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理想の住まいを叶える建築家コラム

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建築家が提案する新築、リフォームのポイント、現代の家族にふさわしい住まいづくり、間取りの知恵のを連載いたします。
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#2世帯住宅

家族の中で老人が果たす役割

2世帯住宅について03 世界一の長寿国である日本が何も海外から学ぶ必要はないのかもしれませんが、日本と同様に長寿で有名なロシアのコーカサス地方では、「眺めのいい場所で暮らすこと」、「乳製品を多くとること」、そして「役割があり、尊敬されていること」が長生きの秘訣だと言われているそうです。 コーカサス地方は、カスピ海と黒海の間に連なる高原地帯であるため、眺望の良さは折り紙付きですし、酪農が盛んなところなので乳製品の摂取量は当然多くなるのでしょう。 仮に、「眺めのいい場所」を「

高齢者の暮らしの中心は住まい

2世帯住宅について02 高齢者は身体的な機能が低下すると、部屋に引きこもりがちになってしまう傾向があり、配慮が欠かせません。 子どもには日当たりの良い部屋を与える一方、高齢者の部屋となると、静かで落ち着ける環境を優先し、家の中心から遠ざけてしまう傾向にあります。 リビングにあまり来られない位置の部屋を与え、間接的な老人虐待とも言えるケースも見られます。 自分が家族から遠ざけられている、または、受け入れられていないと感じたお年寄りは、積極的に家族の団らんには加わらなくなる

親世代と子世帯の理想的な同居

2世帯住宅について01 一つ屋根の下で暮らすという二世帯住宅は、より自立した家族同士でなければ難しく、その意味で二世帯住宅の選択は、言い換えれば「個の自立」をどう考えるかを考えることでもあるのです。 設計に入る前にじっくり検討することが必要だと思います。この十分なシミュレーションがなされず、未消化のまま設計が行われた場合、次のような「三つの失敗」を招くことになります。 三つの失敗 一つめとして、二世帯住宅の同居のかたちは「完全分離型」「部分共用型」「完全同居型」に分けられ