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【学びの盾 #4】 いじめの被・加害者ともうひとつの関係者:傍観者にアクションの力を与えよう

こんにちは.双子を含む子供3人を育てながら研究者をしている穂(すい)(@suirigaku)です.

学びの盾シリーズ4回目はいじめについてです.

みなさんはわが子がいじめの被害者になったら,あるいは加害者になったらという不安をもったことはあるでしょうか.どうしたらいじめからわが子を守れるか.子どもの発達科学を研究している和久田学さんの本「学校をかえる いじめの科学」を元に書きます.


いじめの定義とキーワード

 現在法的に決められた「いじめ」の定義はとても広いです.基本的には被害を受けた側が心身の苦痛を感じたらそれはいじめになります.定義の直感的な理解は下図の東京都教育委員会の説明(出典はキャプション参照)がわかりやすいと思います.

東京都教育委員会いじめ総合対策【第2次】(上巻)[学校の取組編] p.34
リンク先のその5:https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/bullying_measures.html

いじめ見逃さないために広範囲をカバーする定義が重要な一方で,子ども同士のいざこざにすべて大人が介入するとなるとやりすぎな感じもします.子ども同士の問題も自分達で解決できるのならば,そうした経験で育つものもあるはずです.それでは,大人の介入が必要な,深刻ないじめに気づくポイントはあるのでしょうか.実はいじめが深刻化するキーワードが2つ知られています.それは

  1. シンキング・エラー(不公平な影響)

  2. アンバランス・パワー(力の不均衡)

です.

シンキング・エラーはいじめの加害者が被害者ほどに事態を深刻に捉えられなくなるという傾向です.これにより,被害者は心身がひどく傷つくのに,加害者は大したことないと勘違いするという不公平な影響が出ます.

アンバランス・パワーがいじめを深刻化させるのは想像に難くないのではないでしょうか.このキーワードに注意することで,「いじり」や「からかい」に対して相手が言い返せないなど力の不均衡が起こったときにいじめが深刻化しやすくなると気づくことができます.

傍観者という存在

いじめの特徴のひとつは集団であるということです.そして,いじめのほとんどに被害者でも加害者でもない傍観者が存在します.傍観者の多くはいじめを不愉快に思っているにも関わらず,何もしないことが多いといわれています.この傍観者をいじめを止める行動に導くことができれば,深刻化を防ぐ可能性が高まります.

その意味でも,先ほど紹介した2つのキーワードを子どもたち自身が理解し,使えるようになることがとても大切になります.自分達の力で解決できることなのか,深刻化する前に大人を頼るべきことなのかの判断を子どもたち自身ができるためにキーワードは重要なのです.

第三者介入を知る

キーワードを手がかりに深刻化しそうないじめを認知したらどう行動すればよいのでしょう.私は大人の世界のいじめであるハラスメントの対策で知られている,第三者介入が有用ではないかと思います.大人であっても,おかしいと思うことを目前にして,行動できないことはあるのではないでしょうか.そんなときに行動のヒントがあると実際のアクションにつなげやすいですよね.第三者介入のアクションは5つのDとして知られています:

  1. Distract(気をそらす)

  2. Delay(アフターケアをする)

  3. Delegate(助けをもとめる)

  4. Document(記録する)

  5. Direct(直接介入する)

5.の直接介入はむずかしくても,1.の気をそらすならできると思う人も多いのではないでしょうか.京都市の男女共同参画通信 vol. 56の3枚目(出典は下図キャプション参照)がイラスト付きでわかりやすくまとめていました.

京都市男女共同参画センターウィングス京都,男女共同参画通信vol.56
https://www.wings-kyoto.jp/publish/report/backnumber/

いじめに関して一番なる可能性が高いのは傍観者です.傍観者が行動できない理由をなくすことがいじめの深刻化を防ぐ可能性を高めます.もしあなたがいじめの渦中にいないのならば,傍観者になったときの行動を学ぶことがいまできる最善ではないでしょうか.

この記事では傍観者に注目しましたが,はじめに紹介した和久田学さんの本には,被害者・加害者の立場についてはもちろん,やインターネットを通じたいじめなど多岐にわたって書いてありますので,ご興味あるかたはぜひ手に取ってみてください.

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