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ゲーム音楽DJのディグログ#2:シティポップが東欧発の日本ゲーに使われている話、ペルソナっぽいの本物に出会った話、ニンダイとゲーム原作映画主題歌の話

こんにちは、ゲーム音楽DJのすいそです。

引きこもりDJがミックス代わりに最近ディグったゲーム音楽を紹介するコラム第2回です。

愛 Need You / 音風楽房 onpu-labo / STONKS-9800: Stock Market Simulator

シティポップがゲームに登場する時、ヴェイパーウェイヴやフューチャーファンクの原料もしくは味付けとして使用されているのはたまに見かけますが、80~90年代日本の情景を描くのに"正しく"使われているのを観測したのはこれが初めてな気がします。そこにまず一周回った新鮮さを感じて、楽曲にも一耳惚れしました。

ファンキーなリズム隊とカッティング、ローファイなシンセ、ブレイクでベースのミドルエイトが挿入されるのも、その7小節目から叙情的なギターソロが被ってくるのも大好きです。

音風楽房 onpu-labo」はサカモトユウさんという音楽プロデューサーが主宰の、80'sをコンセプトにシンセポップやR&B、アニソン風ロックなどのオリジナル楽曲をリリースしている個人サークルです。

この曲がリリースされたのが2018年(「プラスティック・ラブ」事件と同年)ということを考えると、今日のリバイバルブームとは若干一線を画した立ち位置なんですよね。狙って作った曲ではないと思うんです。情熱が先見の明として発現したケースなんじゃないかと。

それがさらに2023年になって、ウクライナの地で開発されたゲームのPVでフィーチャーされるというのがあまりにも異常事態というか、『太鼓の達人』に「真夜中のドア/Stay With Me」が収録されたことよりもよっぽど意味不明です。ゲームの方は来月(7月18日)発売なので、期待して待ちましょう。

A Champion's Redux (Estelle's Theme) / Funk Fiction / Omega Strikers

歌モノや四つ打ちのな~んかオシャレなゲーム音楽に対して何かと"ペルソナっぽい"と言われるくらい、かのサウンドはゲーマーにとって本当に鮮烈だったわけなんですが、次第に輪郭が溶けて"ノリノリの曲"くらいのファジーな言い方になってきているなとも感じます。

が、敢えて言います。本気の"ペルソナっぽい"がここにありました。本気のアシッドジャズです。フェンダー・ローズ系のエレピの音使いが『ペルソナ5』すぎるんですよね。リードメロをLynさんが歌っていてもまったく違和感ないんじゃないでしょうか。

この曲を手掛けているのはLA在住のFunk Fictionなるコンポーザーで、『No Straight Roads』にも参加していたり(あの「vs. SAYU (Vaporwave Version)」を作った人です)、『Cytus II』に「Fireflies (Funk Fiction Remix)」というシンセウェイヴを提供していたりと、かなり幅広い作風を持っている方です。

ほかにも『GigaBash』というマレーシア発の大怪獣格ゲーの曲を手掛けていて、調べていたらそのサウンドに対して自ら"Jamiroquai / Persona vibes"とツイートしているのを見つけました。これはもうこの曲の"ペルソナっぽい"も意図的なものでしょう。

目黒将司さんも『ペルソナ5』ではアシッドジャズの参考に初期ジャミロクワイを聴いていたと言っていますし。「Virtual Insanity」がゲーム化したりフィギュア化したりしている昨今ですが、ペルソナ化もしてると言えるんじゃないでしょうか。音楽性を継承した"使い手"がいるわけですから。

Carry On / Kygo & Rita Ora / 名探偵ピカチュウ

先日(6月21日)のNintendo Direct、色々話したいネタはあるんですが、個人的に一番タイムリーだったのが『名探偵ピカチュウ』でした。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のサントラを聴いていて、『名探偵ピカチュウ』のサントラも聴きたくなって、そういえば本編観てないし先に観るか、とアマプラで観たばっかりのタイミングだったもので。

ゲームサントラだけでは飽き足らず、CMやメディアミックスで使用された曲(総じて"ゲーム周辺曲"と自分は勝手に呼んでいます)をディグるのをライフワークとしているのですが、ゲーム原作映画主題歌もなかなかの沼です。

最近のでは『モータルコンバット』の「Techno Syndrome」や『アンチャーテッド』の「NO MIND」がお気に入りです。『ソニック・ザ・ムービー ソニック VS ナックルズ』の「次のせ~の!で」も完全にオタクの妄想が実現していてむせび泣きました。特にエレクトロアレンジの「MASADO and MIWASCO VERSION」が好きです。

で、『名探偵ピカチュウ』のこの曲に出会ったわけですよ。先日のModel Manの記事を書いて改めて自覚しましたが、"内向的なのに踊れる曲"がどうやら自分は好きなようです。余談ですが、この手の音楽が好きなら『Haven』というゲームのサントラはイチオシです。

ゲームの映画化について、賛否あるようなイメージですが、自分はわりと何でも楽しめるクチなのと、音楽的にも確実に"周辺曲"が増えるシーンなのでがっつり注目しています。そういえば『Minecraft』の映画は2025年公開になったみたいですね。『メタルギアソリッド』も映画化進んでるんでしたっけ。専ら楽しみです。


ありがとうございました。本当は前回と同様6曲紹介する予定だったんですが、ネタが濃かったので今回はここまで。間もなくSteamサマーセールという名のサントラセールが始まるので、震えています。また次回。

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