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「常陸」が読めない話はブランド化と関係ある?

この記事が周囲で話題なのでちょっと。

記事を読んで、私は「駐車場がないから商店街に人が来ない」的なロジックだなと感じました。そのように主張する商店街に人が来ないのは、そもそも多くの人を惹きつける店がないとか、不動産オーナーが設定する家賃が相場よりも高いが故にテナントが入居できず空き店舗がポツポツと存在する故に空間的に魅力に欠けるからであって、駐車場がないこととは直接関係がないのではないでしょうか。

このことから考えて、「常陸」が読めない人が多いので「ブランド化」が失敗するかのようなミスリードを誘っているように見えるこの記事には、違和感が残りました。
また、茨城県の販売流通課の担当者様におかれましては、茨城の物産が広めることで、逆にみんなが「常陸」を読めるようにするゼ!ぐらいの気概を持っていただきたいなと思います。

そもそも「ブランド」の語源は「牛などの家畜に焼印を付けること」。自分の家畜と他者の家畜とを区別するために始まったことだそうです。そのことを念頭に考えると、「競合との違い」を明確にすることがブランド化の王道。常陸牛で言えば、何が特徴で宮崎牛など他のブランド肉に対する優位性は何なのか、という説明はできる必要があると思います。

これを読むと、常陸牛は、子牛の時に自然の中で十分に運動させて身体をしっかり作るところが他の肉牛との違いのように見えますが、そのことが肉質にどのように反映するのか?その育成方法によって、焼くよりも煮るのに向いている、みたいなことが言えると、素人考え的にはいいのではないかという気がします。また、霜降り方向は競合がいっぱいいるし、健康志向の今はあまり受けないのでは…?BtoBだとまた評価軸が違うのかしらん?

さて余談。
謎に満ちた「常陸」という地名の由来ですが、2017年2月に茨城県立歴史館のアイヌ文化についての講演で、「常陸」の語源についての新しい考え方を聞いたので、記載しておきます。曰く、
・秋田県に比立内(北秋田市)という地名があり、アイヌ語で「石ころをいつも拾う川」という意味の地名。北海道内にも同様の地名がある。
・アイヌは同じ地形を同じ名前で呼ぶことが多い。
・また、「内(ナイ)」は省略する場合がある。(その場合は接尾語イを付ける。)
・これらを踏まえると、
 ①アイヌ語を話す人たちが現在の茨城県付近にも居住していた前提があれば
 ②「石を拾う川」の地名として「ヒタチ(ナイ)」が付けられた可能性があり 
 ③それが、より広域の地名にも転化したことで「ヒタチ」が成立した
 …と解釈できなくもない。
※なお、エビデンスはなく、「そういう解釈もできなくもない」ぐらいで捉えていただきたい、ということを強調されていたことも付記しておきます。

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