タイトル考

7月13日に新刊『ズムスタ、本日も満員御礼!』が刊行されることになった。

先行書ともいうべき『衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか?』を出版したのが2010年。その続編ともいえる『マツダ商店(広島東洋カープ)はなぜ赤字にならないのか?』を上梓したのが2012年。

あれから既に7年の歳月が流れた。

「いつまでもカープが優勝できないのはなぜなのか?」
前掲2著のテーマはそれだった。

ところこれらが出版されてからすぐにカープは長期低迷から脱した。どころか今やリーグ3連覇の強豪チームとなり黄金期を謳歌しているかのようだ。
隔世の感なきにしもあらず。

『衣笠祥雄はなぜ〜』は、そのタイトルがカープファンにとどまらず、野球ファンにはストレートに響くインパクトの強いものだったこともあって、驚くほどの反響があった。
しかし、「なぜ?」の疑問に答えていない、というお叱りもいただいた。

その「なぜ?」はカープファン、プロ野球ファンにはすでに周知のことで、あえて書くまでもないこと。
「お察しください」そう反論もしたかったが、思えば本文に一行だけでも言及しておくべきだった。
その不備は今回の新刊で補っているので、ご不満だった方にはぜひお読みいただきたい。

続編の『マツダ商店は〜』は、一応独立採算性でありながら1975年から赤字なしの経営をしてきたカープのフロントの運営と、いつまでも優勝できないグラウンドでの成果のアンバランスを皮肉を込めて表現した。
ところが、そのままカープ球団の経営を礼賛する本と勘違いされたそそっかしい読者の方もいたらしい。

だがお叱りをいただかなかったのは、それなりに内容に納得されたからにちがいないと、手前勝手に受け取っておこう。(笑)

今回の新刊のタイトルも、もちろんひねってある。
ズムスタが連日満員になっていることへの球団からファンへの感謝を代弁したものでは、もちろんない。
こちらも皮肉をたっぷり込めたつもりだ。(「マツダスタジアム」ではなく「ズムスタ」としていることでもお判りいただけるだろう)

原稿は少しずつ書き溜めていて、タイトルもこれに決めていた。
それが過日の「抽選券の大騒動」が起こったせいで原稿は一気にまとまった。
そして現実がタイトルにグッと寄り添ってきた。そんな感じがするのだ。





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