であったらしいが、子の誕生を祝福する最初の席には顔を見せたようだ。恐らく、私の一歳の誕生会にも出席してくれていたのだろう。赤ん坊だった私には、当然記憶がないのであるが。

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