2024ファジアーノ岡山にフォーカス18『 ≫≫問われる前に出る勇気~退路なき試合~≪≪ 』J2 第9節(A)vs愛媛FC プレビュー



1、クラブ名鑑~愛媛FC~


『 基本情報 』
クラブ名称:愛媛FC
主なホームタウン:松山市を中心とする愛媛県全域
創設年:1970年
ホームスタジアム:ニンジニアスタジアム(収容人数:20,919人)
クラブマスコット:オ〜レくん、たま媛ちゃん、伊予柑太
クラブカラー: オレンジ

『 Jリーグ通算成績(JFL以降) 』
J2(16期):189勝183分311敗(703得点915失点)
J3(2期):35勝20分17敗(110得点89失点)
JFL(5期):69勝25分43敗(230得点168失点)

『 Jリーグ最高成績(JFL以降) 』
J2:5位
J3:1位(1期)
JFL:1位(1期)

『 クラブ紹介』
 PRIDE of 中四国の枠組みの中で、岡山のライバルとしても長らくJ2をメインに戦ってきたクラブ。決してJ2クラブの中でも強化資金に恵まれたクラブではなく、近年は今治FCの存在とJ2のレベルが上がる中で、厳しい戦いが続いている。そして、2021年にJ3降格に憂き目に陥るも、温かく優しいサポーターの支えもあり、J2の舞台へと戻ってきた。私も愛媛FCのサポーターの方と交流があるが、サッカーの戦術への理解も深く、メインでの拍手か歓喜の声のタイミングが玄人タイミングであった。そういった秘めたる闘志と包み込むような包容力のサポーターと共にクラブを引っ張る上での起爆剤となったのは、取締役の村上茉利江さん。クラブ改革を進め、選手とのコミュニケーションを図り、本当にチーム一丸となって戦える環境へと一新した。不正などで問題となったのは、過去の話で、今は愛媛FCファミリーの一体感を成績に繋げることができる幹の太いクラブとなった。

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2、注目選手


8節のレビューよりセルフ引用とプレビュー用に文章を変更。

右SB:19番 尾崎 優成 選手
 長身のSBで対人守備はまるでCBのように強く、高さを活かした空中戦と体格を活かした1対1の強いという守備が光る選手。かと言って、守備だけではなく攻撃参加した時の高精度のクロス、そして、運動量も豊富で何度も攻撃参加できる。攻守で抜群の存在感が際立つ若干20歳の将来有望な選手。

DH:8番 深澤 佑太 選手
 得点力とチャンスメークを兼ね備えた14番 谷本 駿介 選手の相方の8番 深澤 佑太 選手は、90分通して「守る・走る・繋ぐ」という愛媛のサッカーを体現する上で、欠かせない選手。全てを兼ね備えた総合力の高い選手で、90分間の流れに関係なく、それこそ多くの局面で、気の利いたプレーと決定的なプレーの両面で、存在感を示せる選手。愛媛がチームとして安定的に戦う上で、そして、90分間繋いで走り切る上で、欠かせない選手。

左右SH:13番 窪田 稜 選手
 プレースキックの精度が武器の17番 茂木 駿佑 選手と並んで、ハイクオリティのキックを持っているのが、13番 窪田 稜 選手。右サイドと左サイド問わず、どちらでもプレー可能で、どちらのサイドでもアシストを狙える精度と形を持っている。味方選手が求めるポイントを瞬時のフィーリングでの意思疎通から、何気ないプレーでもビックチャンスに変えることができる連携の深さと感覚の鋭さに優れた選手。


3、データでチェック


より一部引用。

『 2024愛媛FCランキング 』
MF:13番 窪田 稜 選手(左右SH):攻撃・ドリブル(1位)
MF:8番 深澤 佑太 選手(CH):パス・シュート・奪取(1位)
DF:4番 山口 竜弥 選手(左SB):クロス(1位)
FW:10番 松田 力 選手(CF):パスレシーブ(1位)
MF:14番 谷本 駿介 選手(CH):ゴール(1位)
DF:37番 森下 怜哉 選手(CB):守備(1位)
GK:36番 辻 周吾 選手(GK):セーブ(1位)

Football LAB
より一部引用
URL:https://www.football-lab.jp/ehim/ranking

4、プレビュー~飲まれる前に前に出れるか~


『 通算対戦成績(岡山視点) 』
H & A(ホーム & アウェイ)
8勝9分11敗(25得点32失点)
H(ホーム)
2勝5分7敗(11得点17失点)
A(アウェイ)
6勝4分4敗(14得点15失点)

『 スギさん的重視比率(イメージ) 』
岡山重視比率
個人 6 : 4 組織
愛媛重視比率
個人 4 : 6 組織

 愛媛FCの一番の武器は間違いなくハードワークである。クリア数1位2位の仙台と愛媛の試合を先ほど視聴したが、単純に蹴るだけではなく、両チームとも繋ぐ力を持っているという点は、共通点ではあるが、両チームの違いが何処かと問われたら、個の力に優れるのは仙台で、愛媛FC以上にゴール前で繋ぐ力や崩す力は、仙台に部があったように感じた。

 しかし、その試合で愛媛が勝つことができたのは、人数をかけた攻撃である。愛媛の2得点は、後方から飛び込んできた選手が、サイドからのクロスに合わせるというプレーであった。クロスやセットプレーで良くボールウォッチャーとなるという表現を使われるが、その形をチームの戦術のデザインとして作れるのが、愛媛である。

 山なりの緩いクロスではなく、ライナー性の速いクロスを入れることで、守備側がそのクロスに「落下点」に入るのではなく、「軌道上」で待たせることで、愛媛が、その軌道の先で待つDFの選手より先に触ることで決めた2得点である。

 もちろん、そこに走り込む運動量が求められることと、精度や徹底しないと実現しない得点の形である。チームとしての積み重ねが、そういった得点に見え隠れしていた。

 そして、ここぞという時の前からのハイプレスや守備陣形を超えて、オフサイド覚悟での高速のフリーラン。こうした切れ味鋭い記録に残らないプレーの徹底が、愛媛の強さである。

 リスクを侵さない繋ぎと、確実性の低いロングパスの選択の連続から消耗戦に持ち込み、動きが少なくなり守備に入った相手に対して、チームの心臓であるCHの2人を中心に、どんどん厚みのある攻撃と再現性の高い攻撃の徹底で、得点を積み重ねるという攻守一体の独自スタイルをもっているのが、愛媛である。

 そうした愛媛に対して、どう戦うかだが、愛媛陣地でプレーすることを増やすことだ。DFの前で合わせるクロスも厚みのある攻撃も押し込まれなければ、回数を少なくできる。

 であれば90分間通して、前に出るという意味でアグレッシブにどれだけ戦えるか。そこが最も問われる試合になるだろう。「コンディションを整えて、ハードワークできる選手を11人選ぶ。」といった感じの趣旨の愛媛の石丸 清隆 監督の試合後コメントが全てではないかと感じる。

 岡山としても即失点に繋がるような恐ろしい狙いを持った愛媛のスタイルに対して、明確なプレーと最後まで徹底するプレーが求められる試合になることは間違いない。連敗を避けるためにもシーズンを4分割した時の最初の1セットの最後の試合となりますし、今後に繋がる内容と結果の試合に期待したい。

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino


筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知なので、軽く目にすることこそあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで、サポーターとの交流や魅力を語り合うことが好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。


5、アディショナルタイム(ファジ造語24)


2024ファジ造語No.1
『 ≫≫力を出し切る三原則≪≪ 』
「決め切る・勝ち切る・逃げ切る」という課題と語ったGMの服部 健二 氏の言葉から想起した「力を出し切る三原則」という2024シーズン第一弾のファジ造語とさせていただいた。来季を観て行く上で、勝利するために、チームがどう強くなったのか、是非、結果から「力を出し切る三原則」をクリアできているか注目したいですね。

2024ファジ造語No.2
『 ≫≫虹色の右足≪≪ 』

24シーズンがルーキーイヤーとなる24番吉尾 虹樹 選手の右足から放たれるパスやクロス、シュート、プレースキックの全てが、高精度であることをより魅力的に伝えるファジ造語。24吉尾選手の名前の「虹樹」の「虹」があり、「虹色の右足」に相応しい選手であると思います。プロとして経験を積む中で、「虹色の右足」は、大樹のようにチームを支えることができる可能性を秘めていることも間違いないでしょう。

2024ファジ造語No.3
『 ≫≫木山マジック≪≪ 』

固定概念を作らない木山 隆之 監督の自由で大胆な決断により、チームを勝利に導くことができる試合采配や選手起用を指すファジ造語。誰にも思いつかない自由な発想と大体な一手で勝利を手繰り寄せてきた将棋で一時代を築いた羽生 善治先生の一手が「羽生マジック」と呼ばれていたが、そこに由来して、「木山マジック」と命名した。22シーズンは、サポーター間でも浸透した。24シーズンでも聞きたいワードですよね。

2024ファジ造語No.4
『 ≫≫剛よく剛を制す≪≪ 』

「サッカーにおいても剛強なものが、剛強な力によって、無慈悲にも剛強なものを押さえつけてしまうという弱肉強食の世界である」という意味の造語」本来は「柔よく剛を制す=柔軟性のあるものが、そのしなやかさによって、かえって剛強なものを押さえつけることができる」という意味の造語だが、99ルカオ選手のフィジカルが、あまりに凄すぎるので、諺(ことわざ)を弄ることでその強さを表現したファジ造語。

2024ファジ造語No.5
『 ≫≫木山曲線≪≪ 』

将棋の藤井八冠が、AI評価値で、一度リードしたらそのまま最後まで右肩上がりで完勝してしまう強さを表現して「藤井曲線」と言われていました。まさしく、開幕戦の木山ファジの勝ち方のようで、そこを可能にした選手起用やチーム作り、ゲームプランから木山マジックの進化系であり、90分間でほぼ圧倒して勝った時の勝利を表現するファジ造語。

2024ファジ造語No.6
『 ≫≫三本の矢24ver≪≪ 』

以前、ファジ造語として紹介していたが、24シーズンでの三本の矢は、11人で繰り出される隙が無い攻撃(途切れずらい攻撃)の事を指す。木山ファジの特色である選手の個性を引き出すサッカーの下で、3Dアタック×3=「縦×横×高さ」×「速さ・強さ・巧さ」×「パス×ドリブル×シュート」が、その方程式の下で、異次元の破壊力を生み出させる攻撃。まさしく、三本の矢に相応しい攻撃を表現したファジ造語。

2024ファジ造語No.7
『 ≫≫虹色の戦術(レインボータクティクス)≪≪ 』

 個性豊かな選手を適材適所で起用して、個性×個性の攻守のプレーの幅や深さで、対戦クラブの戦術の多くへの対応して戦えるだけでなく、試合毎に相性の良い選手が、持ち味を発揮して、攻守で安定した戦い方をすることができる。その個性の戦術の色の可能性はまさに虹そのもので、虹色のように個性が耀き、雨の後の晴れのような勝利に繋げることができるファジの戦術の事を指すファジ造語。

2024ファジ造語No.8
『 ≫≫田段陣地≪≪ 』

 「多段構え」の防壁と、隙を少なくする戦術的な「防御陣形」に、18田上 大地 選手の名前から、「田上=田んぼの上」では水があることで、自由に動けない。そして、「大地=広大な土地」であることで、広範囲にその守備の連動が及びという意味、そして地に足が付いた意味を全て込めることで、18田上 大地 選手の守備が、複数の守備戦術と強固な壁を構築された上で、隙の少ない堅守で、統率された守備ができる事を示すファジ造語2024です。

2024ファジ造語No.9
『 ≫≫グレイZone≪≪ 』

 岡山の最前線のDFラインと中盤の間のエリアで、9グレイソン選手がプレーするエリア。ここで、攻撃で起点を作ることができて、守備では、対戦チームの前進を阻んだり遅らせることができる。9グレイソン 選手のこうしたプレースタイルとプレーエリアは唯一無二で、岡山の堅守を支えるだけではなく、岡山の流れの切れない攻撃を可能とする。まさにその様子は、難攻不落の前線基地のエリアで、本来は対戦チームが有利なエリアだが、五分五分に持ち込める本来の意味も含めた効果を比喩して創ったファジ造語。

2024ファジ造語No.10
『 ≫≫岡山式三段撃ち≪≪ 』

 GKの守る最後の砦である本陣の前を「DF:空中戦、クリア」・「MF:パスカット、セカンドボール回収、サイドの主導権」・「FW:プレス、プレスバック」の「三段撃ち」で陣地を押し返して、気が付いたら岡山が守備から攻撃まで陣地回復できる強靭な守備。また、仮に敗れてもゴールに体を投げ出して守る守備ブロックと某ゲームのゴーレムのように、ゴールに蓋をする守護神が備えている堅守である岡山の守り方の説明を一言で表現したファジ造語。

2024ファジ造語No.11
『 ≫≫動かざるごと岡山の如し≪≪ 』

 対戦相手やどういった状況でも、岡山は無理に攻めることなく、好機をじっくり待ち、やることを徹底して、最後まで可能性を信じて戦える自信と謙虚のバランスの取れたメンタルの強さ。そして、個の力や組織力のどちらでも向かってくる対戦クラブをしっかり受け止めるチームとしての体幹の強さで、横綱相撲のように攻守で着実に前進して、そのまま押し切れるチームの総合力の高さ。ここを戦国大名の武田 信玄の「風林火山」の「山」の「不動如岡山」の「動かざるごと山の如し」の「山」に「岡」を加えて「動かざるごと岡山の如し」に変えて、岡山の攻守の安定感を強調したファジ造語。

2024ファジ造語No.12
『 ≫≫キヤマアイ≪≪ 』

 木山 隆之 監督の勝利に逆算した勝負勘が優れた決断力に裏打ちされた本質を見極める「着眼大局」の眼を例えたファジ造語。木山 隆之 監督は、勝利のために必要なことを見極めて、情に左右されることなく、冷静に決断を下すことができる。無謀ではなく、挑戦を選択できる木山 隆之 監督が、勝負術に優れる勝負師の監督でもあることも示す。

2024ファジ造語No.13
『 ≫≫仙波クルゴール≪≪ 』

 他のファジサポさんが命名された仙波クルクルにインスパイアを受けて、そこを少し加えて、仙波クルゴールと表現しました。これは、バイシクルみたいな響きの良さを仙波クルクルから残して、そこにシンプルにゴールを加えた。イメージ的には、仙波クルクルのように相手のベクトルを利用して、守備を無効として、決めるシュートのことを指したファジ造語です。

2024ファジ造語No.14
『 ≫≫∞GX FIELD∞≪≪ 』

 ハーフウェーラインより前のどこからでも決定的な仕事ができる8番 ガブリエル・シャビエル 選手の得意なプレー範囲の広さを表現したファジ造語。クロスでのチャンスメークやスルーパスでの決定機を作り出せる。そして、自身もゴール前でパスを受けることで、得点を決めることもできる。

2024ファジ造語No.15
『≫≫守備一冠(首尾一貫)≪≪』

今季の岡山スタイルを表現したファジ造語。守備でタイトルが取れるだけの堅守こそ岡山の武器であり、岡山が、どういった状況でも守備への考え方や高い守備意識はぶれることなく、ファジアーノ岡山クラブは、献身性とハードワークで構築してきた「堅守」。これこそがまさしく「首尾一貫」してきたスタイルであり、一冠を取ることで「守備一冠」のファジスタイルとして、内外に示せるシーズンとなって欲しいという願いも込めたファジ造語。


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