見出し画像

オラオラ すぴの

すぴのは恐竜のスピノサウルスです。

野良のときオラオラしていたので恐竜の保健所へ連れていかれました。

だんだん殺処分される日が近づいてきます。

すぴのは相変わらずオラオラしていました。

職員Aがいいました。「オラオラすぴのはおとなしく処分されるでしょうか?」

それに対して所長が「うーむここへ連れてくるのも大変だったからな」

職員B「そうだ、ネットで飼い主を募集してみてはどうでしょう?」

社長「こんなやっかいな恐竜ほしがる者がいるのか?」

職場はしばらく静まります。

社長が口火をきりました。

「まぁダメ元でやってみるか手配はBに任せたぞ」

職員B「はい、承知しました」 

Bがホームページの里親募集にオラオラすぴのを載せると、すぐに問い合わせの書き込みがありました。

「お迎えに行きます」

職員全員びっくりです。と、同時に歓びました。

「よかったなすぴの」

すぴのは相変わらずオラオラしています。

職員たちは心配になってきました。

そこへ里親さんがお迎えにきました。

現れたのは優しそうなお母さんに連れらた男の子です。

小学一年生くらいでしょうか。

男の子はすぴのをみつけると目を輝かせて近づいてきました。

すぴのはオラオラしています。

男の子「きゃはははは」 

すぴの オラオラ 

男の「きゃはははは」

すぴのがオラオラするたびに男の子は笑いころげます。

職員たちはその様子を黙ってみていましたが、職員Bが「ぶっ」と噴き出してしまいました。

そうすると周りもつられて「ぶわっははは」「がはははは」とおじさんたちの大合唱に。

すぴのはどれだけオラオラしても怖がらない少年がちょっと好きになりました。

「うちへ帰ろう」男の子がそういうと素直にお座りしました。

「すぴのがお座りした!」

大人たちが数人がかりで押さえつけていた あのすぴのが!

お座り?

おじさんたちが唖然としているのをよそに

男の子のお母さんが引き取りの書類にサインをしている間

男の子はすぴのの頭をなでています。

すると すぴのがぬうっと頭をさげてきました。

「乗せてくれるの?」

書類にサインを終えて男の子のお母さんがぺこりと頭を下げて帰っていきます。

男の子はすぴのの背中にのって楽しそうにかえっていきました。


「すぴの おとなしくなるのいいけど オラオラやめないでね」

今まで嫌がられていた オラオラが こんなに気に入られるなんて

すぴのは幸せを感じるのでした。


おしまい(つづくかも)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?