夏が来た。

今年の梅雨は例年になく長梅雨で、いつまで経っても起き抜けに開くカーテンの向こうは鈍色の空が広がる毎日だった。
太陽も自分の役割をすっかりと忘れてしまったようで、ここぞとばかりに一足早い夏休みを取っている様相だ。
我が家の観葉植物たちは雲の向こうからわずかに漏れ出る陽光を懸命に取り込んで、生命を維持している。

そんな陰鬱とした時間がようやく終わりを迎え、待ってましたとばかりに蝉が短い命を高らかに誇示するように一斉に耳をつんざき始めた。夏の到来だ。
いつもはただただうざったいだけのその声も、長すぎた梅雨のせいで心地良い夏の風物詩に思えるのだから不思議なものだ。

令和初の夏は短そうだ。足早に過ぎていく季節をしっかりと捕まえて大切に過ごしていきたい。

サポートいただいたお金は執筆中に摂取する大好きなコーヒー代に使わせていただきたいと思います!