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最高決定戦

2月21日、武藤敬司引退試合 プロレス “ラスト” LOVE~ HOLD OUT~で、禁断の扉が開かれる。

AJPW vs NOAHと銘打たれた6人タッグマッチで、宮原健斗と中嶋勝彦が激突する。
二人は、佐々木健介が設立した、健介オフィスの出身。
先輩・勝彦と、後輩・健斗は、合宿所では相部屋で、切磋琢磨しながら、練習の鬼・佐々木健介のもとで、プロレスラー・デビューする。

まず、いち早く、健介ファミリーから飛び出したのは、宮原健斗だった。
全日本プロレスのヒールユニット・VOODOO-MURDERSに加入。
のちに、ユニットから追放されるも、武藤・全日本、秋山・全日本の激流のなかで、諏訪魔、ジェイク・リー、青柳優馬と、激闘を繰り返しながら、三冠ヘビー級、世界タッグ、チャピオン・カーニバル、王道トーナメントと、全日本プロレスの数々のタイトルを獲得。
今までの全日本プロレスにはない、“明るく、楽しく、激しく” に、“新しく” を加え、最高のプロレス、最高の宮原健斗の世界観を創り上げてきた。

何を言われようが、やり続けてきた。
どんな小さな地方の会場でも、同じ熱量で、最高の戦いと、パフォーマンスを見せてきた。
常に、最高を見せ続けることで、レスラーとしてのステージを、確実に上げてきた。
どんな状況でも、決して悲観しない。
その、己を貫く芯の強さ。
それでいて、しっかり、現状と向き合いながら、最高のプロレスをしながら、全日本プロレスを最高の頂まで押し上げてきた。
宮原健斗がいなかったら、今の全日本プロレスはない。

方や、中嶋勝彦は、若手時代に、健斗や北宮光弘(現・マサ北宮)と共に、プロレスリング・ノアを主戦場として、ジュニアヘビー級で活躍。
ノアに正式入団してからは、ヘビー級に転向し、潮崎豪とのAXIZ、現在は、拳王率いる金剛に加入し、GHCヘビー級、GHCタッグ、N-1Victoryの覇者にもなり、ノアのトップ・レスラーとなった。

その二人は、約10年、袂を分かってきたが、再会の、記者会見やインタビューで、何とも言えない、兄弟のような雰囲気を感じさせた。
健斗は、“自分の強さをぶつけたい、見せたい、証明したい” と、思ったのか。
また、勝彦からすれば、“現三冠王者としての力を、全て俺にぶつけて来い!” と、弟弟子の成長を、体を張って受け止めるといった感じだっただろうか。
勝彦は、時折、笑みを浮かべながら嬉しそうだった。
方や、健斗は、いつもの口調ではあったが、“絶対に負けたくない!” という表情が印象的で、二人とも、戦いに向けての高揚感を抑えきれない感じがした。

健斗は、

「宮原健斗と中嶋勝彦が、リング上で再会する。それだけで十分」

と、言葉少なく。勝彦は、

「健斗に透かされた感じはしなかった。全日本プロレスの宮原健斗は、お喋りが好きでしょ。なのに、あまり語らなかった。あえて言わなかったのか。それも健斗らしい」

と、健斗の印象を語った。

さらに、健斗も、

「NOAHファンは、宮原健斗のプロレスを生で観られる。こんな光栄なことはないと思うよ。十分に宮原健斗のプロレスを堪能してもらいたい」

と、自信をのぞかせた。

一部では、仲が悪い?とか、確執?とか。

「何?俺、嫌われてる?健斗に聞いてみてよ」。

そんな噂があったとしても、兄弟喧嘩のようなもの。そして、

「実際、向き合わないとわからない」

と、互いが言うように、二人の目線は、東京ドームの夢舞台に向いていた。

勝彦は、

「この試合は、武藤敬司が最後に引き合わせてくれたのかなと。日本プロレス史上最大の夜は、歴史が動く日だと思っている」

と。そして、

「最高の戦いを見せる」

と、不敵な笑みを浮かべながら、常に健斗が口にする “最高” という言葉を、敢えて使った。

まさに、二人の最高決定戦が、いよいよ実現する。

広いドームで、いつも以上の宮原健斗の魅力が爆発する。
大観衆を、NOAHファンを魅了する、健斗の強さ、視野の広さが存分に発揮されるのは必至。
また、勝彦が放つ “蹴撃” の爆音が、東京ドーム中に響くと思うと、心臓の鼓動が高鳴ってくる。
さあ、時が来た!
この、禁断の “最高決定戦” から目を離すな!

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