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【コラボ記事:前篇】シンガーソングライター3人が感じたこの1年の変化と生活、そして現在地。

7月10日にアコースティック生配信ライブを行うにあたり、ゲスト出演の依頼を K.K. にさせてもらったところから、この対談記事のアイディアは始まった。

今回の配信ライブは「recipeの仕込み」と題した。少し勇気や元気が欲しい、ちょっと心細い、そんな時に開きたくなるような、レシピ本をイメージしてライブを制作している。そこにはヘンテコなHow toや、誰かの哲学、秘密の材料で作られたあったかい飲み物や、思い出せる一つのジョークがある、そんなイメージ。そんなレシピの1ページを今回K.K.には彩ってもらうことにした。二人と共に当日つくるレシピのテーマは「笑顔の生み方」

その前段としての今回の対談記事の前編である。

Goosehouseなどの活動を経て10年以上。全く異なる表現を届ける2組でありながら、交流が続いてきた。そしてコロナ禍の生活の中で、誰もが深く人との関わりや「笑うこと」の大切さを実感した一年。

人生のrecipeというと大袈裟に聞こえるかもしれないが、2組がこの一年、何を感じ、何を考え活動を続けたのか、その対談である。

1. コロナ禍で変わったこと。行動や、精神の話。

「この1年ってやっぱり音楽の在り方とかを含めて、世の中的にも沢山変化があったと思うけど、二人の生活はどうだった?」

木村「どうだろう。変わった?(工藤を見て)」

工藤「俺は変わったかな。特に、24時間の使い方が変わった気がする。人に会うことも減ったし、外に出る事が減ったから、自分のペースで仕事ができるようになった。前は無理していたけど、今は眠かったら昼寝して回復する。その後、集中が続いている時は朝まで頑張ることができる。モチベーション次第でかなり自在に動けるようになった。」

「それはいいことなの?笑」

工藤「どっちもあるかも。どこまででも頑張れてしまうっていうところは良くないけど、栄養を摂って睡眠時間も取れていれば、毎日同じテンションで作業できるように体が適応するようになった。でも6時間は必ず毎日寝るようにしているよ。」

木村「工藤はそういう頑張り方が合ってるよね。」


2.半径5mですべてのことを解決できるようになった


工藤「あとはずーっと紙に何かを書いてたね。2020年の初めに年の終わりまでの年計を作ってそれが全部飛んで。それがものすごいストレスで、考えをまとめるために思考をひたすら可視化して消化していた。」

「そうだよね。予定が飛ぶだけじゃなくて、一年前は特に立て直しそのものが難しかったよね。」

木村「俺は、生活の変化でいうと、半径5m以内ですべての物事を解決できるようになったことは大きな変化かもしれない。今までは、どこか遠くへ行くとか、お酒を飲んでみるとか。何かから逃げることで、自分を保っていた。そういう循環を信じ込んでいたんだけど、身動きが取れないような生活の中で自分の行動が少しずつ変わったんだよね。俺は性格的にとても頑固なんだけど、こうやって変わるんだなって。それで、その生活の中で見つけた考え方で『自分にコントロールできないことでエネルギーを使わない』この基準ができたことは大きかった。例えば、見えない人の気持ちを推し量りすぎて自分の行動を変えるというのは、ものすごく膨大なエネルギーを要するんだということに気づいた。人の気持ちを考えないということではないのだけど、自分の楽しさにまず気づくこと、それってとても大事だなって」

「本当にわかる。わかるよ。私も逃避が大好きで…」

工藤「出た。そうだね、二人はそこが似てるかもね。逃避、俺はもう全然それ意味わかんないんだよな。」

「わかれよ!」

工藤「全くわからないとかじゃなくて(笑)例えばどこへ行っても、何をみても、その物事から逃げられる感覚がないんだよね。好きな人や仲間と笑っている時間の方が自分にとっては逃避になる実感がある。あとは、どんな場所にいても楽しめる自分でいることが大事だなってのが思うところ。」

木村「工藤は『いきてたい願望』がすごく強いよね。いきるってのは二つあって、『生きる』と『活きる』で。工藤は誰かを『活かす』意味で、隣の誰かに対して楽しませたいとか癒すとかっていう行動から得るものによって、いきてる実感を欲してる感じがすごく強いよね。」

工藤「あー(笑)確かにすごく恥ずかしいけど、正英に対して、一緒にいる時は今でも楽しませたいって、思ってる!笑」

木村「俺はわりと自分が不在の時間があっても大丈夫。」

「私も木村くんに近いな。ぼーっとする時間も好き。」

工藤「俺はきっと、なにに対しても止まることが怖いという感覚もすごくあるし、日頃、人からもらうものが多いなって思ってるからかも。いつも思うんだけど、正英みたいな突破口がいて、その後に自分が『あとは任せて』って感じで一番活きる番が回ってくると思ってる。だからいいことしてるとかは思ったことなくて。そういう人との関係性の中で構築されてる自分の持ち味っていうのを無意識的に生活に取り入れてるんだろうな。」

「それ面白いね。工藤さんがそう思っていたとしても、工藤さんにもやっぱり人の良さとか魅力を引き出す能力が備わってるよね。私は、相手によってはもう全く話せない。話す、が途端に難しくなることってざらにある。相手がどのくらい自分に興味を持ってるか、集中して聞いてくれてるかを些細な態度から読み取りすぎて、安心して喋れない時には言葉をどんどん削いじゃう。気付くと、考えてることの何割も伝えてない時ってある。二人と喋る時はかなり喋ってる気がする。ありがとう(笑)」

工藤「ちょっと違うかもしれないけど、このメンバーで話すときってそういうこと気にしないでいい感覚ない?キャラも違うし、タイプも違うのだけど、なんだかとてもパズルがハマったような心地よさがある気がする。」

木村「あるね。」 

3.制限されたことで、変わったこと。


工藤「さっき出た話に少し戻るけど、旅にいきたい、とかそういう出来ないことを他の何かで埋められたってことなのかな。それはできないことの代わりとしてそうなったのかな?」

木村「代わりという感じではなくて、新しいものとの出会いという感じ。自分は好きなお店に行っても、絶対に同じものを頼むんだよ。そのくらい頑固な人間だった自分が、変化や新しいものを受け入れたんだよね。この変化には自分でも驚いた。例えば、グッズの絵を自分で描いて見たり、部屋のインテリアについて模索したり。やってみると意外といい評価をもらえたことも、喜びになったり気づきを生んだよ。そういう自分には縁遠いと思っていたことをやれたのは、大きな変化だったな。」

工藤「たしかにたしかに!その変化はなんとなく感じてた。俺は逆に、新しいものに触れると言うより、物事を深掘る作業をずっとしてたかも。自分の感情とか思考を紙にひたすら書くことで、簡単に整理できるようになったり、消化できるようになった気がする。」

「二人は対照的だよね。消化の仕方って今のこの生活の中で、一つの大きなテーマだよね。私はコロナ禍で、何をどう消化したらいいかがわからなくなったことはあったかも。今はだいぶわかってきたけど。それこそ『環境が変わるか、自分が変わるか』みたいな議題って常にあった中、この『環境』が変わったことによる影響を感じた人はすごく多かったと思うよね。環境の変化に合わせて、消化の仕方も変わったというか。それこそ木村くんの、自宅のインテリアの話とか。」

木村「そうかもね。」

「自宅で録音をしていた時に、モニター環境がちゃんとしているかどうか(自分の声や音が綺麗に聞こえているか)で、録れる歌って全然違うじゃん。環境をコントロールしたことによる成果が、確実な形で出る。これは無視できない真実だなって思ったんだよね。ってことは、やっぱり環境を整えるという行動は、成果そのものに影響する気がした。だから、環境の整備ってとても大事だなとこの一年で痛感したんだよね。精神論を唱えられることも今より若い頃はすごく多かったんだけど、何にどう影響を受けるかは人によるなーと確信した。工藤さんのその書き続ける作業は、精神的な消化になるのかな。」

工藤「あー。たしかに精神的な消化になってるかもしれない。汀とは少し違うかもしれないけど、自分も毎日テーブル一つと紙とペンという環境だけは整えていたのかもって思った。毎日やっているうちに自分のコンプレックスとも向き合う時間になっていたから、自信にもつながったような気がする。」

「コンプレックス。例えば?」

工藤「うさんくさいとか、嘘っぽいと言われることが自分の中ですごくコンプレックスだった。でも、書くことを続けて、どのくらいの割合で自分が今何をどれくらい考えてるかわかるようになって、そうすることで自分のことをより深く知って向き合えた感じがした。」

「コンプレックスって面と向き合うの怖いよね。怖いが故に触れがたいものになってく。」

工藤「初めのうちは、考えてることはとにかくなんでも書いたよ。例えば、書き始めたペンが薄いな、って思ったらそれも書く。いろんな欲求についても可視化する。雑念をすぐに可視化することで頭に溜めずに済むなって思ってる。」

「それ、瞑想みたいじゃん。笑」

工藤「そうなんだ!」

「最近学んだ、瞑想の方法にとても似てる。雑念の認知と許容で、心や思考を落ち着ける、みたいな方法を見たよ。雑念にも観察とかケアが有効って面白いよね。」

木村「それ面白いね。向き合って許すって邪念との向き合い方があるんだ。話が少し戻るけど、こういう話を聞いていると、この生活の中でできなかったことの代わりに何かで埋めたというより、何かしら新たに出会ってるよね。いいことばかりじゃもちろんなかったし、今もそうだけど、前向きに変われた自分を認識するだけでも、すごく救われる気持ちになるね。」

工藤「本当にそうだね。」



次回後編は

オンライン、オフラインなど、これから音楽の届け方どうなっていくんだろう談義。


7月10日は、この対談を経て「笑顔の生み方」というテーマで、一つのレシピを完成させたいと思っています。

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