見出し画像

10年以上文字書きツールとして使っていたEvernoteからUpNoteに乗り換えた話

少し前にメインで使っていたテキストエディタをEvernoteからUpNoteに乗り換えた。
移行までの経緯と実際に使ってみての感想を、ゴリゴリにツールを使い倒している人目線ではなく、一次創作メインのインターネット文字書きマン目線で書き残しておく。
(簡潔にまとめようと思ったがそれでも長くなってしまったので目次利用してください……)


1.Evernoteを使い始めたきっかけ

そもそもなぜ文字書き用のテキストエディタとしてEvernoteを使っていたのかという話になるが、当時有名なエディタだったということと、スマホ・PCの両方から使えページ公開も可能でどんどん貯めこんでいけるツールが使いたかったというところに尽きる。
ここでは当時Evernoteを使い始めた決め手となったことを挙げていく。
ちなみに、Evernoteに着地するまではほぼ力業しか使っていなかったので、作品管理はずっと自分の中での課題でもあった。

①ある程度知名度のあるツール

重要なことの一つとして、利用方法が気軽に検索できる程度には知名度の高いツールが使いたかった。
マイナーなツールは細かな部分で使いやすいものが多い利点はあるが、デメリットとして利用方法を検索しても出てこないことが起こりうる。

例え話になるが、自分はそこそこ経験年数の長いインフラ屋で、日々サーバーやミドルウェア、ストレージなどの構築や保守管理をしていると、あまり見ないエラーを引き当てることがよくある。(悲しいが本当によくある話)
その際にエラー内容を確認して一次対処する必要が出てくるが、検索してもエラーの内容すら引っかからないこともよくある。
そうなると詳細調査に時間を費やさなければならないわけで、仕事ならまだしもプライベートでまでそんな作業はしたくない。

それこそ自分が興味のあるものならば時間の浪費は気にしないのだが、たかだかテキストエディタの使い方で余計な時間を費やしたくはなかったのだ。

②PCとスマホの両方から管理可能

大前提として、機種変のたびに発生する移行の煩わしさから、書いた文章をローカルではなくクラウド上に保存したいという気持ちがあった。

文章をガラケーや携帯HPで管理していた時期もあったが、スマホを使うようになってから、保存した一部の文章をサルベージしないままにしていたら、突然借りていたレンタルHPの提供サーバーが死んでしまいデータの救出が不可能になってしまったという経緯もあり、一旦はローカルに保存しようとスマホのメモ帳に移行した。
しかし、PCを持つようになってからはPCからも閲覧や編集可能なツールがほしくなったのだ。

③手軽にテキストのWEB公開が可能

PCを入手した同時期にHTMLやCSSを使ったHPの公開も始めたものの、やはりHPの編集時間をまとまって取れない関係でHPの管理が面倒になり、それならいっそページの公開もまとめて一つのツールで解決したかった。



これらの条件に合致したのがたまたまEvernoteであり、無料版を軽く触った上で、月額課金で本格的に利用を開始し、気づけば十年以上の時が経っていたのだった。


余談:Evernoteにたどり着くまでの昔話

ここからは昔話になるので、興味のない方は読み飛ばしてもらって構わない。同じ道を辿ってきた方は、当時はたしかに大変だったなあと懐かしんでもらえれば幸い。

自分は中学生くらいから創作の世界に飛び込んだ。二次創作から始めたが、そのうち一次創作も書くようになった。
いろいろ書き溜めていくと、必然的に今まで書いた文章作品をどこに退避するかという悩みが出てくる。

今でこそPCやスマホは一人一台どころか二台持ちも当たり前という時代だが、当時はPCが一家に一台あるかないかの布教具合。ガラケー(携帯)を持っていないという人もまだまだ多かった。PC未所持世帯だった自分も、データの保存媒体はガラケー頼み。
しかし、今のスマホよりも性能がとてつもなく低いガラケーのメモ帳で入力可能な文字数は、全角でもたったの500文字。メモ自体も100件保存できたかなといったくらい。当然文章を分割して保存する必要も出てくる。
おそらく当時のガラケー文字書きマンが通った道の一つだと思うが、苦肉の策としてEメールの下書きに書いた作品をため込んでいたのではないだろうか。(あちらは全角で5000文字は入った気がする)

そしてガラケー自体の問題として機種変更時のデータ移行がとにかく大変だったということが挙げられる。
SDカードはすでに存在していたが、昔は今のスマホでいうAndroidかiOSの二択という時代ではなかったため、同キャリア内の機種変更でも携帯の販売会社が変わるだけでデータ移動が困難だった覚えがある。
それこそ電話帳を手動移行なんて羽目になったりもした。

毎度そうなれば、必然的に外部にデータを退避したくなる。
そこで自分の場合は、当時持っていた携帯向けのレンタルHPのページに文章を保存するようになった。
とはいえ当時のレンタルHPも今ほど便利ではなかったので、テキストボックス一個あたりに入力できる文字数はやはり全角500文字程度だった。ただしテキストボックスはある程度の個数追加できるので、ページあたりで保存できる文字数は、全角5000文字は超えたと思う。
おまけにページの非公開保存ができて、公開設定にしていてもページへのリンクさえ繋げなければ自分だけで閲覧はできたので、文章の退避先としてそこまで不便ではなかった。

時は経ち社会人。ガラケーを卒業するにあたり、文章の保存先問題が再発した。
スマホはガラケーのHPを見るのに向いていないため、テキストファイルとしてどこかしらに保存したくなったのだ。
こうして気軽に文字を書き留め、スマホとPCのどちらからでも閲覧・編集ができて、さらにページの公開までまるっと一本でできるテキストエディタ探しが始まり、たどり着いたのがEvernoteだったというわけだ。


2.Evernoteからの移行を決意したきっかけ

最近になってEvernoteから移行しているユーザーが増えている印象があるが、やはり真っ先に上がるであろう理由は、Evernoteが使いづらくなったことだろう。
数年前からユーザーの要望とはかけ離れたアップデートが増え始め、当初のEvernoteの良さが薄れてきたように思える。データの移行は面倒であるものの、最近になってようやく重い腰を上げたという感じだ。
ここでは移行を決意するに至った原因を挙げてみる。

①有料プランの大幅な値上げ

Evernoteを使い始めた当初は無料プランで契約しておりスマホとPCの二台で利用していたが、WEBからアクセスする機会が増えたりオフラインでの利用が増えた結果、無料プランでは使い勝手が悪いと感じて月額の有料プランへ変更した。
当時は月額360円程度だったが、数年ごとにプランの見直しや値上げが行われ、2023年に入ってからはiOS版の有料プランが安い方でも月額1100円まで値上がりしてしまった。
年間契約ではなんと年額9300円

2023年11月時点のi OS版有料プラン(Essentials)

Evernoteの全てのを使い倒すのならまったく問題ないかもしれない。しかし、後述するがオフライン利用と利用端末を増やす以外に課金理由がない自分のようなライトユーザーにとっては、月額でこの料金設定は明らかに高すぎて魅力がないのだ。

②しつこい課金誘導

また、これも煩わしいところだが、有料プランに登録していても、一番上のプランへのアップグレード広告が出てくる頻度が高い
Evernoteを開く間隔が少し空いただけで、アプリ起動時に真っ先に飛び込んでくるのはプランのアップグレードのすすめ。
2023年の値上げのタイミングで有料プランをやめて無料プランに切り替えてからは、文字書きのモチベ停滞期ということもありEvernoteを開く機会がさらに減ったのだが、久々に起動するたびに課金誘導されればやる気もなくなる。なんならメニュー画面にも常にアップグレードを促す表示やアイコンがあるという有様。
有料プランの時よりも誘導の頻度の高さが目につくあたり、さすがは無料プランといったところか。

③だんだん使いづらくなったUI

課金誘導の弊害だとは思うが、突然Evernoteのホーム画面が増え、一気に使いづらくなった。スクラッチパッドなどはまったく使わないので消したいが、このホーム画面のカスタマイズは当然有料プランのみに対応。
ホーム画面は選択せずにノート画面を選択すれば前のような見た目になるが、そのノート画面にはしれっとリマインドタブが存在する。こちらも非表示にはできない。
さらに、ノートの作成形式が複数追加されたため、新規ノートの作成がワンタップでできなくなった。

新規作成ボタンを押した際の表示

すぐにテキスト入力を開始できない、絶妙な煩わしさ。こういった細かいアップデートが、シンプルさを求めるユーザーからは不評だったのではないかと思う。自分もその一人なのだが……

④ターゲット層がビジネス寄りになった可能性

もう一つ移行理由で挙げたい点として、アップデート内容からして、ビジネス利用を想定しているのではないかと推測している。
それこそ有料プランで追加される機能には、リマインダー機能に始まり、タスクの割り当て管理やPDF出力、Teams、Slackといったビジネス向けコミュニケーションツールとの連携など、明らかにビジネス利用を意識した機能が増えているように感じるのだ。
一般的なユーザーからのEvernoteのイメージは、メモアプリの一種でしかない。
既に強力なコミュニケーションツールが世に出回っている以上、既存のユーザー離れを恐れずビジネス寄りのサービス内容にシフトする必要はあったのだろうか?と思ったりはする。


3.移行先にUpNoteを選択した理由

移行先候補としては、やはりEvernoteでよく利用していた機能がだいたい網羅されており、Evernoteと互換性がある=移行が簡単であることが絶対条件だった。
無料機能で色々試してみたが、一番しっくりきたのがUpNoteだった。
移行自体も難しくなく、さすがにノートブックの再カテゴライズは必要になったが、タグなどはそのまま移行できた。
最近使っていなかったので、挿入していたページ内リンクなどはもしかしたら消えてしまっているかもしれない。
ここからはUpNoteに決めた理由を挙げていく。

①シンプルなUI

新規作成ボタンを押せばすぐにテキストの入力が開始できる。シンプルさが売りのツールならごく当たり前のことなのだが、Evernoteはそれができなくなってしまったのだ。
アイコンもシンプルでわかりやすく、余計な表示もない。
ノートを分類するノートブック機能は表紙画像の設定が可能(種類も意外とある)で、視覚的にも目的のノートブックが探しやすい。Evernoteに比べたら、ぐっと使いやすいと感じた。

②WEB共有機能が強い

最近になってまたこの機能を使う機会が出てきたので嬉しい誤算だったが、Evernoteと同様に、ノートをWEBで共有することが可能だ。
読みづらいなどもまったくない。
さらに別のノートへのリンクも簡単に挿入できる。リンク追加のためにわざわざURLを貼り付ける必要はなく、ノートを選択するだけで挿入ができるのがポイントだ。
こちらに関しては、挿入したリンク先のノートも事前に共有用URLを発行しておけば、WEB上でそのままリンク先のノートに飛んで内容を読むこともできる。
ノートのタイトルを編集すればリンク名に自動反映されるのでリンク名修正の手間もない。
つまり、やりようによっては簡易的なHPのような使い方もできるのだ。そんな使い方を開発者が想定しているのかと思ったりはするが。

実際に見せるとこんな感じ。

ちなみに、以前Evernoteでも共有用URLを発行したノートたちを一つのノートにまとめて、簡易的なテキストサイトとして利用していた時期がある。しかし、発行したURLを貼り付けてリンク名を変更して……とかなり手間だった。
今はわざわざノートの共有用URLを貼り付けなくてもノートへのリンク挿入機能が実装されているが、WEB上でノートを閲覧する際にリンクを押すとアプリに飛んでしまうので、UpNoteの方が機能的に優れていると感じた。(現在自分のEvernoteは無料プランのため、もしかしたら有料プランだとUpNoteと同等の機能になるのかもしれないが)

③リアルタイム同期

UpNoteは入力している側からリアルタイムで自動同期されているので、途中までスマホで編集していたものをPCでその続きをすぐに書くことが可能だ。
同期のことを考えずにノートを開くだけでいい。これがとにかく楽だった。

Evernoteの場合、編集後は明示的に同期ボタンを押さなければノートのアップロードはされない。そうすると、同期を忘れた場合にノートの内容にデグレが発生することがある。
デグレが起こってしまった時は、ノートの下部に差分だけ表示されるのかと思いきや、デグレが起きたノートの全文が表示されてしまう。しかも自分で消さない限りずっと残るので面倒だった。

④有料プランが安い

有料のプレミアムプランは驚異の月額100円。安すぎである。
なお、少々値は張るが3000円弱(iOSから購入する場合の価格)買い切りプランもある。セールもちょくちょくやっているらしい。
それでもEvernoteに比べたら1/3の出費で買い切り版が買えてしまうと考えたらかなり安いと思う。アカウント単位での課金なので、端末ごとに購入する必要もない。

⑤入力文字数が見える

これは文字書きなら地味に気にしたいところだと思う。Evernoteではトータルの文字数しか確認できなかったが、なんとUpNoteはノートの情報欄を開くとトータルの文字数以外にスペースなしの文字数、段落数や文の数も確認できる。
他にもタグやノート内でリンクを貼っているノートの一覧、目次(見出し設定したものが自動反映される)の確認が可能だ。しかも、PCからだと常にこの情報欄を表示しながら編集できるのがありがたい。

スマホ版での情報欄の表示内容。タグ設定するとその内容もここに表示される

⑥コピペがやりやすい

Evernoteでのコピペ時に一番気になったところは、フォントが崩れることだろう。自分の場合はX(Twitter)に放り投げた短文などを退避するためにコピペをよくしたのだが、コピー元のフォントが反映されたり、貼り付けたら突然明朝体になったり、フォントサイズや行間が変わったりと、貼り付けの際はとにかく苦労した。
UpNoteではコピー元のフォントは無視して貼り付けされるため、フォントが変わってしまうこともフォントサイズが変わったりすることもないので、そのあたりの煩わしさも軽減された。


4.UpNoteの足りないところ

これだけ見ると文字書きマン向けでは?と思えるくらい使いやすいUpNoteだが、ちょっと足りないところはある。と言ってもそこまでネックにはならないものばかりなので簡単に挙げると、

  • 無料プランだと作成できるノート数が少ない(50個)

  • ブラウザ版が存在しないため必ずアプリをインストールする必要がある

  • Evernoteからのインポートや、ノートのエクスポート機能、パスコードロックなど一部機能は有料プランのみ対応

  • 共同編集はできない(文字書きだと別に気にしないところだが)

あたりだろうか。とはいえ、ほとんどの部分は月100円出すだけで解決してしまうのでこれらもほとんどはデメリットにはならない。なんなら100円で済むなら最初から有料プランで使い始めて問題ないまである。


そんなこんなでUpNoteに乗り換えてから再びモチベが上がったので、最近は隙間時間でスマホから文字を打ち込んだり、PCを起動してガッツリ編集もすることが増えてきたので、やはりテキストエディタは大事だと改めて感じた。
Evernoteからの移行を考えている人の参考になれば幸いだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?