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阿呆なことばっかりやってきた私でも冷めない情熱はある。

一時の熱に浮かされては失敗して、冷たくなった心を布団の上、電車、教室、自室の学習机、こたつで情熱を温めてきた。

酒を飲んでは潰れて、馬鹿とか阿呆とか何度も言われてきたが、そんな私でも殊に文章に対しては、小学生の頃から、静かに情熱をそそいできたようだ。

初めて自分のお小遣いで買った本は重松清の『とんび』。日曜の夜にドラマでやってたので、原作小説を買ったのを覚えている。

中学生の頃は香月日輪の『妖怪アパートの幽雅な日常』シリーズ。高校生の頃は伊坂幸太郎作品。浪人、大学からは岩波書店の岩波新書、岩波文庫をたくさん買っては読んで、テキストの難解さにやられては閉じて寝かせている。

留年が確定してからは森見登美彦の『四畳半神話大系』。作品の中の阿呆学生をなぞって、阿呆学生ぶりを恣に過ごす日々だ。

ラジオを聴くようになってからは、若林正恭のエッセイを読み、それからエッセイも読むようになった。

文章を書くのは苦手であるが、読むのはすこぶる好きである。

借金が重なる現在は、好機である。買い溜めた読んでいない本を通学中に読める。また一度読んだ本を読み返すこともできる。何度も読んでボロボロになった文庫本も鞄に忍ばせている。お守り代わりだ。

借金も留年も二日酔いも悪いことばかりじゃない。難しくて読むのを放棄していたプラトンもカントも、今や大学のレポート作成に大いに役立っている。

貧乏を乗り切るために読む。幸い本はたくさん売らずに、捨てずに書棚に溢れている。

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