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世界樹リプレイ日記(第一階層)

前文

『大陸の辺境に位置するエトリアという名の小さな街で大地の下に広がる樹海が見つかった。
 エトリアの統治機関執政院は大陸中に樹海探索の触れを出し数多くの冒険者を集めることにした。
 しかし幾人の冒険者が集まろうと樹海の奥深くに潜り、富と名誉を手にする者は現れずにいた…。
 …誰にも踏破されない樹海はいつしか世界樹の迷宮と呼ばれ畏敬の対象と化していった。
 ………君もまたその布令に応じエトリアに向かう若き冒険者である。
 その目的は一つ、樹海を探索し、"心躍る冒険"に身を投じることだ。
 さあ街の門をくぐり進みたまえ!』

ギルド設立

エトリアに着いた君はまず冒険者ギルドへ向かった。
そこで眼帯の男から促されるように新しいギルドを作ることにした。
言われるまでもなく最初からそのつもりだった。世界樹の迷宮を踏破する。決意とともに、その名に祈りを込めた。

ギルド長の長話を一通り聞き流した君は冒険者の登録を行った。
そう、君は数々の冒険譚に心躍り、それを吟じているうちに自ら冒険することを望みエトリアの地までやってきた吟遊詩人だった。名をルゥと言う。

冒険者の登録が済んだルゥは広場に出ると突然歌い始めた。
仲間を募る歌だ。
職業不問。
能力不問。
ただ冒険を楽しみたい同じ志を持つ者よ来たれという歌。
だが、いまだ未熟なルゥの歌はお世辞にも上手とは言えない。
冒険者達はルゥを一瞥するのみで、その旋律は間もなく喧騒に埋もれていった。

しかし、歌を終えたルゥの目の前に、二人組の少女が現れた。
レンジャーとアルケミスト。
それぞれレンリとシトラと名乗った。
二人ともルゥの歌う姿に感じ入るものがあったらしい。
ルゥは持ち前の明るさですぐに二人と打ち解け、意気投合した。

レンリは辺境中の辺境の出身で、共通語が話せなかったが、シトラはレンリの言葉がわかるようだった。
二人も数日前にエトリアを訪れそこで知り合ったばかりという。
迷宮に挑むのは、レンリは興味本位で、シトラは知的好奇心のためらしい。似た者同士だねとルゥは嬉しそうに笑った。

談笑していると、ふとどこからか視線を感じた。
視線の元を辿ると物陰からこちらをじっと見つめている少女の姿があった。少女は一同に注目されていることに気付くとさっと隠れてしまったが、ピンと来たとルゥが、あっという間に連れ出してきてしまった。
仲間になりたい子がいたよ、と。

物陰から連れ出された少女は名をトルティニタと言った。
良いところのお嬢様で家族からも愛されて育ったが、街一番の占い師の言葉を信じてしまった両親からある日突然家を追い出されてしまったらしい。
曰く、「世界樹の迷宮に挑ませよ。さすれば将来安泰家庭円満商売繁盛間違い無し」だとか。

荒事はからっきし、そもそも身体を動かすことすら苦手だったが、修練所で辛うじて素質ありと唯一見込まれた職業がダークハンターだった。
そのような事情なので自信がなくどのギルドにも入れずにいたが、そんな折に聞こえてきたのがルゥの歌だったという。

冒険は怖い?

ルゥは尋ねた。
少しの間を置いて、トルティニタは小さく頷いた。

でも、同じくらい楽しみな気持ちもあります。
父がよく家に吟遊詩人を招いていて、冒険譚をよく聴いていたから。
本当は憧れていたんです。
そのことに、あなたの歌を聴いて思い出しました。

職業不問。
能力不問。
ただ冒険を楽しみたい同じ志を持つ者よ来たれ。
トルティニタは温かい歓迎を受け、
こうして最初のギルドメンバーが集まった。

ギルド名はCygnet。
みにくいアヒルの子、白鳥の雛。
いつか美しく成長し、大空に羽ばたくことを信じ、
冒険者達は迷宮への第一歩を歩みだした…。

B1F(前編)

執政院の依頼を引き受け君たちは迷宮に足を踏み入れた。
間もなく樹海の生物との戦闘が始まる。
森ネズミ2頭。
スキルは惜しまない。
トルテは眠りを誘う斬撃を、レンリは敵を撹乱するステップを、シトラは火の術式を、スキルのないルゥは精一杯の応援を。
持てる気力の限りきみ達は戦った。

初めての迷宮探索にて都合3度。
それが限界だった。
2度目の戦闘を終えた時点で街に引き返すことを決めた。
気力は尽き体力もおぼつかない。
時刻は正午過ぎ。迷宮に入ってから2時間も経っていない。
君たちは迷宮を甘く見ていたことを痛感しながらほうぼうの体で帰還するのだった。

明くる日、早朝5時。
君たちは再び迷宮に踏み入れた。
執政院の依頼を達成する前にまず自分達が強くなる必要がある。
第一階層の浅い場所で経験を積む。それが君たちが出した結論だった。

昨日と同じような戦闘を2度行ったところで君たちは自らの成長(レベルアップ)を自覚した。

なーんだ。意外と簡単だね。
宿代は5エンしかかからないし、
この調子でモンスターを倒して素材を売っていればなんとかなりそうだね。

誰かが言った。みんなが言った。
―――帰ったら宿代は倍になっていた。

背に腹は代えられない。君たちは納得行かないような顔をしながらも倍になった宿代をしぶしぶ払った。

迷宮探索を進めていると、
けもの道の行き止まりで毛皮のブーツを見つけた。
好奇心旺盛な君たちは手を伸ばさずにはいられない。
ブーツの中に白石を見つけ手に入れるが、
ひっかきモグラ3体が突如として現れ襲いかかってきた。

ひっかきモグラに一斉に襲いかかられ、レンリは深手の傷を負った。
あっという間の出来事だった。
その直後にトルテが一匹を眠らせ、
シトラがもう一匹を火の術式で撃破した。
立ち上がることの出来ないレンリを守るように、
君たちは辛くもモグラ達を全滅させた。

レンリを負ぶさりながら君たちは街へ帰還した。
ケフト施薬院では薬品を売るだけでなく深く傷付いた冒険者を癒やすことも出来るという。
料金は30エン。
手持ちの現金のおおよそ半分だったが、君たちは迷わず治療を依頼した。

施薬院に入る前、人相の悪い男が声をかけてきた。

オイオイ、お前らまさかそいつを治すつもりか?
新人なんざ使い捨てなんだよ。
怪我したらギルドから追放すりゃいい。
代わりなんざいくらでもいる。
そいつを追い出して新しい冒険者を入れりゃいいんだよ。
常識だぜ。知って得しただろ?ハハハ。
いいか。迷宮は仲良しこよしで挑むもんじゃねえ。
これは先輩からの忠告だ。ま、テメエらは言っても聞かねえだろうけどよ。せいぜい世界樹の肥やしになりな。

男は言いたいことを言うだけ言うと去っていった。
君たちは拳を固く握りしめその後ろ姿を見送った。
見ていろ。瞳は決意に満ちていた。

B1F(後編)

メンバーが4人しかいない君たちはその時体力に余裕のある者が前衛に立ち、盾役を行うというローテーション形式を採用した。
誰か1人が前に出て守りを固め、残りの3人が後ろで攻撃に専念する。
これが意外にも功を奏し、比較的安定した戦闘が出来るようになった。
君たちは、順調に歩を進め地図を埋めていった。

しかし余裕が出てきた頃に唐突に牙を向いてくるのがこの迷宮だ。
花の甘い香りに誘われ身体を休めているところ、毒アゲハという見たことの無い危険な生物に襲われてしまった。
逃げている暇はない。
ここまでで気力も体力も消耗しているが、
剣を抜き戦う以外の選択肢はなかった。

毒アゲハを一匹倒すたびに仲間も一人倒れた。
最も火力の高いシトラも気力が尽き術式が使えなくなった。
もはや前衛も後衛もない。総力戦だ。
生き残ることに必死で、ただ手に持つ武器で闇雲に敵を刺し、殴り続けた。
…気付けば戦闘は終わっていた。君たちは幸運にも生き残ることが出来た。

君たちは命からがら街へ帰還を果たした。
途中敵に襲われたが全力で逃げた。幸運だった。
もし逃げられなかったら、毒アゲハから毒を受けていたら、きっと全滅していただろう。
君たちにまだ命があるのは"結果としてそうなった"というだけの話だ。
死は常に隣に横たわっていることを思い知った。

だが、きみ達はそれを前向きに受け止めた。
自分達はラッキーだと。スリリングで、わくわくしたと。
怪我をして動けなくなったレンリとトルテも頷いた。
きみ達は、窮地から脱し安全な場所に立つことに快感を覚えつつあった。これも迷宮の魔力なのか。そのことを自覚する者はいなかった。

B1F(素材集め編)

経験を積むのもいいですけど、装備も充実させたいですね。

ある日トルテがこう言った。
シリカ商店の品揃えは徐々に増えていたが、
まだまだ在庫豊富と言うには程遠く、また、それを買う金もなかった。
装備を整える為にはより多くの素材を集め、売り、金を手に入れる必要があった。

執政院の依頼をこなすべく迷宮を歩いているうちに、君たちはちょうど迷宮入口付近に『伐採』が出来そうなポイントを見つけていた。
しかしそれを行うだけの知識と技術が君たちには無く、素材を集められなかったのだ。
君たちは少しの間休養を取り、『伐採』について学ぶことに決めた。

冒険者は休養を取ると身体が鈍りレベルが下がってしまうものだが、幸い、君たちのレベルは下がらなかった。
下がるだけの強さが無かったというべきか。
ともあれ君たちは全員で『伐採』について学んだ。
そしてその代わりとして戦闘技術のほとんどを忘れてしまった。
君たちはアホの子だった。

そもそも、実際に『伐採』について学んでいたのはアルケミストのシトラだけだった。
他の3人は『採取』について学んだだけだったが、完全に『伐採』を学んだものと勘違いしていた。
その間違いに気付かないまま君たちは素材集めに奔走したのだった。

毎日毎日、1時間足らずの伐採を行い、宿屋で休む。
それだけの生活。それだけの日々。
そのようにして何日も素材集めに明け暮れた君たちは、
以前ギルド長が言っていた"しみったれた小銭稼ぎ"のようだった。

B2F~B3F(続・素材集め編)

内側から腐ってしまいそうな毎日の末、とにかく装備は整った。
執政院の依頼を達成した君たちはアリアドネの糸をシリカ商店から購入できるようになった。これでより深層への探索も可能になるだろう。
君たちはB2Fへと進んだ。
...スキルポイントをすべて採集スキルに振ったまま。

君たちは、採集により金を稼ぐことに味を占めていた。
モンスターに見つかってもすぐ逃げれば大丈夫。
危なくなったらアリアドネの糸を使えば大丈夫。
新しい採集ポイント見つけるまでだから。
もうちょっと先に進むだけだから。
そう自分に言い聞かせる君たちは完全に金に目がくらんでいた。

B2Fに降り立ち、君たちは巨大で恐ろしい敵―――F.O.E.の気配を感じ取った。
それでも君たちの歩みは止まらない。
敵から逃げ、やり過ごし、しかし採集ポイントは見つからなかった。
そうこうしているうちにB3Fへ降りる階段を見つける。
まだ目的は果たしていない。君たちは更に下へと下った。

B3Fに降りて間もなく、終わりは唐突に訪れた。
4体のモンスターに不意を突かれ、君たちが身構える前に襲いかかられた。ここにたどり着くまでの間に体力を削られていた君たちはひとたまりもなく、あっという間に殺されてしまった。
君たちの冒険はここで終わってしまった。

~Fin~

―――そんな夢を見た。

ルゥも、レンリも、シトラも、トルテも。
皆同じ夢を見た。
全滅し、世界樹の一部になるおぞましい夢。
何らかの啓示なのか。神の導きなのか。

でも夢は夢だよね!

そう結論づけて君たちは採集スキルに全振りしたしたまま再びB3Fを目指すのだった。
馬鹿は死んでも治らなかった。

君たちは何度も夢を見た。
鹿に蹴り殺される夢。
兎に噛み殺される夢。
アルマジロに体当たりで殺される夢。
猪の突進で殺される夢。
蝶の毒で殺される夢。

そして…見よ。
B3Fの奥深く。
LV5の君たちが熱望した採取ポイントは今や目の前にある。
存分に、心ゆくまで採取したまえ!

ほくほく顔で帰還した君たちは街に戻るとシリカ商店に直行した。
姫リンゴ10個。蜜のかけら9個。小さい花23輪。
売却額はしめて750エン。
探索に使用したアリアドネの糸、獣避けの鈴3個、メディカ数点を考えれば完全に赤字だった。

え?

君たちは値段を聞き返した。
何度聞き返しても750エンだった。

割に合わない。
正気に戻った君たちは採集に専念することをやめ、
今一度戦闘技術を覚え直すために再び休養を取ることにした。

B3F~B5F(狼退治編)

長い話になると眠くなる君たちは話半分で聞いていたが、第5階層にいる狼を倒すことになっていた。
深層に潜るためにも避けて通れぬ道だった。
いずれ強敵を倒すため己を鍛え直すことにした。
…素材を集め始めたのはそもそもその為だったのだが、いつしか目的と手段が入れ替わっていたのだった。

酒場でクエストを受けると報酬が貰えるらしい。
風の噂でそんな話を聞いた。
冒険者の間では常識だが、酒を飲まない君たちは酒場に近付かないため知らなかった。
迷宮探索、鍛錬、クエストを同時並行で進めていくことにした。
充実した毎日が始まった。
君たちは、毎日が楽しくて仕方なかった。

B4Fに入り、君たちは狼狩りを敢行した。
トルテが睡眠を狙い、ルゥが剣を振り下ろし、
レンリが矢を放ち、シトラが火の術式を起動した。
敵の攻撃は激しかったが、短期決戦をしかけ、
一匹ずつ着実に倒していった。
傷付く度に1つ上の階層に戻った。
君たちはツスクルと名乗る熟練の冒険者と出逢っていた。
彼女は樹海の奥にあるという回復作用のある不思議な泉の水を持ち、いまだ駆け出しの君たちに対して惜しげもなく使っては、傷付いた身体を癒してくれるのだった。

ツスクルの助力の甲斐あって、君たちはこのB4Fで劇的に成長した。
特にルゥの成長は著しかった。
バードでありながら、今まで前衛として剣を構えることが多かった君は、
ここで初めて"バードの歌" を会得した。
そう、君はこれまで戦闘中に歌を歌うことを知らなかった。

戦闘中に声援を送ったり、道中、歌や踊りを披露してはいた。
君たちはルゥの歌で元気が出ていたので何かしらの効果があると思っていた。辛いことがあってもルゥの歌で励まされ、笑い合った。
そういう意味では効果はあったのだろう。
しかし、冒険者を支援し強化する"バードの歌"では無かった。

君が最初に覚えた歌は"癒やしの子守唄"。
冒険者の傷を癒やす、慈愛の歌。
この瞬間をもって、君は、街の吟遊詩人から冒険者のバードへと成長した。それはいまだ幼き雛鳥のようではあるが、
君たちは仲間の成長を大いに喜び、分かち合うのだった。

B5F(スノードリフト戦)

多くの狼を撃退し確かに実力を培ってきた君たちは、
B5Fの敵をものともしなかった。
そして、その最奥。
君たちはこれまでにないほどの圧迫感と殺意を肌で感じた。
目標とする敵との対峙。
君たちは真っ直ぐに突っ込み攻撃を仕掛け―――ようとして、寸前で立ち止まった。嫌な予感がした。

多数の狼の気配があった。
このまま突っ込めば、取り囲まれ成す術なくやられてしまうだろう。
君たちは直感した。
その時。
「ぐぎゅううう」と、大きな音が鳴った。
レンリの方から聞こえた。
共通語を話せないレンリの代わりにシトラが言った。
お腹空いたんだって。
通訳されずとも皆わかっていた。

いったん帰ろっか。
レンリはこくこくと頷いた。
いずれにせよ、正面から挑めないのであれば対策を考える必要があった。
君たちは踵を返し、来た道を戻ることにした―――瞬間!殺意が背中から膨れ上がった。地を震わすような足音と共に、敵が凄まじい勢いで君たちを追いかけてきているのだ!

君たちは全力で走った。一刻も早くここから離れなければ。
腕を大きく振り、なりふり構わず必死に走った。

そして出口にさしかかった時、君たちは気付いた。
近付いている気配が複数でなく、一つだけのものであることに。
レンリの腹の音が、期せずして敵のおびき寄せを招き、成功していた。

好機だった。
敵が一体であれば、なんとかなるかもしれない。
ルゥはレンリに目配せした。
これが終わったら美味しい物をたくさん食べよう。
レンリは返事代わりに弓をつがえた。
続くようにトルテとシトラも武器を構えた。
君たちは勇気を奮わせ、敵―――スノードリフトと対峙した。

スノードリフトの攻撃は素早く、強烈だった。
前足がしなるように跳ね、トルテが薙ぎ払われた。
意識を持っていかれそうな一撃。
トルテは歯を固く食いしばり、返す刀で相手を眠りに誘う突きを放った。
これまでの旅路で極限まで鍛え上げたその技はしかし、むなしく効果を発揮しなかった。

君たちは、相手を眠らせ無力化し、短時間で仕留める戦法を得意としていた。回復職のいないこのパーティに長期戦は不利だったからだ。
だが、それは少し前の話。
トルテは与えたダメージで自身を回復させるもう一つの剣技を習得しており…ルゥは仲間の傷を癒やす唄を歌えるようになっていた。

ルゥが舞い、踊る。
心地良い旋律が鳴り響く。
合わせるようにレンリが軽やかなステップを踏む。
敵を幻惑する奇抜な動き。
それを見たシトラは薄く笑い、毒の術式を発動させた。
錬金術で精製した猛毒。
生物なら例外無く効くはず。
その祈りは通じた。
長期戦が不利になったのは向こうの方だった。

いや、違う。
群れから引き離したとはいえ、次第に近づいてくる狼たちの気配があった。追いつく前に倒さなければ。
剣を振り、弓を引き、火を放つ。
手負いのスノードリフトは咆哮した。
ルゥが恐怖に慄く。
レンリは駆け寄ろうとしたが止められた。
ルゥの瞳が言っていた。
『このまま押し切れ!』

レンリは迷いを振り切り、矢を放った。
続いてシトラが術式を発動し、スノードリフトの身体から火が吹き出す。
次の瞬間、どう、と音を立ててスノードリフトは地面に倒れた。
起き上がる様子はない。
…見事。君たちは、誰一人欠けることもなく、スノードリフトを撃退した。

リーダーを失った狼たちは、蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。
目の前にはB6Fに繋がる階段がある。
これまでとは違う雰囲気を感じた君たちは、興味の赴くまま下へ降りた。

新しい階層にたどりついた君たちは目の前の広間に、
不思議な光がたちのぼっている光景を見つける。
その様子を眺めていると後ろからレンとツスクルが現れた。
彼女達は君たちの姿を認めると、スノードリフトを討伐したことを喜ぶように笑みを浮かべ、その光のことについて親切丁寧に説明してくれた。
難しいことがわからない君たちには半分ぐらいしか言ってることを理解できなかったが、要約するとアリアドネの糸のようなものらしかった。

くいくい、とレンリがルゥの腕を引っ張る。
一際大きい腹の音が鳴った。
君たちは一瞬の間を置き、顔を合わせて笑い合った。
そして、光の柱―――樹海磁軸に触れ、街へ帰還した。
スノードリフトを退治したことを執政院に報告する前に、約束通り、美味しい物を好きなだけ食べ、乾杯するのだった。

→(第二階層へ続く)

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