『鬼滅の刃』の絵は上手いか下手か(美大卒で、たぶん日本一漫画に詳しい自分が書きました)。

画像1

画像2

>「鬼滅の刃は絵が下手だ」という人が意外と多く、「アニメで上手い絵になったから売れた訳で、下手な本だけでは売れなかった」と言う人もいるので、解説描きました。
批判する前に自分の目を疑えって話。

https://mobile.twitter.com/H_Tenko/status/1262697085637279744

デッサンがあればラフに描いても絵は保つよ」みたいな事を言ってると思う。
また「絵のリテラシーの無い素人は線の丁寧さしか見ない」とも。
あと下手な絵師ほど線だけは丁寧というのもある、「丁寧は下手の芸」と言いますから。丁寧さで誤魔化すのね。

丁寧に描いてナンボな絵師が週刊連載というハードスケジュールだからラフに描かざるを得ず、それを線の丁寧さしか見えない低リテラシーらに「実力よりも下手」だと過小評価されてるのが『鬼滅の刃』の原作の漫画家だという事では。

あなた達みたく絵の分からない低リテラシーらが思うほどは別に吾峠呼世晴先生は絵が下手では無いよ」という庇い方がたぶん適切で。
さすがに絵の上手さでのしてく漫画というほど上手では無い。それもまた今度は逆に過大評価だと思う。
つまり否定派も擁護派も、どっちもどっちで。両者とも正しく見えていない。
全うに等身大な鬼滅の刃の絵に対する評価というのが出てこない。
貶め過ぎか、あるいは持ち上げ過ぎかで。

漫画家の平均的な絵である画力偏差値50な鬼滅の刃を低リテラシーらは(絵が平均よりも下手な)偏差値40と認識して、「いや違う、鬼滅の刃は絵が上手い」と擁護してる人は(絵が平均よりも上手な)偏差値60と認識してる。
実際には「偏差値50な絵をラフに描いてる」が正解ですね。
繰り返しますが、低リテラシーは線の丁寧さしか見ないのでラフな絵は実力よりも低く見られる。
また逆に言えば、絵のリテラシーが低いため認識出来る絵の上限が偏差値50までだから「一番丁寧な線で描いた偏差値50の絵」を彼らは最も支持する。それを一番上手な絵だと認識する。
いわゆる「低リテラシーにだけウケる絵」というやつです。

あと鬼滅の刃の絵の擁護派には、あまり絵が上手くない漫画家などが多かった気がします。
「絵のリテラシーが低い漫画ファン」と「あまり絵が上手でない漫画家」というアングルですね。
両者ともバイアス気味だから余計にすれ違うのでは。

ここから先は

3,368字 / 1画像

¥ 400

儲かったらアートな服のブランドでもやります