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地域のお祭りに革製品のお店として出店した思い出話

お店に来てくれた時にはいつも色々な話をするお客さんとの会話の中で、もう8年前も前になる、凄くローカルな地域のお祭りに出店した際の印象深い出来事に辿り着いた。

これから梅雨が明ければ夏祭り、秋祭りと祭りのシーズンとなる、その前に。梅雨時期の重い空気が少しでも軽くなるよう、待ち遠しくなるようにちょっと書いてみようと思う。

きっかけは8年前、その当時はどこもかしこも見境なくイベントに出まくっていて、自分でネットを駆使して手作り市などを探して参加するのはもちろん、そうこうしている内に繋がった方にイベントに誘ってもらえれば必ずYES。

そんな中、秋祭りの参加のお誘いがあった。

尾道市内の小さな神社のお祭り。

当日になるまでは、まぁいつも通り何店か出店していてその中の一つとしてのSugiSと思っていた。

行ってびつくり。

僕以外誰もいない。

他にあるのは地域のお母様方の手作り(学校の運動会とかで使うテントの下で)屋台的な料理。
(これはこれで値段も普通の的屋より安いし、ローカル感が良いし、大好きではある)

そうガチな地域の秋祭り。

長テーブルを借りて(これまた学校とかによくあるやつ)準備をしつつ、気になったのは僕の位置から斜め前に見える、手作りではあるがわりかししっかりとしたステージ。

ここで何がはじまるんだ?

準備はバッチリ整いました。
参道みたいな道の脇にただ一人の出店者、SugiS。

お祭りに来た地域の人は僕の前を通っていく、
革製品がある!?なんで? そんな声と視線。

こ・れ・は・

今日は恐らく、
いや間違いなくキツイぞと。

おまけにその日は急に気温が下がった秋の日で、震えながら目の前を通りすぎる人をみる。(今でも寒かったのを覚えているからだいぶ寒かったはず)

売れるはずがない。

この場所での僕の需要は限りなくゼロだ。

更に、何がはじまるんだと思っていた斜め前のステージでおじいちゃんおばあちゃんの大カラオケ大会が始まった。

もう祭り開始早々に声も聞こえない。

ドウシヨ・・

気持ちを切り替えることに決めた。
売ることはやめてお店のショップカードを配ることに専念することにした。

通り過ぎる人にとにかくこれでもかと渡していく、そこは地域の皆さんのお祭り、みんな快く受け取ってくれる、少しでも気になってくれた人にはカラオケに負けないように大きな声で普段は店舗兼工房があってそこで革に関する事をやっていると説明する。

そんななかなかの状況での出店で、結果的には2つ売れた。
売上としては2000円ぐらいだったかな。

そう、それで終わりじゃ味気も何もあったもんじゃない。
ただの売れなかった出店の記憶になるだけ、というか記憶にも残ってないだろう。

8年越しでも忘れられない、2つの物が売れた深みがあった。

1つは10歳ぐらいの小学生。
覚えているのは、僕がカラオケの歌声に負けないように大きい声で革についての説明、作っている物の特徴、使い方の説明をするのを真剣に凄く興味をもって聞いてくれていた、一通りの説明の後にその子がボールペンが欲しい!と、まさかである。

僕のつくる革のボールペンはその当時でも800円ぐらいはするものだ。
それを小学生の子がビニール製の小さな財布からお金をだしてほしいと言ってくれる。
僕は思わず、やめといた方が良いよ?お金もったいないよ?と言ってしまっていた。
しかし、その子はそれでも欲しいと。

そこまで言ってくれるならと、より詳しく使い方と芯の取替え方の説明を。
そうして、その子はボールペンを握って軽快に神社の方に走っていった。

今なら高校生か大学生ぐらいになっているのかな?
もしも、そのボールペンを今でも使ってくれている、もってくれているのなら、僕は本当に嬉しいぞ。
そしてあの頃よりも今は革の厚みなどを調整してより使いやすくなっているぞ。是非君に贈りたい。

もう一つはカラオケもひと段落した祭りの終盤に90歳ぐらいのおばあちゃん(確か90何歳といっていた記憶が・・)
年齢の振れ幅がヤバイ。
買ってくれた物が何だったか今では思い出せないけど、印象に残っているのが、ゆっくりとした足取りで手に何やら紙を持ってまっすぐに僕のところへ来てくれた。

その手に持っていた紙というのは、やはりローカルなお祭りだけあって開催される前に事前にその地域に住んでいる人へのお祭り開催のチラシが配られていて、その中に革製品もくるよみたいに記載してくれていて、それを見て革製品がくるのなら最近は家を出る機会もあまりなかったけど、頑張って出てきたんだと言ってくれた。
もうそれだけで僕の心は満たされて、充実感しかなった。
心から今日出店して良かったと思えた。

そうして、色々と話をしつつ何か小物を買ってくれたと思う。

10歳~90歳 売れたモノが2つ
間の人達どこいった?笑

そんなローカルなお祭りに出店した思い出話をいつも良くしてくれるお客さんと話していた、僕としては笑い話的な感覚で話していたけど、その方は凄いですよ、その小学生にとって絶対に宝物になっているはずですよと言ってくれ、おばあちゃんを家から一歩出すことができる杉谷さんのパワー凄いですよ!と全力で肯定してくれた。
なんて優しく、素敵な心持ちなんだ。

ビジネスとしては全然ダメなのはわかるけど、でもそういうローカルなお祭りにならまた出たいと思ってしまう。

今年は色々な制限がなくなって、きっと僕の好きなあの町でも祭りがあるだろう。
今年はどんな祭りにいけるだろう?

あなたもどこかの祭りに行った際に、なんでここでこんな物を売ってるんだという物に出会ったら、是非見て話しを聞いてあげて欲しい、そして気にいったなら買ってあげて欲しい。

売る側にとってもきっと忘れられない出来事になると思うから。
その一つの買い物で、誰かにとって今日一日が今日のお祭りが満たされた幸せな時間になる可能性があるから。

8年前のことを良き思い出として覚えている僕みたいなのがいますからね。

長くなっちゃいました、ここまで読んでくれたあなたとはきっと気が合う気がする。

是非、お店にも寄ってみてやってください。

読んでくれてありがとうございました。




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