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さいたま市 (環境局職員) 事件

ポイント

①パワハラの訴えがあった場合には事実関係を調査し、人事管理上適切な措置をとるべきである (いじめも同様で実態を把握したにもかかわらず直ちにいじめの事実の有無を調査するなどして善後策を講じないと心理的負荷を高める)
②自殺念慮まで訴えられながら医師の意見の確認や産業糸の連携を怠り自己判断で対応するのは安全配慮義務違反である

概要

経緯

 Aは、平成14年に中学高校の業務主事、小学校の業務主任として勤務したのち、平成22年にうつ病により89日間休職した。平成23年には環境局職員として異動し、係長の指示のもとにBの指導を受けることになった。
 しかしAの指導係となったBは、職場内で評判になるほおど自己主張が強く、協調性に乏しく、言葉遣いが乱暴で上司にも暴言を吐き、同僚の中には嫌がらせを受けていたものもおり、係長も認識していた
 Aは異動後すぐ係長に対し「暴力を受けてあざができ写真もある、言動によるパワハラがある」と相談し、Bのハラスメントについて係長とABを交えて10分程度話し合いをしたがBが気分を害したため指導を継続した。その後Aはそう状態と思える興奮状態を示し係長も認識した。
 同年12月14日にAは所長にたいし、9月ごろから精神科に通院して投薬をうけ不眠となっており、原因はBのパワハラだと申し出た。診断書の提出を求めたところ、最低でも90日間の加療及び自宅療養が適切とする診断書が提出された。しかし本人は病気休暇を取得するか悩み「家にいると自殺ばかり考えるので働きたい」と述べたため所長は勤務継続を認めた。その後もAは不安定で、仕事を継続したいと話したり休みたいと話したりした。
 所長はAの父親に対し、Aとともに医師に相談するよう伝え、父親が同月21日にAと医師を受診し、Aを12月22日から休職させることとした。21日の19時に所長は父親に対し、休業開始の日付を22日に訂正した診断書を持参するよう求めたところ、Aは「もう嫌だー!」と叫んで自室で首をつって自殺した。

注意点

ただし、
係長及びセンター長の取り組みにより自殺を防ぐことができたことから安全配慮義務違反と自殺の因果関係は相当強いとされたが、
Aの素因及び父親もAの病状悪化を知りながら主治医と連携をとるなど悪化しないよう配慮しなかった点により損害額の7割を減ずるのが相当と判断されている

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