徒然9月の詩


『9月の始まり』
しんしんとふりつもる
秋の日差しの底で
あくびする猫と本


『霧雨の道路』
霧雨にうたれて駆ける馬の背よ
艶やかに光り、美しきこと


『虹の欠片を急いで拾う、黄昏時の帰り道』
黄昏時に虹を見た。雨は降っていないのに、虹色の端がうっすらとかかっている。もうすでに消えはじめており、徐々に沈む夕陽に照らされて確かに虹があった。しかしもう時間がない。反射する水蒸気はあっても、太陽が沈んでしまえばこの啓示は消えてしまう。夕陽と共に消える儚い虹の欠片を、急いで撮っておかなければ。わたしは、急いでスマホを取り出した。


『夕方』
残照を追いかけて遠くまで往く夏の終わり


『蝉の羽ひとつ、はらはら風に舞う秋口』
夏の残滓が道路に落ちていた。爽やかな風に吹かれて舞い上がり、どこかに消えてしまった。


『ならんで揺れる雑草の無邪気』
帰り道、もうすっかり花びらが枯れて、いまはもう綿毛になりつつある植物を見かけた。それがたくさん。空き地にところ狭しとならんでいる。秋の夕方の、どこか寂しげな涼しい風がふくたびに、植物は一斉にゆらゆらと揺れていた。まだ綿毛が成熟していないのか、揺れても綿毛が飛ぶことがない。

ゆらゆら、ゆらゆらとならんで揺れる。

ゆらゆら、ゆらゆら。

もう少し時がたてば、この揺らめきが意味のあるものとなって、綿毛が飛んで、あちこちに根付いていくのだろうと思う。



『翼を広げ、陽光をまつ水鳥の勇ましさ、まるで戦に臨む顔』川の真ん中の、水面から顔を少し覗かせた岩の上で、黒い水鳥が翼を大きく広げていた。
おそらく羽を日光に当てて、手入れをするつもりなのだろう。羽毛を乾かし、虫を取り、毛並みを整えて輝きを取り戻そうとしている。
しかし、いま光はか細く、空には薄灰色の雲が張っていた。弱い光のなかで、鳥はひたすら翼に光を集めていた。
しばらく様子を見ていると、さらさらと霧雨が降り始めた。わたしは水鳥が日向ぼっこをやめると思ったが、鳥は一向に翼をしまおうとしない。それどころか微動だにすらしなかった。さらさらと降る雨は薄く弱く、いまにも止みそうな風ではある。

わたしは唐突に理解した。
この鳥は、雨が止み、空が晴れ渡り、陽光が燦然と輝くのをまっているのだ、と。いまはただじっと耐え、空を一心に見据えて光が現れる瞬間を待ちわびている。そんなときがくるかどうかはわからないのに、希望を持ち続けて待っていた。
この鳥はいま、逆境に身をおいている。
それがわかったわたしは、懐からスマホを取り出して天気予報を調べた。雨が降るのは朝だけで、それ以降は晴れるらしい。
天気予報が当たるかどうかはわからないけれど、わたしは晴れてほしいと願った。2023.9.15


『北国の、夏の終わりを告げる雷鳴』


『なだらかな水面も塩辛い海
カニのあなにも油断大敵』


『ヘドロでも海に混じれば海となり
やがては山の湧き水になる』


てきとーなやつ

『夜風に揺れる繊月のいまにも飛んでいきそうな』


『コオロギが取り囲む街、明るさの前にもねむけをさそう』


『くそくだらない人生を生きていくのも一興なのか』


『ゲームしてゲームしてゲームばかりの日曜よ
明日を憂鬱と思う暇もなく眠りたい』


『お財布のすきまを埋めるため心を無くして仕事する』


『遺伝子をわたしの代でとめてやるそう思う秋の夕暮れ』


『懐の具合が寂し朝食はおにぎりひとつ、
昼食もおにぎりひとつ、晩飯もおにぎりひとつとしょうが焼き』


半分生活で半分空想。

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