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2021ファジアーノ岡山にフォーカス2「2021編成評価」Part2:DF(CB・左右SB)編

1、前書き

今回は、2021シーズンの開幕前の編成についてフォーカスを当てたいと思います。Jリーグ全体でのファジアーノ岡山についての編成評価が、客観性が高く理想ですが、私が一番良く見ているファジアーノ岡山の歴代の選手(監督)と比べて、どうかという視点での評価していく事で、より分かり易いのではないかと思い、今回のフォーカス記事を書いていきたいと思います。

また、記事を分割して投稿していきたいと考えており、完成した場合は、同様の内容の記事を1つに統合したものを再アップ予定です。その点は、ご了承下さい。

【 評価基準 】

A・B・C・D・Eの5種を使います。
良:A~E:悪

実際に見ることが出来ていない選手は、選手自身のインタビューや、実績、動画、過去の選手名鑑などを参考に、評価を書きたいと思いますので、ご了承下さい。
また、ポジション毎に評価基準の厳しさは違いますので、同じAやEであっても違う評価の場合もある点もご了承下さい。
加えて、表記上、監督や選手という文言を一部省略させて頂いていますが、プロの監督や選手として、最大限の敬意を持った上で、書かせて頂いていますので、その点もご理解頂けると幸いです。

それでは、宜しくお願いします。

2、CB編

IN:5井上 黎生人
OUT:後藤 圭太、崔 程援

4濱田 水輝(CB):総合力B・期待度C

4濱田水輝

・個人成績

通算(201試合11得点)

J1(52試合1得点)
J2(109試合8得点)
リーグ杯(27試合2得点)
天皇杯(13試合0得点)

・昨季完全復活のDFリーダー

昨季は、CBで一番の出場時間を記録し、大量失点の少ない安定した守備に貢献した。ベテランの域に入りつつあるが、1対1の対応や空中戦の強さ、粘り強さで、まだまだ若手に負けない。苦手であったビルトアップも出来る範囲ではあるが、致命的なミスはほぼなく、安定した後ろからの組み立てで、攻撃を支えた。高いラインコントロールもDFで連携し、連動した守備が出来た。中盤の選手やGKとも連携しつつ、今季も堅守を築いて欲しい。

8田中 裕介(CB・右SB):総合力B・期待度C

8田中裕介

・個人成績

通算(428試合19得点)

J1(228試合10得点)
J2(100試合2得点)
リーグ杯(59試合4得点)
天皇杯(31試合3得点)
Aリーグ(10試合0得点)※補足:オーストラリアのリーグ※

・頼れるDFの攻撃リーダー

CBにおける攻撃の中心として、攻撃の組み立てや攻撃参加で、後方からの厚みのある攻撃に貢献。守備では、粘り強い守備で、フィジカルの強い相手にも負けない守備を見せた。ただ、やはりCBとしては、パワーや高さの面で、J2のFWのレベルが高くなる中で、難しい状況が増えて来た。経験とチームとして戦う中で、カバーしてきたが、今季は、どこまで出場機会を掴めるかは、強力な若手のライバルである5井上 黎生人と33阿部 海人からスタメンの座を守る事から始まる。

5井上 黎生人(CB):総合力B・期待度B

5井上黎生人

・個人成績

通算(123試合7得点)

J3(120試合7得点)
天皇杯(3試合0得点)

・新たなDFにおける攻撃の中心となれる可能性を秘めた新戦力

J3からの加入ながら、高い得点力とロングパス精度が武器の新戦力のCB。CBとして、高さこそ平均的ではあるが、高い身体能力を活かした守備力にも期待がかかる。しかしながら一番期待したい所は、ビルトアップ時のDFでの中心的役割と、セットプレー時や積極的な攻撃参加からの得点である。4バックで攻撃参加は難しいかもしれないが、ここぞという場面でのゴール前に飛び出しでの得点などにより、昨季の得点力不足打破に期待。

33阿部 海大(CB):総合力D・期待度B

33阿部海大

・個人成績

通算(13試合1得点)

J2(12試合1得点)
天皇杯(1試合0得点)

・試合感覚と自信を取り戻す事から飛躍の一年へ

怪我やチームスタイルの適応に苦しんでいるここ2シーズン。昨季、久々の出場の機会を掴んだが、ルーキーイヤーで見せていたハードで粘り強いエースキラーとしての守備や、スピードを活かしたカバー力は、影を潜めていた。怪我でのフィジカル的な問題や、自信喪失や試合勘の鈍りといったメンタル的な問題があるかもしれないが、その中でも足元の技術に磨きがかかっており、連携を深めつつ、試合出場を重ねる事が出来れば、試合勘も戻って来るので、攻守での潜在能力を開花させることが出来れば、岡山のDFリーダーに成り得る可能性も秘めている。実質4人しかいない事を考えても33阿部 海人へのチームの期待の大きさも感じる。飛躍の一年になるかもしれないし、難しいシーズンになるかもしれないが、飛躍の一年になると信じて、応援したい。

3、CB編(考察)

・ベテラン対若手(中堅)の競争を狙った4人体制

昨シーズンに完全復活し、堅守に貢献した4濱田 水輝と、怪我に苦しんだが攻撃の組み立てに貢献した8田中 裕介の頼れるベテラン2人に対して、昨シーズンに、J3ではあるが鳥取で攻守の中心となるCBに成長した5井上 黎生人と、伸び悩んでいるが高い潜在能力を持っている33阿部 海人の若い2人が、スタメンの座を奪取できるかという編成となった。純粋なCBが4人体制という事を考えても5井上と33阿部への期待の大きさを感じる。怪我のリスクは、当然あるが、4人体制であれば、出場機会を必然的に多くなる。足りなかったCBの競争が活発化すれば、チームとして好循環に繋がる。この将来の可能性を信じた強気な編成が、どう左右するか。

・4人体制のリスクを軽減する他のポジションからの引っ張って来るオプション

4人体制ではあるが、他ポジションからコンバートする事も可能。コンバートとは言っても6喜山 康平と39増谷 幸祐は、CBでの出場もある。緊急補強もあるが、それまでの応急措置として、両名の起用をオプションとして、チームとして持てている事は、大きい。6喜山 康平は、CBとしては粘り強さに欠けるが、後からのロングパス精度などには定評があり、39増谷 幸祐は、上背こそ高くないが、粘り強い守備と跳躍力を活かした空中戦の強さを持っており、安定感がある。理想は、本来想定している4人で、CBを回したいが、リスク管理としてのオプションとしては、有力である。

・歴代のCB陣と比べるとやや攻撃よりで心配される守備の安定

純粋なCBの最高峰の岩政 大樹や、ピーク時の後藤 圭太と比べると、空中戦の強さの部分での不安やストヤノフの様なロングパス精度と比べると、見劣りするのも事実ではあるが、4人の総合力で考えた時には、歴代屈指の総合力のCB編成で、少数精鋭と言える。誰が出ても一定のパフォーマンスが期待できる事と、5井上や33阿部の成長具合によっては、高いレベルに引き上げる事も可能。ただ、やはりポープ・ウィリアムの移籍により生じた連携の再構築を含め、不安は大きい。

・CB総評:充実度(C)

少数精鋭の4人体制。絶対的なCB不在であるのも事実ではあるものの誰が出ても一定のパフォーマンスが期待できる少数精鋭を実現出来た初のシーズン。夏場での緊急補強のオプションも持っているとは思うが、まずはこの4人で戦う事での相乗効果を促す狙いがある事は間違いないだろう。守備的なCBの4濱田と33阿部、攻撃的なCBの8田中と5井上。監督には、対戦相手に応じて、選手の組み合わせを弄りつつ、結果と育成の両面をも追い求めて欲しい。そして、安定した堅守構築と、ビルトアップの出来るチームを目指して、1年間戦い抜いて欲しい。

4、左SB編

IN:なし
OUT:なし

41徳元 悠平(左SB):総合力A・期待度A

41徳元悠平

・個人成績

通算(103試合4得点)

J2(71試合2得点)
J3(31試合2得点)
天皇杯(1試合0得点)

・攻守のバランスの良さを生み出すインテリジェンスの光るSB

守備時の1対1の対応でも簡単には抜かせない粘り強い対応と的確なポジショニングや連動性のある守備が光る。また、攻撃時には、クロス・ドリブル・パス・シュートの選択する判断の良さが光る。クロスをあげて欲しい所であげる。ドリブルして欲しい所で仕掛ける。パスして欲しい所でパスを出す。シュートを打ってほしい所でシュートを打つ。観ていても気持ちいいSB。フィジカルやテクニック的に特別優れた選手という訳では無いが、成熟した戦術眼というのが、高いパフォーマンスに繋がっているフィジカルに頼らない歴代屈指の左SB。

2廣木 雄磨(左右SB:右が主):総合力D・期待度D

2廣木雄磨

・個人成績

通算(125試合0得点)

J2(94試合0得点)
J3(27試合0得点)
天皇杯(4試合0得点)

・豊富な運動量が武器で左右を任せられるSB

90分間走り続けられる運動量が武器の右利きのSB。昨季は、怪我でシーズンを棒に振ったが、今季の復活を目指すシーズンとなる。ただ、選択の部分で消極的な判断が目立つ。バックパスが多くなりがちで、ドリブル・クロス・シュートの選択が少ない。守備でも1対1に弱く、フィジカルが強い選手にマッチアップすると簡単に突破を許す場面も多々見られた。今季は、41徳元という判断力に優れるSBのプレーを昨季見て来たと思うので、2廣木にもその部分で刺激を受けて、改善した積極的なプレーに期待したい。

24下口 稚葉(左右SB:右が主、右SH、DHも練習):総合力D・期待度D

31下口稚葉

・個人成績

通算(51試合1得点)

J2(38試合0得点)
J3(8試合1得点)
天皇杯(5試合0得点)

・判断の正否のムラを安定させられるかどうか問われるシーズン

ここぞという場面で、ビックプレーを魅せてくれる一方で、簡単なミスで、一転して危機に陥らせることもある。例えば、良いクロスをあげて好機を演出する事もあるが、判断が遅くなり好機を逃す事や、簡単にクロスをブロックされて、好機を逃すだけではなく、カウンターを受けて危機的シーンを招いてしまった事もある。一方で、シンプルな選択で良い時に、難しい選択を選んでボールロストする場面もある。この辺り、出場機会を重ねれば安定してくるかもしれないが、結果を求められる公式戦でスタメンの座を掴めるかどうかは、途中出場の機会や練習で、判断を安定化させることで、アピールの積み重ねていく事が、重要になってくる。

5、左SB編(考察)

・41徳元 悠平の負担減がポイント

2020シーズンの左SBは、ほぼ41徳元の独壇場でした。体調不良で、試合から少し離れていた時期もあったが、終盤戦はほぼ41徳元が左SBでした。見事なゴールを含め、フリーで挙げられたクロスでのアシストも多く、14上門との琉球のホットラインの連携も見事でした。通常の日程で、シーズンを進める事が出来れば、昨季よりは負担は軽くなるが、ゲームによっては、途中交代で適度に休ませつつ、シーズンを戦い抜きたい。そのために2廣木・31下口・16河野・23松木に期待したい。

・MF型のオプションの採用は?

昨シーズン1試合のみ7白井が、左か右か、記憶が定かではないが、恐らく左SBに7白井が入った。運動量豊富で、球離れに優れ、組み立てもできるMF型の選手の左SBで起用するオプションの採用も有馬監督体制であれば、トライする可能性もある。他チームを見てもボランチの選手がSBを任されるケースもあるので、状況に応じては、再トライしても不思議ではなく、MF型に限らず、昨季の23松木のFW型の選手の採用もあるかもしれない。

・左利きの左SBは1人のみ

41徳元の負担減もポイントと前述したが、41徳元以外の左SBは、右利きの選手で、どちらかと言えば、右SBが本職である。そう考えると、必然的に41徳元の不在時に、チームのパフォーマンスは落ちる事は懸念点である。7白井の左SBの起用もそういった心配がやはりあるからだと推測できる。とはいえ、左利きの左SBは、どのチームも不足気味で、41徳元のパフォーマンスを考えると、もう1人獲得する事は、現実的ではない。そう考えると、左SBもできる選手をバックアップとして考えるのが、懸命な判断かもしれない。下手に補強して、41徳元がチームを離れる結果に繋がるリスクを考えると、致し方ないが、本当を言えば欲しい。そういった意味で、デュークの期限付き移籍は、痛手と言える。

・左SB総評:充実度(C)

41徳元を軸に、年間戦いきる事を軸に考えた構成。42試合近く、アクシデントなく、戦い抜ければ、攻守で安定したパフォーマンスが期待でき、岡山の武器と成り得る。その逆となった場合は、補強及び試行錯誤が必要となる。CBの4人体制とは違い代えの効かないポジションとなっている。攻守で、左サイドの主導権を握る時間をどう作るかというテーマと共に、41徳元と他の選手をどう起用していくかが、年間のテーマとなる。

6、右SB編

IN:16河野 諒祐
OUT:椋原 健太

39増谷 幸祐(右SB、CB):総合力C・期待度B

39増谷幸祐

・個人成績

通算(135試合9得点)

J2(39試合2得点)
J3(92試合7得点)
天皇杯(4試合0得点)

・高い得点力と安定感のある守備を怪我から復帰し発揮できるか

今季は、ライバルであった椋原の引退もあったが、違うタイプの得点力に優れる攻撃的なSBの河野の加入した事で、好調であってもスタメンは約束されていない。持ち味の1対1での粘り強い守備と、セットプレー時の高い得点力といった39増谷の攻守の武器に磨きをかけていきたい。フィジカル的にも上背こそないものの空中戦に決して弱いことなく、むしろ強さをも発揮できる。得点も狙え、守備でもチームを救ってくれる右SBとしての期待は大きく、2廣木同様に、昨季は怪我でシーズンをほぼ棒に振ってしまったが、岡山においては、必要な選手で、完全復活のシーズンにして欲しい。

16河野 諒祐(左右SB、左右SH):期待度B・総合力C

16河野諒祐

・個人成績

通算(161試合6得点)

J1(1試合0得点)
J2(18試合0得点)
J3(66試合2得点)
JFL(71試合4得点)
天皇杯(5試合0得点)

・攻撃的なセンスを発揮し岡山のサイド攻撃をもう一段回上へ

プロキャリアのスタートこそJ1の湘南であったが、J3やJFLと色々なチームを渡り歩いた苦労人。J3での出場機会を積み重ねて、昨季は、J2の水戸で戦ったが、チームに定着できなかった。今季は、新天地の岡山で、J2からのステップアップを目指す。持ち味は、ゴール動画を見る限り、右SBながら得点を狙える高い攻撃センスである。岡山は、崩してSBというシーンも何度かあったが、右SBの選手が決めきれなかった。そう考えると、今季もそのフィニッシャーとしてその持ち味を発揮する場面は何度もあると思われるので、ゴールへの期待は大きい。

23松木 駿之介(左右SB:右が主、左右SH:右が主):総合力D・期待度C

23松木駿之介

・個人成績

通算(17試合0得点)

J2(17試合0得点)

・怪我に泣いたルーキーイヤーからSBへのコンバートで新境地

39増谷の怪我もあり、右SBにコンバート。不慣れなポジションで、FWで合った事もあり、守備の不安を抱えながらSBというポジションで奮起した。SHでのプレー機会もあったが、主戦場だったSBでは、積極的な攻撃参加で、攻撃に関与し、積極的にクロスを配給。時にはFWの経験を活かし、中にポジションを取り、シュートを狙うシーンもあった。選手として新境地を開いた昨季から、今季は、FWからSBまでスピードと運動量を活かせるポジションでの活躍に期待。

7、右SB編(考察)

・横並びの激しい競争の右SB

左SBとは逆で、抜けた選手は不在ではあるが、様々なタイプの右SBが揃っている。この選手が、年間通してスタメンを張ると言うよりは、状況に応じて選手を使い分けて戦う事になりそう。中でも新戦力の16河野がどういったパフォーマンスを魅せてくれるかは、楽しみである。攻撃的に行くのか、運動量を増やしていくのか、守備的に行くのか。ただ、来季を見据えた時に、活躍出来なければ、生き残るのは難しいポジションと言える。そういった意味では、良い意味での競争に期待したい。

・課題であった得点力解消なるか

昨季右SBでの得点は0。後ろから繋ぐチームにおいて、この数字は、得点力不足の要因の1つと言える。左サイドが活発だった一方で、右サイドは静かであった。18齊藤が右SHを任される様になってからは少し動きがあったが、右サイドの攻撃力不足は、深刻であった。そこに16河野の加入で、J3時代の公式のゴール動画を見ても、そこを打破できるのでは期待は大きい。成長に期待したい31下口や23松木、怪我で外から見る事が増えた事を活かしての39増谷の進化による得点にも期待したい。

・人数こそ揃っているが心配される怪我

シーズンを棒に振った39増谷と2廣木。大怪我を負った経験のある23松木。人数こそ揃っているが、怪我の再発や、コンディションが上がらないリスクもあるポジションとなっている。その点では、16河野や31下口といった怪我の少ない選手の出場機会は増えてきそうではある。ただ、39増谷、2廣木、23松木といった選手も魅力的な点もあり、監督として、戦術的な部分や連携の部分や、対戦相手、怪我のリスク、モチベーションの維持など、色々と選手起用には気を遣うポジションではあり、監督次第で、パフォーマンスは左右する側面もあると言える。

・右SB総評:充実度(C)

人数こそ揃っているが、左SBと違い絶対的な選手が不在ではある。本職の右SBが飽和状態ではあり、上積みが難しい状況である。有馬監督の目指すサッカーを考えると、基本的には39増谷と16河野の2人を軸に考えたいが、右サイドで主導権を握るという点では、少し物足りない。攻撃参加の回数に対して、クロスでのアシストが少なく、オーバーラップからのミドルシュートなどの得点が無かった事に対する答えが、16河野の獲得のみであるのは、少し不満ではある。それでも、有馬監督の下で獲得した選手は、良く活躍する傾向にあるので、16河野もそういった活躍を魅せてくれるのではないかという期待も大きい。

8、DF編(考察)

・バランスの悪い編成

CBは、少数精鋭ではあるが、ギリギリの人数編成。左SBは左利きの選手が、41徳元のみという編成だが、41徳元は、岡山史上屈指の左SB。右SBは、人数こそ揃っているが、絶対的な選手の不在。この編成が悪い方向に働けば、守備の崩壊や攻撃での貢献度が小さくなるリスクを孕んでいる。有馬監督が、このリスクが目立つDF編成で42試合を如何に戦い抜くのかが、問われるシーズンとなる。CBは、選手をバランスよく起用し、上積みと怪我のリスク軽減。左SBは41徳元の負担減による怪我での離脱のリスクを下げる事、右サイドは、どう上積みして、右サイドを武器にできるか。この辺りに、注目してみていきたい。

・期待できる攻撃

左SBの41徳元のパフォーマンスは説明不要だが、CBは、8田中に加えて5井上を補強。5井上は、左右のロングパス精度の高さと、高い得点力が魅力のCB。また、右SBは、J2での実績こそ乏しいが、J3で見せた攻撃センスの良さに定評がある16河野を獲得。41徳元も琉球から移籍した選手であり、J3でも良い選手は良い物を持っている。そう考えると、41徳元、5井上、8田中、16河野という超攻撃的なDFラインを並べるという浪漫もある。監督がこの辺り、守備と攻撃のバランスを巧くとり、どう機能させるかがポイントとなる。

・J2各チームのエースへの対抗力不足

J2のレベルは年々上がっており、各チームのエースも強力となっている。期待できる攻撃とか対照的に、歴代のDFラインと比べて、フィジカル的に厳しい岡山のDF陣には、難しい対応が迫られる事は間違いない。昨季の後半戦の長崎戦の様に強力なFW陣と、人数をかけて対応した隙を突けるテクニックとフィジカルのあるチームに対してだと無力になる展開すら考えられる。攻撃を追及する事も大事だが、それだけで勝てるほどJ2も甘くない。CBの4濱田が離脱する事になれば、誰が相手のエースを抑えるのか。正直な所、期待度の高い攻撃面に対して、守備への不安はかなりある。そのためにも33阿部の台頭に期待したい。

・DF総評:充実度(C)

攻守共に良いものが持っている選手が揃ってはいるが、少し不安の多い編成となっている。良い時期には調子よく勝てるかもしれないが、1つアクシデントへのリスク管理が甘い。DFは、ミスが致命的なポジションであり、リスクは小さいほうが良い。4濱田を軸にしたい所ではあるが、昨季の様に年間通して活躍できたシーズンは少ない。そう考えると、夏場での補強も視野に、チームとしての隙を消すチーム作りを進め、チーム力を高めていきたい。育成や選手の持ち味を引き出すのが巧い有馬監督とはいえ、その手腕に求められる育成の比重が大きく、どこまでその役割を果たせるかが、チームの浮沈を左右する事になるだろう。それでも伸び代は大きく、巧く戦う事が出来れば、来季に繋がる基盤を作る事も可能となるので、その辺りに、期待したい。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

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