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部屋探し

 通常、数ヶ月程度の留学であれば学生寮に入るのが一般的だと思います。大学からオファーがあり、所有してる学生寮に適当に割り振ってくれるのがよくあるケースでしょうか。しかし、EPFLの場合、ローザンヌの住宅事情が過酷を極めているためか、基本自分で探してね、というスタンスでした(正規の交換留学等の場合は状況は異なるかもしれません。あくまでVisiting Doctoral Studentとして来た場合の話です)。大学のサイトにいろんな選択肢が紹介されていて、そこから自力で探します。自分の場合、滞在期間がEPFLのセメスターを無視したものだったことも相まって、少々苦労しました。

Doctoral studentは学生寮に(ほぼ)入れない

 ローザンヌでおそらく一番手広く学生向け物件を管理しているのが、FMELという財団です。学生寮のリストでも一番上に載っています。500フランほどのドミトリーから900フランほどのStudio(キッチンやシャワーがついた、いわゆるアパートの一部屋)まで4000部屋ほどを確保しているようです。しかし、サイト内に修士の学位を持つものは申し込む資格がないとの記述があり、自分の場合はこれに当てはまってしまうので契約できませんでした。そのほかにもいくつかの学生寮や学生専用アパートが紹介されていましたが、空きなし、博士は対象外、最低契約期間1年など、あまり期待できませんでした。
 そもそも、EPFLの正規の博士課程に在籍する人は、基本的にDoctoral Assistantという被雇用者としての身分と収入を得ています。EPFLのサイトに情報が載っていますが、年収は約52,700フランで、記事執筆時点でのレートだと690万円ほどです。もちろん物価や保険制度などの違いから一概に比較はできませんが、十分に生活できる額を得ています。ですので、経済的に厳しい人のための学生寮にドクターが住むのはナンセンスです。これは納得できます。
 自分の身分であるVisiting Doctoral Studentの場合は、自身の給料や奨学金、研究費や旅費、あるいは滞在予定の研究室に雇ってもらうなどして、月あたり2,500フラン(328,000円!)の収入があることを証明する必要があります。逆に言うと、この額が家探しをする際の基準になります。基本的に、月収の1/3以下の物件でないと契約することは難しくなります。なので、800〜900フランが目安となります。一方、正規のドクターの場合は月収約4,400フランなので、1500フランぐらいの物件も契約できることになります。といっても手頃な価格のアパートの空きを探すのは困難を極めるので、EPFLの見解としてはドクターの学生はフラットシェアを探すべきだそうです。

EPFLのHousing Information

 学生寮は早々に諦めて、EPFLと隣のUNILが共同で運営するUNIL-EPFL Housing Platform(要学生アカウント)を使って物件を探すことにしました。ここでは、不動産会社に限らず、学生や一般の住民もオファーを掲示しています。ルームメイトを探している学生や、バカンスやインターンの間だけ部屋を又貸ししたい人、自宅の空き部屋を間借りで貸し出す人などです。ただ、フラットシェアでは特にそうですが、基本的にその人と関わりながら生活することになるので、お互いに信頼に足る人物か判断する目的も含めた下見が重要です。なので、国外にいる間は話の進めようがありません。当たり前ですが物件は早い者勝ちなので、アポを取ってもすぐに見学に行けないのであればあまり意味がないです。なので、ひとまず短期滞在用の宿を確保して、現地についてから探すのがいいように思えました。なお、同サイトには詐欺物件も混じっていて、その注意がなされていました。
 このサイトへのアクセスには学生アカウントが必要ですが、貰う前でも、入学許可があれば物件リストのPDFへのアクセスをリクエストすることができます。また、このリクエストを持ってHousing Informationからのメーリス的なものに加えられるみたいで、一度アパートのオファーが来ました。月1350フランでは手が出ませんでしたが。

Les Estudiantinesでの短期滞在と部屋探し

 Les EstudiantinesというのはEPFLの仲介する学生寮・アパートの一つですが、そのうちの7部屋を短期滞在者向けに確保していて、EPFLのHPから予約することができます。完全に需要過多なので、かなり前もって予約することをおすすめします(自分の場合は滞在期間が確定してすぐ、約3ヶ月前に予約しました)。月曜日開始/終了の1週間単位で、最大4週間の滞在が可能です。1週間だと370フラン、4週間だと990フランで、まだ安い方だと思います。
 自分はここに4週間滞在し、その間に次の物件を確保するという作戦をとりました。なので、滞在許可の申請などの緒手続きはこの住所で行いました。なお、予約確認メールにはこの住所を私用の郵便に使うなというような注意が書いてありますが、チェックインした後は使って問題ないです。ちゃんと郵便受けもあります。

Les Estudiantinesの外観です。研究室までは徒歩5分でした。

 到着後はほぼ毎日上記のプラットホームにアクセスし、新規物件で良さげなものがあればメールを送っていました。自分の場合10月末までの住居を探していたのですが、セメスターが始まる前の8月までしか借りれなかったり、フルで借りれても契約が半年ごとなので11月から引き継いで住む人を探す必要があったり(見つからなければ契約満了まで家賃負担)と、一筋縄では行きません。結果的には、良い返事が来た4つのうち2つを実際に下見に行って決めました。少人数のフラットシェアで、市の中心に近く、部屋は狭いですが家賃は予算内におさめることができました。ルームメイトがパリピな感じじゃない落ち着いた人だったのもポイントでした。不動産代理店ではなく、フラットのオーナーとの個人間での契約だったので、契約期間等も柔軟に対応してもらえました。
 このように、研究室での滞在をスタートさせて、まずやることの1つが部屋探しの情報を得ることでした。彼らもやはりみんな苦労したようで、上記で挙げた他にもFacebook等の募集から探したり、同郷のコミュニティで見つけたりしていました。物件が見つかるまでの数週間をAirbnbでやりくりした人もいました。自分の場合は結局EPFLのプラットフォーム経由で部屋を確保しましたが、情報源は多いに越したことはないでしょう。なお、研究室の秘書の方にお願いして確保してもらうという手もあるようです。後で知りましたが…。

まとめ

 まず、もし滞在期間の融通が利くならセメスターの区切りを意識すると良いです。それでも苦労はすると思うので、自力で探す場合は覚悟して情報を多く仕入れましょう。探せば700〜900フラン程度のオファーは結構あります。あと、これは何となくですが、スイスの電話番号を持っていたほうが返事がくる確率が高い気がします。Whatsappで連絡を取ることも多いので。


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