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37歳女美容師が今思うこと。



20代は、お店のために、オーナーに褒められたいが為に、働いていた。
休みが無くても、
朝8時から終電を超えて仕事をしても、
サロンに泊まっても、
何とも思わなかったし、
オーナーの右腕か左腕か、
そんなポジションで働けることが楽しくて仕方なかった。

「仕事、仕事、仕事。」
そんな20代を過ごす中、

ふとしたときに、
「私は誰の為に生きているんだろう?」
と思う瞬間が訪れる。

承認欲求の塊だった私は、
お店の為に、社長の為にと思っていたことが、
その人の、誰かの人生を歩いているような感覚に襲われたのだ。

『誰かに認められたい』

そんな思いが様々なことを
“Have to”させていた。

「何をやっていることが楽しいの?」
と問われても、「?」といつも疑問だった。
何となく答えてはいたけど、心底そう思ってはいなかった。

苦しいわけではないけど、
「楽しい」「楽(ラク)」という感覚は
いつの間にかなくなっていた。
というか、そもそも無かったのかもしれない。

What do you want to do?
そんな簡単な質問に、いつの間にか私は答えられなくなっていたのだ。

ヘアカラーが好きだった私は、
海外で色んな髪質への知識を学びたくなった。

『外国人風』というテーマを掲げて
講師として活動させてもらっている時があったが、海外を学んだ訳でも、西洋系の髪質に理解がある訳でもない。

そんな矛盾が、『経験値を上げたい』
そうゆう思いを駆り立てた。

と、同時に、地元に帰るという選択もあった。
けれど、私は海外を選んだ。

『今』しか出来ないかもしれない事を優先した。

そう決めても、反発は出てくる。

「2軍の選手がメジャー行って勝てるのか?」

そんな事を言われた瞬間は今でも覚えている。



NYという場所を選択したのは、
あくまでも消去法だった。

東京の次に行って『価値のある場所』を探していた。

大尊敬する先輩が、その土地を選んでいた事も1つの要素だ。
というか、実はそれが大きい。
その事についてはまた書き留めておきたい。
今でもインスパイアをくれる大切な1人だから。

話を戻して、
行きたい国を考えた時、
フランスという場所が一番好きではあるけれど、意気込んで、
フランス語教室に行った時、
1−10まで数えるのも大変だったことで、
選択肢から簡単に省かれた。

これは、無理。

英語圏で、
東京以上に価値のある場所。
ニューヨーク、ロンドン、オーストラリア、カナダ、香港。。。。

いわゆる誰もが知っている都市を並べて
VISAへの道が一番近い場所を選んだ。



「NY好き?」と問われると、
意外と私はこう答える。

『まぁ、まぁまぁ好きかな』

即答で「大好き!」と答えられない自分にびっくりする。今でも。

なんだかんだで、NY行きを決め、
アーティストVISAを取得して
2019年にニューヨークに飛んだ。

文章にすると簡単だが、
スムーズだったわけじゃない。
直前まで本当に行くのかどうか悩んでいたのは事実だ。

NYは選ばれた人が呼ばれる場所

そう誰かに聞いて、心は決まった。
そして行ってから、徐々に感覚が変わり始める。

過去を振り返ると、
毎日、フルブックで、
隙間時間、空いた時間が耐えられない性分の私には


過酷すぎるほど、

「暇」だった。


当たり前。

顧客ゼロの新しい土地。
すぐにお客様に恵まれる訳でもなく、
ホットペッパーがある訳でもない。

知らない土地で
わからない言葉。

新しい人間関係。

ある程度日本で実績があっても、
日常は、暇との戦いだった。

そして私を知る人もいない。

日々を過ごす中で、
周りの感覚と、自分の感覚に違和感を覚え始める。

言葉悪く言うと、
今まで、セカセカと働いていた自分がバカバカしくなってきたのだ。

今まで焦るように働いていた自分。
チカラを抜く技術のある人が多い海外。

そうは言っても、
隙間時間に英語を勉強したり、
アシスタント時代に戻ったように
モデルを呼んでこなしていたが、
周りから見ると『クソ真面目』

この性格からくる葛藤との、
よくわからない自問自答で
発狂した日は何日あるか数えられない。

今では真面目こそ宝と思うが、
そのあたりから、自分が今まで自分に厳し過ぎたか考えるようになった。

そして起こったパンデミック。

暇が嫌いな私に、
『働けない』と言う、公開処刑のような時間がやってきた。

なんかしなきゃ。
なんかしなきゃ。
なんかしなきゃ。


と、思いながらも、
家から出られない。

半強制的に、空に問う時間が訪れる。

『本当にやりたい事は何?』
『大切なことは何?』

毎日の様に自問自答していったのだ。

3ヶ月という、冬眠期を経て、
少しずつ日常が戻ってきた。

日本に帰国した人も多かったが、
なんとか耐えた。
耐える選択肢しか無かったと言えば正解かもしれない。

そこから、少しずつだが、顧客も増え、
まぁ、安定的にお給料も貰えるようになってきた。

その冬眠期後から、
自分を大切にする事を優先し始めていたことに気づいたのは、少なからず最近だ。

人生は一度切り。
今という時間も一度切り。
過去は回想出来ても、戻れない。

自分に厳し過ぎる。

『いつも良く頑張ってる、大丈夫。』


そんな言葉をきちんと自分にかけることが出来る様になって、
緩めていった感覚が以外と心地よくなってきている昨今。


仕事仕事仕事で生きてきた自分が、
昔の様なペースでは働けないと
リアルに感じ始めている。

スピの世界で言うと、
男性性ばっかりで生きてきた私が、女性性というものも大切だと言うことに気づき始め、

このままずっとオトコの様に爆走する体力が
無くなってきている事に気付き始めた。

何故か、
男性に負けたくない、
頼りたくない、
バカにされたくない、
そんな感覚で埋め尽くされた心が
変化に変化を遂げ。

今や、

しなやかに
人に優しく
ゆったりと
優雅に。


誰と戦う訳でもなく、
誰と比べる訳でもなく。

焦りや、憤り、
意味もなく泣く日なんて要らない。

時間を犠牲にする事なく、
『私は私のスタンスで生きる』

自分に優しくすることで見えてきた
『自分軸』という強さを持って。

誰かの表情や感情に引っ張られず、
ありのままの感情で。

誰かの期待に応えることを
自分の価値と思わないで。



しなやかに
人に優しく
ゆったりと
優雅に。

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