何もかも憂鬱な夜に文庫版p.108

駄目になってしまいたい。一度、すべてを失いたい。その時に本当の自分になれると確かに思った。今の自分はおかしい、うそだ、こんなはずじゃなかった。
一回ぜんぶ駄目にして壊しちゃえば変われると本気で思ってた。それほど今の自分が嫌で、違和感があるから、変わりたいと願っている。

今ここで自分がこうしたら「終わる」、白い目で見られる、穴を開けてしまうこと想像して、それをしてみたくなる。観に行ったライブのMC中に大声を出すとか、仕事で使うキリでこの社員を刺したらどうなるとか。同時に、そういうことを本当にしてしまうんじゃないかと思う。自分を信用してない。理性なんていつ壊れるか分からない。
だってわたし、「しちゃダメ」なことしてるから。ドキドキして、ODしたり自分の皮膚を切ったりする。すると、安心みたいな気持ちになる。ずっとこうしたかったんだと感じる。一瞬だけ。すぐ後悔に変わるけど、そういう経験が、私をダメなほうへ導いているんじゃないか。

わたしも、ずっと前から、今でも、いつか人を殺してしまうんじゃないかと、思っているよ。

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