入院初日

私って治りたいのか治りたくないのかよく分からない。持ち込んだ「インターネット2」を読んだらそう感じてしまった。私がなりたいと思える人はどこか現実味がない人ばかりだ。ひとりは、詩を書くときは自意識を殺せと言う。
彼らは現実から乖離し、興味のある知識を広げて蓄積し、得たものを糧に表現をして成功した人たちだ。彼らはひと握りだ。彼らを目指したところで、私は現実から逃げた患者であり、自分の苦しみを崇高なものだと勘違いし続け、現実に馴染めず単なる社会不適合者として生き続けなければいけない。
人間味のない人間を目指した先に幸せはあるのだろうか。ポジティブなOLになる未来のほうがずっとずっと幸せで、それを目指した方がいいんだろう。分かっていても理想が邪魔をする。私を破壊した現実に馴染んでいくような人生なんて嫌だ、現実はいつだって敵だ、睨むものだ、憎むものなんだ。いつまでそんなこと言ってるんだよ。生まれてしまったのならもうしょうがないんだよ、現実を生きるしかない、勉学に励み、労働し、些細な幸せを享受し、手を取り合って生きていくんだよ。それが幸せなんだよ。幸せだろうよ。でも私にできるんだろうか。自信がない。現実から離れられる自信もない。どっちつかずの患者であり続けるなんて地獄だ。抜け出さなければ。現実と手を繋ぐ勇気が私には足りない。

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