教育エビデンス 包括的性教育②現状
前回は、ユネスコで推奨されている「Comprehensive Sex Education(包括的性教育)」についてご紹介しました。学校における性教育の目指すものは、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動を取れるようにすることとされていますが、望まない妊娠や性病など、行動の結果に関する統計はどうなっているのでしょうか?今回は日本の現状データと性教育の動向について扱いたいと思います。
結論
国内の正の健康事情に関しては、以下の傾向が見られる
・日本の10代の対人口中絶率は緩やかに減っている
・日本の10代の性感染症疾患数は、2002年あたりをピークに減少していたが、近年微増傾向
・日本の10代の性被害は児童ポルノ、SNSを起因とした被害が増加傾向
2020年発行のユネスコのガイドライン日本語版では「日本の新指導要領は子どもたちの現実や発達要求に応えられるものになっていません」と指摘されている
2023年度より文部科学省と内閣府が手引きを作成した「生命の安全教育」が開始された
性教育アウトカム
・日本の10代の対人口中絶率は緩やかに減っている
・日本の10代の性感染症疾患数は、2002年あたりをピークに減少していたが、近年微増傾向
・日本の10代の性被害は児童ポルノ、SNSを起因とした被害が増加傾向
ユネスコガイドライン
2020年発行のユネスコのガイドライン日本語版では「日本の新指導要領は子どもたちの現実や発達要求に応えられるものになっていません」と指摘されている
ガイドライン
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000374167
2023年度開始「生命の安全教育」
日本では「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の施策の一つとして、子どもたちを性暴力の被害者、加害者、そして傍観者にさせないために2023年度より生命の安全教育が始まった
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index2.html
教材例
編集後記
教員時代、オンラインゲームのチャット機能等を通して、生徒と不適切なコンタクトを取ろうとする大人の多さに驚きました。児童がインターネット上の不適切な情報等に触れるのを完全に遮断することが難しい今、児童が自分の心と体の健康を守り、周りの大人に助けを求められるよう科学的根拠に基づいた性教育の一早い浸透が望まれます。
文責:識名 由佳
参考文献
国立感染症研究所感染症疫学センター 感染症発生動向調査事業年報
警視庁【児童買春事犯等】 検挙件数・検挙人員・被害児童数の推移
厚生労働省 衛生行政報告例 概況
文部科学省 生命の安全教育
https://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index2.html
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