子どもの頃の淡い初恋を除いて、恋愛を経験しないまま、大人になった。

人を好きになることが、どういうことなのかわからない。

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そりゃあね、人は好きよ。友達のことも、子どものことも、先生のことだって。一緒に話してて楽しいし。

でもこれが、恋愛になると全くわからなくなる。

もしかしたら私は
 
恋愛ができないんじゃないか。
人として当然経験している、備わっているものがないんじゃないか。
そんな私は、とても劣っているんじゃないか。そんな考えが止まらない。

性欲もない。男の人の体を見ても怖いだけだし、女の人でも、怖くはないが見たくもない。

みんなよく、異性に興味をもてるなぁなんて思う。ドラマにアニメ、漫画などのコンテンツでは、男の人と女の人は恋仲になっている、ことが多い。

そういうのを見る度に、｢また恋愛じゃん｣となんとなくガッカリした気分になる。そして、それがマイノリティであるという事実も嫌なのだ。自分は変わっている、そんな自分は劣っている、と、自らレッテルを張るような。

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思春期の女の子の話題は専ら恋バナだ。女子校だったがそれでも
｢毎日電車で会うイケメンがいるんだよね｣
｢A先生かっこよくない？バレンタインチョコ渡してみようかな？｣
｢男子校の文化祭行っちゃう？｣

こんな話題で持ちきりだ。

そんな友人らを見ながら、私も興味のある振りをした。｢えー○○ちゃんの彼氏かっこいいね！｣｢彼氏ほしいんだよー誰かいい人いない？｣

思ってなかった癖に。思ってなかった癖に。

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それでも時間は容赦なく過ぎる。私は25歳になった。第一次結婚ラッシュに差し掛かり、友人らの結婚が珍しくなくなった。

みんなが羨ましかった。人を好きになれること、パートナーを見つけられること、愛されること。

異性に興味ない癖に、結婚はしたいのよ。家庭をもちたい。お母さんになりたい。支え合える人がほしい。私も支えるね。

社会人サークル、マッチングアプリときて、結婚相談所に入会した。詐欺もヤリモクも防げると思ったのだ。ただ、現実はそう甘くないので。

気になる人には好かれず、どうでもいい人から好意を向けられる。私より年上で、私より年収低い人から申し込みされた。お見合い当日にドタキャンする人がいた。毎回遅刻をする人がいた。

｢お前の価値はこの程度だよ｣と嫌でも突きつけられたような気がした。申し込んでは断られ、社交辞令のメッセージを交わし、それでも一期一会の出会いがあると願うが、自分が変わらない限り無理なんだよ。

私が異性に興味ないの、向こうだってきっとわかってるんでしょ。わかってるから、深い仲になれないんだ。

そんな自分がとても嫌だ。

性愛が土台じゃなくても、背中を任せられる戦友みたいな人と出会いたい。幸せにしてもらわなくていいよ。2人で幸せになりたいんだよ。

さぁ明日はどっちだ。