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手に触れえる命を生む

某ロビー書架の拙著

きょうは物書きではなっく、版元のひととしてのお話をばすこし。

きのうはBASEから、けさはAmazonから注文がありました。
BASEが「球場巡礼 第2集」、後者のそれは「球場巡礼 第1集」でしたから、たぶん同一の読者の方のご購入によるものでしょう。
第1集の方はAmazonで扱ってもらってますが、第2集の方は取り引きを中止しているのでBASEからと。
お手間をかけてしまったようです。

それはさておき、ぼくのようなおひとり出版社にとって、AmazonやBASEはありがたい販売チャンネルです。
独自の販売ルートをもたず、管理もじゅうぶんにはできない出版社にとって、それらの代行をしてくれるのですから、願ったりかなったりなのです。
ただ、Amazonの場合は掛け率が低く設定されていますし、システムに高圧的なところもあり、BASEの場合は〝釣果〟がほとんどないという恨みがあるにはあるのですが。

Amazonにはじめて取り扱ってもらったのは「カープ猛者列伝 私家版」でしたか、さる版元で出してもらったものの、そこが廃業してしまったので私家版として自分で販売することにしたのです。
もう14年というか、まだそんなもんかな感じですが、まだカープ本がカテゴリーで括れないほど数がなかった頃でしたし、ネットに情報が氾濫しはじめない前でしたからそこそこ売れました。
販売直後は週に2回(当時は確か月・水曜日だけでした)の注文にダンボール箱で対応するほどでしたし、それからもしばらくは月数万円の売り上げが安定的にあったと記憶してます。

Amazonの凄さを身をもって知ったのは、
衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか?」を出したときでした。
これはAmazonだけでなく、ある業者さん通しで広島県下の書店にも流してもらったのですが、初版の3千部が瞬く間に捌けてしまいました。
amazonからは毎回百冊単位で注文が入って、そのたびにダンボール箱で何個も出荷するほどでした。

これはもう増刷しても管理が追いつきませんし、出せばまちがいなく売れそうでしたので、ある出版社にご相談して増補版として刊行していただきました。
案の定、これは第5刷か6刷までいきました。

この続編として書いたのが
マツダ商店(広島東洋カープ)はなぜ赤字にならないのか?」で、これも同じ出版社から出してもらうはずだったのですが、刊行を予定していた時期に「カープが快進撃しているから」無期延期したいということになりました。
その版元はカープ関係のムック本を定期的に出していましたから、球団の方からプレッシャーをかけられたか、先方の意向を忖度しててのことだったのでしょう。

それで仕方なく文工舎で出すことにしたのですが、これがまた予想外に売れました。地元の書店では軒並みランキング1位。それも長くその地位を維持しつづけました。
前記のごとくAmazonへのダンボール発送がしばらくつづきました。あるサイトで紹介していただいたときは、瞬間的に注文が集中したようで、ノンフィクションの4位か5位にランクアップされたほどでした。

悪い癖で、また自慢話みたいになってしまいました。
もちろんこれにもオチはあるわけで、

「いまでは、さっぱわやですわ」(笑

Amazonからの発注にダンボール箱で対応するような事態は遠い過去の話。
いまは思い出したように発注がポツポツとくるといったところです。

本当に本が売れません。
それでも、なぜ原稿を書くのか。

まあ、とり合えずそれしかできないということもあります。
でもそれ以上に、「原稿が本になって生命を持つ」それをなした達成感がたまらないからですね。
〝できの悪いガキ〟かもしれませんが、手触りのある生命をこの世に送り出し、それが誰かに何がしかのメッセージを伝えられる。
それがうれしいのです。

稲垣足穂氏でしたか、「おれの読者なんて30人くらいだろう。それでじゅうぶんだよ」というようなことを宣っておったと記憶します。
ぼくにそれだけの読者がいるかどうか怪しいものですが、たとえそれが3人であろうとも、われゆかんです。

きょうのぼくは、どうしちゃったんでしょう。妙にポジティブ。(笑
けさは早朝4時半起きで調子よく3時間ほど執筆できたからでしょうか。




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