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スイス・ローザンヌ滞在記録 書き出し

はじめに

 スイス・ローザンヌの大学に半年間研究滞在している博士課程の学生です。到着後いろいろとドタバタしていましたが、滞在3週間ほど経ってようやく落ち着いてきました。この間だけでも、さまざまなトラブルや気づき、感心など、共有したいことをたくさん経験しました。せっかくの機会なので、このような形で足跡を残そうと思います。スイスやローザンヌに関心のある方、滞在を予定・検討されている方、あるいは滞在中の方、さらには滞在経験のある方など、何らかの形で参考になれば幸いです。自分自身の備忘録としての役割も兼ねています。

ローザンヌについて

 自分が滞在している大学は、レマン湖のほとりにあるローザンヌ(Lausanne)にあります。同じくレマン湖の西岸にあるジュネーブから鉄道で東に40分程度の距離に位置しています。スイスにはカントン (州)と呼ばれる行政区画が26あり、ローザンヌはその一つであるヴォー州 (Canton de Vaud)の州都です。スイスには公用語が4つありますが、このあたりはフランス語圏で、駅や電車内のアナウンスなどはフランス語のみです。商品のパッケージなど、全国で共通のものにはドイツ語・フランス語・イタリア語がよく併記されています。英語だけで得られる情報は少ないです。役所のHPも、外国人向けの情報も含めてほぼフランス語でしか書かれていません。学部の第2外国語の講義である程度学んだとはいえ、Google翻訳がない時代だったらとんでもなく苦労したと思います。ただ、役所の人を含め、特に若い人はかなりの割合で英語を喋れるので、コミュニケーションは問題なく取れています。必要以上に配慮する必要がないというだけなんだと思います。

EPFLについて

EPFLのロゴのオブジェ。後ろの建物は、図書館や学習スペース、カフェ、ショップなどが入る
Rolex Learning Centerです。

 滞在している大学は正式名称をÉcole polytechnique fédérale de Lausanneといいます。日本語にすると「(スイス)連邦工科大学ローザンヌ校」で、頭文字をとってEPFLとする呼称が一般に用いられています。住所表記や駅名等もEPFLの4文字です。定冠詞のlaがつくとl'EPFLとなります。「ロペエフエル」のように聞こえます。フランス語圏ですので、教室の名前はフランス語で書いてあります。キャンパス内で聞こえてくる会話もフランス語が主です。ただ、研究室内では基本英語で会話しています。フランス語が母語の人は3割もいないと思います(ラボによって状況は異なると思います)。
 スイスにはもう一つ連邦工科大があり、アインシュタインの出身校としても有名なETH Zürichです(こっちの方がよく知られていると思います)。ドイツ語圏とフランス語圏にそれぞれ一つずつ設置されている形です。

Rolex Learning Centerの内部。

 ローザンヌに位置する、と先ほどは述べましたが、この表現には少し注意が必要です。次の地図は、ローザンヌまわりの基礎自治体 (コミューン)とEPFLの位置関係を示しています。スイスにはこのようなコミューンがなんと2000以上あり、それぞれ役所を持っています。日本の市町村の数がたかだか1700ちょっとなので、人口や面積の差も考えると、いかに細かく分かれているかが実感できます。コミューンの多くは数百人規模ですが、Lausanneの人口は約14万人で、相当な大都市ということになります。

Geographical situation of the campus

 話を戻しますが、この地図を見る限り、EPFLがあるあたりはLausanneではなくEcublensというコミューンに位置しています。実際、キャンパスに隣接するホテルやスーパーの住所はEcublensになっています。ただ、住所の上ではEPFLはLausanneとなっています。対外的にわかりやすくする目的なのか、飛び地扱いなのかよくわからないのですが、EPFLとすぐ隣のUNIL (Universite de Lausanne)の土地はCH-1015というローザンヌ市の郵便番号が割り振られています。
 短期滞在なら別に気に留める必要のない事ですが、注意が必要なのは役所の手続きが必要な場合です。物件の所在地によっては、大学近くだとEcublensやRenens、あるいは湖畔のコミューンであるSaint-Sulipceなどに届け出ることになります。実際自分が最初に滞在した施設も、EPFLのキャンパスから道路一つ挟んだだけなのですが、住所はSaint-Sulpiceでした。コミューンによって微妙にシステムが異なる (事前電子記入の有無など)ので、自分がどのコミューンに住むことになるのかをよく確認しておく必要があります。なお、滞在許可についてはなかなか苦労(心労)があったので、別でまとめたものを書こうと思っています。

おわりに

 ローザンヌとEPFLについて軽く導入しました。今後はトピックごとに記事を書いていくつもりです。滞在の実現に向けてご協力いただいた方々への謝意を示して、初回の記事を終えたいと思います。

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