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理想の住まいを叶える建築家コラム

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建築家が提案する新築、リフォームのポイント、現代の家族にふさわしい住まいづくり、間取りの知恵のを連載いたします。
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#夫婦

二人だけで過ごす老後が長い

夫婦と住まい04 少子化で子どもが一人か二人という家庭が圧倒的に多いいま、40代後半には子どもが独立し、夫婦二人という場合も多く、おそらく夫55歳、妻50歳頃には、夫婦二人きりになってしまう例が多いのではないでしょうか。 人生90年時代に近づきつつある中で、平均で20年、場合によっては30年以上、夫婦が顔を突き合わせて生きることになるわけです。 家事や子育て、そして地域の付き合いなどを放棄して、企業に身を捧げ、企業の倫理とコミュニティしか知らない夫。妻はどんどん自己実現に

夫婦の個室について

夫婦と住まい03 住まいを設計する時、家族に書き込んでもらう住宅調書では、主婦が住まいの中で一番興味を持っている場所は、まずリビングルームとダイニングルーム、そしてキッチンです。最下位近くにかろうじて、「自分の部屋」が挙げられていますが、東京ガス都市生活研究所の調査によると、八割以上の主婦が、自分専用の部屋を持ちたいと望んでいます。 この数字を併せて分析してみますと、美しいキッチンや家事室の充実といった家事労働の場も重要だけれど、自己実現のための発進基地となる自分の部屋にも

夫婦のための間取りプラン

夫婦と住まい02 前回も夫婦と住まいについても述べてきましたが、住まいづくりでは、いま本当に考えなくてはならないのは、さまざまな問題を抱えた夫婦の寝室ではないだろうか。 近年の女性の社会進出を考えてみても、女性も、男性が書斎を持ちたがるように、知的生産性を高める「自分だけの場所」を求めることは理解できます。 また、精神医学界の研究では、同じ人と長時間顔を突き合わせていると、それだけでストレス度は高くなると言われています。 したがって、「一人になれる時間」「自分だけの場所

夫婦の部屋

夫婦と住まい01 住まいの設計をご夫婦と打ち合わせをしていると、夫と妻の世界が大きくかけ離れていることを感じます。かつてのような共通の目的もなく、求めるライフスタイルが異なる夫婦も増えていますからなおさらです。 夫も妻も、お互いの生活の様子が見えなくなってしまっているということかもしれません。 夫がストレスを抱えて家に帰って、テレビを見てくつろいでいても、妻の目には、ただテレビを見て笑い転げているつまらない夫のように映ります。 また同時に、妻が、家事や慣れない子育てや夫

住まいは夫婦のもの

子供と住まい04子供を中心にした住まいづくりの前に  ー子供の「子の自立」を考えるー 子供を中心にした住まいづくりの前に、次のことを考えたことがあるでしょうか。 一つめは、子ども部屋に、ベッド、机、本棚、クローゼットを置くスペース以上の広さが必要かどうか。 二つめは、親の寝室より環境が良く、広い部屋を与えることが、子どもの精神にどう影響を与えるか。 三つめは、「子どものため」という愛情や期待を優先し、夫婦はこうありたいという意識や感情を抑えて、粗末にしていないか。