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高齢者の暮らしの中心は住まい

2世帯住宅について02

高齢者は身体的な機能が低下すると、部屋に引きこもりがちになってしまう傾向があり、配慮が欠かせません。

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子どもには日当たりの良い部屋を与える一方、高齢者の部屋となると、静かで落ち着ける環境を優先し、家の中心から遠ざけてしまう傾向にあります。

リビングにあまり来られない位置の部屋を与え、間接的な老人虐待とも言えるケースも見られます。

自分が家族から遠ざけられている、または、受け入れられていないと感じたお年寄りは、積極的に家族の団らんには加わらなくなるでしょう。

この状況は、お年寄りを自室へ追いやる結果に当然なってしまいます。

老人の自殺は、健康に関することが原因になることが多いのですが、同居した家族内での孤独が、自殺の引き金になってしまうことも多く、現代の老人室の位置とその間取りがそれを物語っています。

家族で部屋の割り振りをする場合、そこで過ごす人の年齢や使い方、さらには将来展望を抜きに考えることはできません。身体と心の成長に合わせて子ども部屋の与え方を考慮するように、お年寄りにとってもふさわしい空間があるはずです。

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技術立国として戦後の復興を遂げた日本では、あらゆるものが便利になり、技術革新は住まいの分野でもめざましく進んでいますが、その一方で心の問題は先送りにされてきました。お年寄りが家族の中で孤立しない間取りや生活動線はまさに心の問題であり、利便性や合理性だけで済まされる話ではありません。

お年寄りが家族の団らんから取り残されないような工夫は、これからもっと研究されるべき課題だと言えるでしょう。




【横山彰人建築設計事務所】

これまでに300以上の住宅を手掛け、富な実績を元に、本当に居心地のいい、家族が元気になる住まいをご提案します。noteでは住まいで役に立つトピックスを連載形式で公開します。