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高エンゲージメントが特徴!動画メディア「bouncy」を #マーケティングトレース

こんにちは、金森です。

本日は、動画メディア「bouncy」についてマーケティング分析していきたいと思います。

未来を感じる動画メディア「bouncy」とは

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上のような動画あるいはロゴを見た方も多いのではないでしょうか。

「bouncy」とは、動画制作やマーケティング支援などを行う株式会社Viibarが運営する、「未来を感じる」をコンセプトに運営している動画メディア。最先端のテクノロジーやガジェットを中心にソーシャルグッドの動画なども紹介するので、見ているだけでワクワクします。

前提の確認

・運営会社株式会社Viibar

◉ミッション:動画の世界を変える。動画で世界を変える。

事業
(1)動画メディア「bouncy」
(2)動画マーケティング:デジタル動画の企画から制作サポート、広告配信までをワンストップで提供
(3)クラウド型の制作管理ツール「Vync」:動画をはじめとするクリエイティブ制作の業務効率化のための、クラウド型の制作管理ツール。6月から提供開始。
(4)放送局・メディア企業・新聞社などのパートナーの動画メディア開発支援:LYKKE、Spolay、NIKKEI STYLE、NHK1.5chなどの企業の動画を制作している模様。

・他社との関係

電通と資本業務提携
・日経と資本業務提携し4億円を調達(2017年)

・日本テレビ放送網(日テレ)と資本業務提携(2018年):広告およびコンテンツ領域における包括的な業務提携を日本テレビと締結。今後は、両社が持つ顧客基盤・ブランド価値・ノウハウ・ネットワークなどを相互活用した、新しいサービスの開発・運営を推進していく

・実績(2017年時点)

全世界で3000人超のプロクリエーターネットワークを活用し、クライアント約600社のデジタル動画マーケティングを支援。

分散型動画メディアとして「bouncy」はスタート

「bouncy」は、もともと2016年2月よりFacebookページから始まったもの。いわゆる、分散型動画メディアの一種としてスタート。

※ 分散型動画メディア:分散型メディアの最大の特徴は、自社のWebサイトを持たないこと。通常のWebメディアは、コンテンツを掲載するための母体となるWebサイトを持ち、そこに記事や動画などのコンテンツを掲載するのが一般的だ。一方の分散型メディアは、FacebookやInstagramといったSNS上に公式アカウントを設け、そこに読者を集める。人気サービスであれば、公式アカウントに集まる読者の累計は数百万人に上る。その公式アカウントに対してコンテンツを配信する。このように自社のWebサイトを母体とした中央集権型ではなく、コンテンツをさまざまなWebサービス上に分散させることが分散型メディアと呼ばれるゆえんとなっている。自社サイトを持たない点がメディアの新たな形として注目につながった。
(出典:日経XTREND

分散型動画メディアは一時期Facebookなどで、かなり良く見かけていましたが、最近ではあまり見かけなくなりました。

このような記事から察するに、「bouncy」もFacebookページ単体で収益化させることが困難だったのかもしれません。(いくらコンテンツがバズって動画の視聴回数が増えても、広告収益の増加には結び付かないという課題があった?)

こうした背景があるからなのか、「bouncy」ではWEBサイトやオンラインストアを新設しています。

・2017年1月:「bouncy STORE」をローンチ!

bouncy STORE:世の中の一歩先をいく、話題性のあるユニークなプロダクトを動画で紹介。Facebookページで商品紹介動画を投稿し、購買へつなげる、いわゆる動画コマースの領域にも挑戦するメディアに。

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視聴者の「プロダクトを購入したい」という要望に応える形で、より購買訴求に直結した動画コンテンツの配信を開始。
(出典:MarkeZine

・2017年4月:WEBサイトをローンチ!

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Webサイトを開設することにより、動画ではカバーしきれない情報をテキストで補完したり、SNSでは難しかったアーカイブを活用した情報提供など、視聴者に対してより深いコンテンツ体験を提供いたします。また検索経由など、SNSとは違ったタッチポイントでの接触面を開拓することで「bouncy」のファン拡大を見込みます。
(出典:プレスリリース

動画メディア「bouncy」のマーケティング分析

それではここから、「bouncy」のマーケティング分析をしていきましょう。

概要

見ている指標:再生数より「未来を感じるかコンテンツかどうか」を重要視。明日に希望を持てるコンテンツかどうかを意識して、シェアされた回数やコメントの内容、どれだけ長く再生されているかなどを見ている。つまり、インプレッションよりもエンゲージメント率?
ユーザーとの関係を重視:「bouncy」のようなバーティカルメディアは、ユーザーとの強い関係性が重要。
・メインは紹介するもの:人が映っているが、あくまでメインは「紹介するもの」で、そこは、YouTuberとは異なるところ。

市場環境

・デジタル動画メディアの躍進:サイバーエージェントらが発表した調査によると、デジタル動画広告領域はさらに成長する模様。

2018年の動画広告市場規模は、1,843億円、昨年対比134%となる見通しだ。また、モバイル動画広告需要は1,563億円、昨年対比143%となり、動画広告需要全体の85%を占める見込み。今後もスマートフォン動画広告が動画広告需要全体の成長をけん引し、2024年には4,957億円に達すると予想される。

・動画の活用シーン:広告以外のマーケティング活用シーンはこんな感じ。電通との資本業務提携において、以下のような図が用意されています。想像以上にいろいろありますね。きっと、さらに動画の活用シーンは増えていくのでしょう。

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競合企業

競合に当たるものを限定するのは中々難しいです。

ここでは、参考程度に動画メディアのカオスマップを紹介しておきます。

・カオスマップ(2017年9月時点)

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参照:Stockclip

「bouncy」も、ライフハックの領域において紹介されていますね。

「bouncy」のマネタイズポイント

・マネタイズの柱はタイアップのネイティブ動画(2017年9月時点)

上記記事によると他に、下記のようなこともマネタイズ手法として実施/検討しているという。

実施:ノウハウの提供/動画メディアの運用代行
検討:テレビや動画配信サービスにコンテンツを提供

いずれにせよ、動画メディアは制作コストが他メディアより数倍かかるため、早急にビジネスモデルが確立されることが望ましいでしょう。

他のマネタイズの手法としては、WEBサイトにおける広告や「bouncy STORE」でしょうか。

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参考に、他の分散型動画メディアのマネタイズ事例を見てみます。

こちらは、分散型ニュースメディア「NOW THIS」のマネタイズ戦略。

NOW THISのマネタイズ方法

⑴ 広告費のレベニューシェア=YouTuber的な話。コンテンツに広告が載り、動画1再生0.1円のように広告費のほんの一部を還元してもらえる仕組み
⑵ ブランドコンテンツ=ネイティブ広告=記事広告
⑶ コンテンツ製作=外部企業からコンテンツ制作請負
⑷ データ=読者データなどを販売かレンタル

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出典:Marketing Research Camp

気になったこと:プラットフォーム依存について

「bouncy」はもともと、Facebookページから始まっただけあって、Facebookでの影響力はかなり高いです。投稿された動画へのいいね数も3桁〜4桁、シェア数も3桁を叩き出しているものが存在しています。すごい...。

・フォロワー数:47万人以上
・いいね数:45万人近く

ある意味、Facebookへの依存度も高いとも言えるかもしれません。

ただ、最近「Facebook離れ」という事象があるようです。Facebookへの依存度が高いのも少しリスキーと言えるかもしれません。

WEBサイトを開設した背景には、マネタイズの観点以外に、ひょっとしたらこうしたプラットフォームの依存問題もあったのかもしれません。

こちらの記事でも、分散型動画メディアのプラットフォーム依存は指摘されています。

そうなると、他の分散型動画メディアはどんな感じなのか気になりますよね。レシピ動画「kurashiru」を事例にあげてみます。

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レシピ動画「kurashiru(クラシル)」はどうなんだ??

SNSだけでなく、自社の公式サイト、iOS/Androidアプリと色々やってますね。2018年12月にはアプリの累計1,500万ダウンロードを突破しています。純粋にすごい...。

▼『クラシル』 iOS版:App Store:https://appsto.re/jp/YSri_.i
▼『クラシル』 Android版:Google Play:https://goo.gl/B447IR
▼『クラシル』 公式サイト:https://www.kurashiru.com/
▼『クラシル』 公式Facebook:https://www.facebook.com/kurashiru.net/
▼『クラシル』 公式Twitter:https://twitter.com/kurashiru0119
▼『クラシル』 公式Instagram:https://www.instagram.com/kurashiru/
▼『クラシル』 公式YouTube:https://goo.gl/pnChZn
(出典:プレスリリース

自社でメディアを持たない(分散型動画メディア)のリスクを減らすために始めたアプリが思った以上に好調2016年のTech Crunchの記事内においても語られています。

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自分が「bouncy」のマーケターなら

ここまでを踏まえた上で「bouncy」が今後どうなっていくのか、いくつか戦略を考えていきます。とりあえず今の「bouncy」の良いところと、ちょっとアレな点(懸念点)を一つずつ棚卸ししてみます。

良いところ

とにかく、エンゲージメント率が高い!つまり、ユーザーから愛されているメディアである!

これは、とにかくスゴイところ。宝だと思います。

ちょっとアレな点

マネタイズ手法は試行錯誤中??

主に、このマネタイズの点をカバーするという視点で戦略を考えます

戦略(1)アプリの開発

まずは、iOSでアプリを開発。Facebookなどで投稿する際は、矢印部分の誘導先をアプリダウンロードのURLへ。

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・広告の活用:認知は取れており、ソーシャルメディアの活用もされている状態なので、仮にアプリの広告を打っても「あまり嫌われないのでは?」という仮説です。

広告の活用を考える上で、参考にしたのは下記の記事。話題化する上で重要なのは、この順番で取り組むのが良いのだそう。

「PR→ソーシャルメディア→広告」の順番で山を作る

メリット熱量の高いファンを囲い込むことができる?

現状あるサイトよりは、ユーザーがより時間を投下しやすいのかなと。仮にアプリを作るなら「動画タブ」と「ECタブ」があれば、動画を見たら直ぐに購入できるという流れを作れそうですね。

懸念点ユーザーは果たして長時間、アプリを観るのか問題

いざアプリを開発しても、ユーザーが長時間滞在(ex.動画を続けて何本も観る)しないと中々厳しいかもしれません。そもそも、ユーザーは「bouncy」の動画を続けて何本も観ることはあるのでしょうか。アプリを作らずとも、サイト上でユーザー行動などを分析し、どんな感じに動画を閲覧しているのか観察したいですね。

戦略(2)「bouncy」は広告塔。マネタイズは他のビジネスに任せる

動画メディア「bouncy」ではマネタイズすることを重視せず、ひたすらユーザー獲得およびユーザーのファン化にフォーカス。代わりに、他の事業でマネタイズするというものです。

ここでは一旦、クラウド型の制作管理ツール「Vync」を軸において、考えていきたいと思います。

ここで引き合いに出したいものとして、「ferret」というメディアがあります。めちゃくちゃ集客力の高いWEBマーケティングメディア「ferret(月間500万PV)です。株式会社ベーシックが運営する有名なメディアですね。

ベーシックでは、SaaSをいくつか運営しております。たとえば、WEBマーケティングツール「ferret One」や、コンタクト管理ツール「formrun」がそれにあたります。ferret Oneでは、リード獲得のチャネルとして自社メディアからの流入もあることでしょう。クラウド型人事労務「SmartHR」や、「モチベーションクラウド」でもメディアが運営されていることから見るに、SaaSとメディアの相性は良いでしょう。

同じように「Vync」でも、「bouncy」から見込み客の流入をはかるというのも手だと考えました。

ただ、問題点(仮説)があります。

問題点「bouncy」の動画に興味を持っている層と、クラウド制作管理ツール「Vync」に興味を持つ層が、一致しないのではないかという仮説です。

たとえば、ferretとferret Oneなら「どちらも、マーケティングに課題感を持っている企業や企業に所属するマーケター」という共通点があります。

一方、bouncyは、toC寄りのメディア(ビジネス目的ではなく、プライベートの時に見るようなメディア)なので、toB事業である「Vync」に横流しさせるのはferretに比べれば難しいのかなと。

もちろん、「bouncyで動画をたくさん作っているし、Viibarが開発しているツールなら安心だろう」という認知を取ることも可能でしょう。

とは言えそもそも、現状「Vync」はマーケティングに注力していないでしょう。というのも、2018年の6月から一般提供を開始したSaaSだからです。まだ一年も経っていません。

それに、既存顧客として電通がいるので、まずは電通に成功してもらうこと、これが何よりも重要でしょう。きっと、開発とカスタマーサクセスへの注力フェーズ、ですね。電通という影響力のある企業が成功すれば、一気にプロダクトへの信頼度・周知度も上がることでしょう。

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SaaSの「Vync」が上手くいけば、安定的に収益を生み出す柱となることでしょうが、しばらく先の話になりそうですね。

ということで、現状は「bouncy」や「Vync」で収益化するのではなく他事業でキャッシュを稼いでいくのが良いのかなと考えました。

ここで言う、(2)と(4)です。

(1)動画メディア「bouncy」
(2)動画マーケティング:デジタル動画の企画から制作サポート、広告配信までをワンストップで提供
(3)クラウド型の制作管理ツール「Vync」:動画をはじめとするクリエイティブ制作の業務効率化のための、クラウド型の制作管理ツール。6月から提供開始。
(4)放送局・メディア企業・新聞社などのパートナーの動画メディア開発支援:LYKKE、Spolay、NIKKEI STYLE、NHK1.5chなどの企業の動画を制作している模様。

気になるのは、、、

「Vync」以外にも、SaaSを仕込んでいるようです。おそらく一般公開はしていない模様。

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以上!長くなりましたが、「bouncy」のマーケティングトレースは以上になります!最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!

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