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one of my kind

バンドでもそうなんやけど、リハとかでちょっと気になったとこをそのままにしてやり過ごしたりすると、必ず本番でその言わなかった詰めきれなかった事で失敗する。
本当によくある。
もちろん常に細かくピリピリしてるのも良くないから難しいんやけど、ステージの上、真剣勝負の場では準備してきた事、準備出来なかった事がそのままシビアに出る。
だから面白いんやけどね。
人と人との関係もそんな感じやないかな。
なぁなぁにしてた所があとから返ってくる。

今の日本もそんな感じ。
震災の後、そのもっと前から考えずに過ごしてきた事が、この危機に直面して真剣勝負の場であらわになってると思う。
そら個人的にはあんなもん選んだ覚えは一つもないけれど、日本って国の単位で言ったらあれが代表やもんね。
て事はもうやっぱ自分だけが選ぶものじゃないけん、周りの人も一緒に考えて貰うしかないんよね。
けどそんな事を考え出すと、急に途方もなくボンヤリしてきてしまう。
自分が自分の事を考えて自分の事をやるのは出来るけど、そもそも人に何やかんや言える事なんて一つもない。
いや、バンドやったらガンガン言うよ、一緒に音楽を作ってるわけやけん。
けど何かその辺の人に言う事なんて無いんよね。
一緒に国を作ってるやんって言われても、よう分からんな、国を作るって。
けど本当はそれが必要なんやろうね、難しいね。

多分、俺の思う国や社会ってバンドなんよね。
今までちゃんと就職とかした事ないけんあれやけど、国にも会社にも家族にもバンドにも個人にも社会があると思う。
俺に出来る事はそのバンドや個人の社会を営む事だけなんよ。
それを一生懸命にやってステージ上で示す事しか出来ない。

1番最初にやってたバンドの時は自分にしか、自分達にしか出来ない事をやって、その自分や個人に向き合う姿勢を広めて行こうって気があった。
自分達もそうだけど、そうやって自分達の音楽を聴いた、ライブを観た周りの人達にも感じて欲しい考えて欲しいってのがあった。
けどそのバンドをやめて個人で、1ベーシストとして音楽やバンドに携わる様になってからは、とにかく自分が自分の事をちゃんと出来てるかだけを考えるようになった。
バンドにはもちろんあるけれど、聴いて観てくれた人に何か感じて欲しい、考えて欲しいみたいなのは無くなったかな。
しいて言えば、純粋に音楽の良さや演奏の良さに、しみじみと感動して貰えたら嬉しいなと思うくらいだ。

とにかく自分に出来る事は、自分にしか出来ない事をやってそれをバンドのメンバーそれぞれが出してきて掛け合わせて、自分達にしか出来ない音楽を作る事だ。
その事が百匹目の猿みたいに伝播すればラッキーだけど、もちろん自分がやってる事が全て正しいなんて思わない。
ただその自分にしかない間違いや正しさをそれぞれに持ち寄って国を作ってくなら、そんなに楽しい事はないなと思う。
むっちゃくちゃに大変だけど、それは何かに従って起こる大変さよりは、もっと全然違う素敵な大変さだ。

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